【実践例あり】ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせる方法を解説

【実践例あり】ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせる方法を解説

ストキャスティクスを利用すれば、相場の過熱感が分かります。ただ、単体で使用した場合、騙しに遭う可能性が高くなるので、成績が上がらず悩む方もいるかもしれません。

そこで当記事では、

  • ストキャスティクスとボリンジャーバンドの基礎知識
  • 2つの手法のメリットやデメリット
  • 具体的な手法と実践パターン

などについて解説します。当記事を読むことで騙しを避けやすくなるので、成績も良くなりますよ!

目次

1. ストキャスティクスとボリンジャーバンドの基礎知識

ストキャスティクスとボリンジャーバンドの基礎知識

トレードで勝つためには、一つの手法だけで売買判断するよりも、他のテクニカル指標と併用した方が利益を上げやすくなります。

そこで、ストキャスティクスを使用する場合、ボリンジャーバンドとの併用がおすすめです。

なぜなら、ストキャスティクスを使うだけでは、トレンドの方向や継続性まで判断するのは難しいから。
ボリンジャーバンドも併用すれば、トレンドの継続性や方向も見ることができ、売買の判断がしやすくなります。

まずは、ストキャスティクスとボリンジャーバンドの基本的なルールや使い方を把握しましょう。
ストキャスティクスとは、相場の買いや売りの強さを確認するテクニカル指標
ストキャスティクスとは、相場の買いや売りの強さを確認するテクニカル指標。
ストキャスティクスは2本のラインで構成されており、それぞれ以下のような意味があります。

%K 直近の終値が高すぎか安すぎかを教えてくれる数値
%D %Kの数値をなめらかに平均化した数値

そして、ストキャスティクスの%Kの数値を見れば、現在の価格が
「買われ過ぎ」か「売られ過ぎ」なのかを判断可能です。

尚、ストキャスティクスに関する特徴から計算式、実践的な活用方法は「ストキャスティクスって何?最適な設定と使い方を分かりやすく解説」にて、詳しく解説しています。
ストキャスティクスを見れば、相場が反転するタイミングを把握できる
%Kが80を超えている場合は、買われ過ぎなので反転下落する可能性が高くなります。

一方で、%Kが20を下回っている場合は、売られ過ぎなので反転上昇する傾向があります。

つまり、ストキャスティクスを見れば、相場が反転するタイミングを把握できるかもしれません。

ストキャスティクスのパラメーターのデフォルト設定は以下の通り。

%K 14
%D 3
Smooth 3

Smoothは、チャートでは分かりにくいですが、%Kと%Dを同時に平均化する数値です。
デフォルトでは3になっていますが、1や2に設定することで、以下のような使い方もできます。

Smooth1 Smooth2
種類 ファーストストキャティクス スローストキャティクス
メリット いち早く反転の兆しをつかめる 騙しが少ない
デメリット 騙しが多い 反転したことに気づくのが遅れる

とはいえ、ストキャスティクスに慣れるまでは、パラメーターをいじる必要はありません。

1-1. ボリンジャーバンドの基本的なルールや使い方

ボリンジャーバンドはテクニカル指標の一種

ボリンジャーバンドはテクニカル指標の一種です。

上下2本ずつの標準偏差と移動平均からなる線のことで、合計5本のラインで構成されています。

ボリンジャーバンドには以下のような習性があります。

価格の範囲 範囲に収まる確率
+2σ~-2σ 95.4%
+1σ~-1σ 68.3%

つまり、価格が+2σと-2σを超えることはほとんどないため、+2σでは買い、-2σでは売ることで、より利益を上げやすくなるのです。
各ラインの幅が次第に広がるので注意
特に+2σ〜-2σの各ラインの幅が収束していれば、このような逆張り手法で勝ちやすくなります。

他方、レンジからトレンドになるようなケースでは、ボリンジャーバンドの各ラインの幅が次第に広がるので注意が必要です。

ボリンジャーバンドの幅が広がると、ローソク足が+2σや-2σの外に出始めるので、逆張りをしても一向に反転しなくなります。
そのため、ローソク足の終値が+2σや-2σを越えた場合は、むしろそのトレンドに乗って利益を上げた方が良いでしょう。

このように、ボリンジャーバンドは、バンドの幅やローソク足の位置にを見ながら判断しなければなりません。

【関連記事】

ボリンジャーバンドって一体何?概要から見るべきポイントについて詳しく解説

2. ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせれば勝てる?

ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせれば勝てる?

ストキャスティクスとボリンジャーバンドはどちらもテクニカル指標の一つですが性質は大きく異なります。

ストキャスティクス ボリンジャーバンド
種類 オシレーター系 トレンド系
特徴 相場が買われ過ぎか売られ過ぎかわかる トレンドの強さや継続性がわかる
狙い方 逆張り狙い(押し目・戻り高値含む) 順張り狙い(トレンドに乗る)
トレンド相場 負けることが多い 勝つことが多い
レンジ相場 勝つことが多い 負けることが多い

ストキャスティクスのようなオシレーター系指標は、反転が多いレンジ相場では勝ちやすいです。
ただ、トレンド相場になるとシグナル通りエントリーしてもほとんど勝てません。

そこで、ストキャスティクスを使う時はレンジ相場だけでエントリーをすれば勝てると考えがちですが、単純な話ではないです。
なぜなら、相場がレンジかトレンドなのかは、時間が経たないと分からないからです。

2-1. オシレーター系とトレンド系の指標なので相性は良い

では、ストキャスティクスを上手く使いこなすにはどうすれば良いのでしょうか?

その方法の一つがトレンド系の指標の一つであるボリンジャーバンドと組み合わせて使うことです。
ボリンジャーバンドはストキャスティクスとは得意な相場が異なります。
そのため、2つの手法を組み合わせれば、ストキャスティクスの騙しを避けられる可能性があります。

ただ、両方の手法を使いこなすためには、それぞれのメリットやデメリットを知っておかなければなりません。

ストキャスティクスを使用するメリット・デメリット

ストキャスティクスを利用するメリットは、相場の過熱感を客観的な数値で判断できること。

「なんとなく上昇しそう」といった感覚でのトレードで、継続的に勝ち続けるのは難しいでしょう。

欲にかられて勝手な判断でトレードした結果、大損するリスクもあります。

しかし、ストキャスティクスを利用すれば、相場の過熱感が簡単に分かります。

うまく、反転直前にポジションを保有できれば、ロスカットまでの幅は少なく、利確位置までの幅を広くとれます。
上昇トレンドが発生
一方で、値動きが一方向に偏りやすいトレンド相場では、騙しが多くなるため稼ぎにくくなります。

上のチャートでも上昇トレンドが発生しているため、売りのシグナルの勝率は5割がやっとです。
最悪のケースでは、売りのシグナルが出ても価格が上昇し続け、含み損が増え続けることもあります。

ボリンジャーバンドを使用するメリット・デメリット

ボリンジャーバンドを使えば、レンジ相場だけでなく、トレンド相場にも対応できるようになります。
特にローソク足が+2σや-2σの外に出たタイミングでエントリーすれば、その後のトレンドにすぐ乗れます。

ただ、上昇トレンドが発生と見せかけて「騙し」に終わるケースも少なくありません。
そのため、何度エントリーしても騙しばかりで損失だけが増えていく可能性もあります。

筆者は、昔ボリンジャーバンドからのブレイクアウト手法を狙い続けたことがあります。
ただ、+2σを越えた後すんなり上昇しなかったり、エントリー後に-2σを割れるほどの下落が起きるケースもありました。
勝率が低すぎ、損切りばかりでストレスがたまり、やむなくこの手法を使わなくなったのです。

このように、ストキャスティクスとボリンジャーバンドもメリットやデメリットがあることは把握しておいてください。

3. ストキャスティクスとボリンジャーバンドの手法と実戦パターン

ストキャスティクスとボリンジャーバンドの手法と実戦パターン

この章では、ストキャスティクスとボリンジャーバンドを併用した手法と実戦パターンを解説します。

この手法を利用するためにはまず、現在の相場がレンジなのかトレンドなのか判断しなければなりません。
レンジかトレンドかはボリンジャーバンドの幅を見れば分かります。
①の地点でボリンジャーバンドの幅が広がりつつあります
例えば、上のチャートでは、①の地点でボリンジャーバンドの幅が広がりつつあります。+2σは上方向に、-2σは下方向に拡大していますね。
ところが、②の地点では+2σはすでに収束し始め、-2σについても拡大が止まり収束しつつあるようです。

つまり、バンド幅が収束しつつあるということは、トレンド相場からレンジ相場に移行したと考えられます。

ここからは、以下の3つの状況でどのようにトレードをするのか見ていきましょう。

  • トレンド相場の順張り
  • トレンド相場の転換
  • レンジ相場での転換

2つの手法を組み合わせれば、様々な局面で対応できるのでぜひ覚えて下さい。

3-1. トレンド相場の順張り

トレンド相場発生中の局面では、上昇時は押し目買い、下落時は戻り売りを狙いましょう。

ボリンジャーバンド ストキャスティクス
買い -2σにタッチしている %Kが%Dを下から上へ抜けた
売り +2σにタッチしている %Kが%Dを上から下へ抜けた

例えば、以下のチャートを見て下さい。
上昇トレンドが発生
上昇トレンドが発生しています。
買いならどこでエントリーしても勝てますが、どうせなら小さく下落をしたタイミングで買った方が利益率を高められるでしょう。

青い矢印ではローソク足が-ボリンジャーバンドの2σにタッチしています。
その後、ストキャスティクスの%Kが%Dを下から上へ抜けた時が買いのチャンスです。

実際に、いずれのパターンもシグナル発生後に下落が止まり上昇し続けました。

3-2. トレンド相場の転換

次にトレンド相場からの転換を狙った際の手法を紹介します。

トレンド相場から転換を狙う際には以下の2つの条件が揃った時にエントリーします。

ボリンジャーバンド ストキャスティクス
買い -2σにタッチしている %K20を越えた
売り +2σにタッチしている %Kが80を割れた

下落トレンドからの反転上昇を狙うパターンを例に見ていきましょう。
下落トレンドが発生
上のチャートでは、下落トレンドが発生し続けている間-2σを何度も下回り続けています。
そして、②の地点ではじめて%K(青色のライン)が20を越えました。
%Kが20を越えたことで、売られ過ぎの状態から上昇し始めたことを示唆します。

実際に、その後、ぴったりと下落は止まり、上昇し続けました。

3-3. レンジ相場での転換

最後にレンジ相場での転換を狙った手法について解説します。
以下の2つの条件を満たせば、レンジ相場からの転換を狙えるようになります。

ボリンジャーバンド ストキャスティクス
買い -2σにタッチした %Kが%D20を下から上へ抜けた
売り +2σにタッチした %Kが%Dを上から下へ抜けた

以下のチャートを見てください。
水色の矢印部分では、ローソク足がボリンジャーバンドの+-2σにタッチ
水色の矢印部分では、ローソク足がボリンジャーバンドの+-2σにタッチしています。
そして、+-2σにタッチ後に、いずれの場合もストキャスティクスの%Kと%Dが交差しています。

①や③のように%Kが%Dを下から上へ抜けることをゴールデンクロスと呼び、代表的な買いのサインです。
他方、②のように%Kが%Dを上から下へ抜けることをデッドクロスと呼び、売りのサインになります。

実際に、①と③はサイン通り上昇し、②についてもサイン通り上昇しました。

このように、ボリンジャーバンドとストキャスティクスは上手く使えば、どのような局面でも勝率を高められるのです。

*ストキャスティクスの詳しい使い方については、ストキャスティクスって何?最適な設定と使い方を分かりやすく解説を参考にしてみて下さい。

4. ストキャスティクスとボリンジャーバンドを併用する注意点

ストキャスティクスとボリンジャーバンドを併用する注意点

ストキャスティクスとボリンジャーバンドを併用すれば、ストキャスティクスのみでトレードするよりも勝率アップが期待できます。
ただ、以下の3点に注意しなければ、思うように勝てない可能性があります。

  1. 失敗したときのことも想定しておく
  2. 最初はパラメーターをいじらない
  3. 上位足の確認も行って勝率UP!

トレードする際にはこれから解説する3点をしっかり意識しましょう。

4-1. 失敗したときのことも想定しておく

ストキャスティクスとボリンジャーバンドを併用しても100%勝てるとは限りません。
むしろ、相場環境によっては勝率が一時的に低くなる時期もあるでしょう。

そのため、過度に期待して無茶なロット数で取引をするのは控えて下さい。
何回か連敗しても大損しないぐらいのロット数で取引を行えば、証拠金が減らないためメンタルが安定し、次第に勝てるようになります。

4-2. 最初はパラメーターをいじらない

トレードを続けていると「もっと勝率を上げたい」「もっと利益率を高めたい」と考えるかもしれません。
ただ、ストキャスティクスに慣れてないのに「もっと成績が良くなる設定があるはず」とパラメーターをいじるのはやめて下さい。

筆者も経験がありますが、検証し続けても成績が爆上げするパラメーターは見つかりませんでした。
過去検証で上手くいけそうでも、実際のトレードでは成績が悪くなったこともあります。

そもそも、ストキャスティクスに慣れていないのにパラメーターをいじるだけで勝率や利益率が高くなれば誰かがやっているはずです。
検証も大事ですが、まずは勝てるようにトレードの実践を繰り返すことがより重要です。

4-3. 上位足の確認も行って勝率UP!

一つの時間足だけでトレードをした場合、ストキャスティクスとボリンジャーバンドを併用しても、勝てないことがあります。
チャートではストキャスティクスが何度も「%K80」を超えています。
例えば、上のチャートではストキャスティクスが何度も「%K80」を超えています。
さらに、四角で囲った箇所ではデッドクロスが出現しているので売っても良い局面です。

しかし、シグナル通り下落するよりもそのまま上昇し続けるパターンの方が多いという結果に終わりました。
日足のチャートを見ると上昇トレンドの途中
実は、日足のチャートを見ると上昇トレンドの途中だったのです。
日足では上昇の勢いが強いわけですから、下位足である1時間足もその流れに引っ張られやすくなります。

そのため、ストキャスティクスで売りのシグナルが出ても下落するケースが少なかったのです。

ただ、日足が上昇トレンドであることが分かっていれば、わざわざ売りのシグナルでエントリーする必要はありません。
むしろ、買いのシグナルでエントリーする方が遥かに勝ちやすいでしょう。

このように、エントリー前に上位足の確認をしておくことは重要です。
無駄な損失も減るので利益を上げやすくなります。

5. まとめ

ストキャスティクスは相場の過熱感が分かるので、トレンドの転換時やレンジ相場では勝ちやすくなります。
ところが、トレンド相場になると騙しが多くなるため、単体で使うことはおすすめしません。

ですから、トレンド系のテクニカル指標であるボリンジャーバンドと併用を考えてみましょう。
相性が良いので、トレンド相場でもレンジ相場でも勝てる可能性が上がります。

無駄な損切りも減るので、成績アップが期待できるはずですよ。