トレンドラインの引き方って?実践的な知識と気になる注意点も併せて解説!
・トレンドラインを引いただけで勝てるようになるの?
・トレンドラインの引き方がよくわからない。
・分かっているつもりで、イザ引いてみると引けない
トレンドラインとは、トレードの勉強を始めると、ほぼ一番初めに学ぶことだと思います。ただし、いざトレンドラインを引いてみようとすると引けないってことはよくあります。
単純なようで、トレンドラインにも引き方の原理・原則が存在しており、それらを無視して引いても意味をなしません。そこで、当記事を読むことでトレンドラインの正しい引き方が分かります。
また、そもそもトレンドラインとは何か?の考え方や実際のエントリーポイントを図解で説明したトレード方法まで、詳しく解説しております。ぜひ最後までお読みください。
目次
1. トレンドラインの正しい引き方について解説
トレンドラインはこれが正解という引き方は存在しませんが、ここだけは外してはいけないという原理・原則は存在します。この章では、トレンドラインについて正しい知識を持って頂くために、以下の3つをご紹介します。
・トレンドラインを引く意味とは?
・トレンドを定義するルールが存在する
・トレンドは波の上げ下げによって形成される
順を追って、トレンドラインの概要について解説するので確認してみましょう。
1-1. トレンドラインを引く事の意味
トレンドラインはその名の通り、トレンドを把握する為にだけに引くと思っている方が多いのですが、そもそもトレンドを知りたいだけならラインを引く必要はありません。なぜなら見れば分かるからです。
上図は、誰がどう見ても「下げ方向のトレンド」ですよね?
引く必要ないなら、そもそも「なんの為に引くんだよ」となります。その答えは、「この先どうなるのか?を予測する為」です。
ほとんどの初心者の人は「この先上がるのか?下がるのか?」しか考えることが出来ません。上がるなら買えば儲かるし、下がるなら売れば儲かると考えるからなのでしょう。
この、上か下か?を考えることを相場では「縦の概念」と言います。上も下も縦に動くからこのような言葉になります。
相場には、「縦の概念」の他に「横の概念」というものが存在します。横の概念とは、上にいくか?下にいくか?だけではなく、上にいくとしても、どのような値動きをしていくのだろうか?どのくらいの時間をかけて上にいくのだろうか?という考え方を指します。
ちなみに、多くのテクニカル指標は「ここから上がるか?下がるか?」の判定をする「縦の概念」だけのものがほとんどです。これだけで、相場で勝つことは不可能です。
相場は「縦の概念」と「横の概念」が一体となって初めて勝てるようになるのです。
トレンドラインの強みは「横の概念」をイメージ出来ることです。分かりやすく言うと、先の未来(この先のトレンドラインタッチしたら反発するかもしれない等)を予測できるようになるのです。
相場は「この先どんな展開になるのか?」と、縦と横のイメージをしてトレードをしないと勝てないのです。それをイメージするのに、トレンドラインは強力な武器となるのです。
これが、トレンドラインを引くことの意味です。
1-2. トレンドを定義するルールが存在する。
トレンドラインを引く事の意味を理解して頂いたと思いますので、次はトレンドラインを引く時に知っておかなければならない、「トレンドの定義の仕方」について説明していきます。
トレンドの定義とは、
(上昇トレンドの場合)
・前回の主だった高値よりも今回の高値の方が高い
・前回の主だった安値よりも今回の安値の方が高い
(下降トレンドの場合)
・前回の主だった高値よりも今回の高値の方が低い
・前回の主だった安値よりも今回の安値の方が低い
となります。言葉だけだと分かりにくいので図で説明します。
上昇トレンドの定義の図
下降トレンドの定義の図
トレンドの定義の仕方がこれで理解できたと思います。しかし相場は上げトレンド、下げトレンドだけではありません。
もう1つ、トレンドのはっきりしない相場のレンジ(横這い)というのも存在します。
これは、主な高値、安値が一定の価格で往復していて、トレンドがハッキリしない状態の事です。
レンジの図
1-3. トレンドラインは主な高値、主な安値で引く
トレンドラインを引くにあたって、ほとんどの書籍や情報商材などで「主な高値と主な安値で引いてくださいね」と教えられると思います。おそらく、あなたもこのように教わったと思いますが、いざ引いてみようとすると「主な高値・主な安値がどこなのだろうか?」と判断に困った事はありませんか?
書籍や情報商材の中には「主な高値・主な安値」の定義を、キチンと教えてない場合があります。これは、いくつかの方法がありますが、有名なものを2つ紹介します。
・ファイブバーハイ・ファイブバーロー
・スリーバーハイ・スリーバーロー
これは、手のひらをイメージして中指が一番高くなり両隣に人差し指と親指の2本と薬指と小指の2本が低い位置にあります。下図はチャートと手を重ねたイメージとなっております。スリーバーも同じで、中指が一番高く中指と薬指が両側に並びます。
ファイブバー・ハイ、ローの図
スリーバー・ハイ、ローの図
ファイブバーハイは真ん中が1番高く、両隣の2本ずつは真ん中より低い5本の構成になっています。ローはこの逆です。
スリーバーハイは真ん中が1番高く、両隣の1本ずつは真ん中より低い3本構成になっています。ローはこの逆です。
主だった高値・安値を把握するにあたりどちらを使うかは自由ですが、スリーバーハイ・ローですと色々な所で大量に見つかってしまい、かえって混乱が生まれます。慣れないうちは、まずファイブバーで見つけていきましょう。当記事では、ファイブバーで話を進めます。
ファイブバー・スリーバー共に、図のように綺麗な形になるとは限りません。イメージとしておおまかに捉えましょう。
「さあ、これで主な高値と主な安値がわかりました!!早速引いてみましょう!!」と言いたいところですが、いざ引こうとすると困ったことが起きます。ファイブバーが沢山ありすぎて、判断が出来ないのです(下図参照)。
上図のように、実際のチャートを見るとファイブバーは無数に存在します。これだと、どの主な高値(ハイブバーハイ)と主な安値(ファイブバーロー)を結んだら良いか分かりませんよね?
トレンドというのは波の上げ下げによって形成され、その波同士を結んだラインがトレンドラインとなります。ですから、ファイブバーだけでなく、「波」についての理解が必要なのです。この「波」について次項で詳しく説明します。
1-4. トレンドラインは波の始点と波の終点で引く
相場というものは上げ下げの波を繰り返して動いています。波であるならば、波が始まった場所(始点)と波が終わった場所(終点)というものが存在します。
ではそもそも、「波」とはなんでしょうか?チャート上での波とは波の始まった始点と波が終わる間のことです。
感の良い人は気が付いたと思いますが、主な高値、主な安値は言い換えると「波の始点」であり「波の終点」なのです。
つまり、主な高値や主な安値同士を結んでトレンドラインを引くことは、波の始点や波の終点でトレンドラインを引くという意味であり、ファイブバーだからと言って、そこが始点や終点であるとは限らない訳です。
では、波が始まり終わるのはドコなのか?見定める必要があります。始点と終点が決まらない事にはトレンドラインが引けないからです。
始点を見つけるのは簡単です、チャートを見て波の始まった場所はスグに分かるからです。しかし、終点が確定するには条件があります。
その条件とは、直近の高値を超えるか、直近の安値を割り込むかが決まるまでは確定しません(下図参照)。
上図の新しい波(赤い線)の終点が決まるには、前回の波(緑の線)の始点(安値)か終点(終値)を超えることが条件となります。
新しい波(2本目の緑の線)が高値を更新したので、2つ目の波(赤い線)の始点と終点が確定しました。新しい波(二本目の緑の線)にとつての始点は、赤い線の波にとっては終点となります。その後、再び下落していきます(2本目の赤い線)。
この終点が決まるには、前回の高値安値を超える必要があります。
このようにして、始点と終点を作り波を形成していくのです。始点や終点同士を結んだトレンドラインは波の状態をパっと見える化してくれます。また、そのラインの延長線上が意識される可能性があると示唆してくれるのです。
トレンドラインとはその名の通り、トレンドに対してラインを引く作業です。そして、トレンドを形成しているのは波であり、波が確定するためには始点と終点が必要です。だから、トレンドラインは始点同士(終点同士)を結ぶ事が基礎・基本となるです。
2. トレンドラインは実体・ヒゲのどちらを結ぶべき?
初心者からの質問で多いのが「ヒゲと実体のどちらを引いたら良いですか?」というものです。トレンドラインの引き方にはおおまかに2種類あり、ヒゲを考慮して引く場合とヒゲを無視して実体のみで引く場合があります。
上記について解説をしていきます。
2-1. ヒゲ/実体、決めてしまえばちどちらでも良い。
どちらを使って引けば良いのか?という疑問ですが結論を先に言いますと、どちらでも決めてしまえばOKです。
どちらでもOKではありますが、ある時はヒゲで、ある時は実体でなど、その都度変えてしまうのは止めてください。ヒゲならヒゲ・実体なら実体と、自分で決めたものを一貫して使い続けることが大事です。
実体で引いたトレンドラインの図
ヒゲを考慮して引いたトレンドラインの図
参考までに、株式では実体のみでトレンドラインを引いている方が多く、FXではヒゲを考慮したトレンドラインを引いてる方が多いです。
2-2. トレンドラインは範囲で考える
株式は実体でFXはヒゲでと説明をしましたが、実際は「こだわる必要はありません」実体なら実体・ヒゲならヒゲと、どちらかに決めてトレードをする事は大事ですが、それよりも大切な事は、「範囲で考える」という事がとても重要になってきます。
なぜ、「範囲で考える」のかと言いますと、「必ずしもラインの上でピッタリと止まるとは限らない」からです。
大切なのは「この辺りで意識されるのではないか?」というシナリオを立ててトレードに活かす事であり、何でもかんでも線でキッチリ・ピッタリという思考は捨てましょう。相場でトレンドラインでピッタリ止まるなんてことは稀です。
上図のように、太い帯にして範囲として考えてトレードをした方が良いです。トレンドラインでピッタリ止まって反発すると考えるより、「この範囲に入ってきたら反発するかな?」と考えます。
このように考える事が大事であり、ピッタリと止まることがない以上、実体のみ・ヒゲ考慮など、どちらでも良いのです。範囲の幅に関しても、「こうじゃなきゃダメ!」というものは存在しません。
・ヒゲで引いてその上下に幅を持たせる
・ヒゲと実体の両方引いて、その幅を反対側にも引いておく
など色々と引いてみて、自分に合った範囲を見つけてください。何度も言いますが、コツは「だいたいこの辺りかな?」と大まかに考えることです。
3. トレンドラインを引く際にやりがち…こんな引き方は厳禁
ここまでトレンドラインを引く場合の考え方や引き方を説明してきましたが、ラインを引く際に注意しなければならないことがあります。
3-1. 引き直しは高値・安値を更新してから引く。
それは、「ラインを超えた・割ったですぐ引き直してしまう」ということです。
トレンドラインの引き直しが良しとされる条件とは、主だった高値安値を更新した後です。その理由は、「高値・安値が更新されると、今まで継続してきたトレンドが変わるかもしれない」と考えられるためです。
ですから、「高値・安値を更新していないのに引き直しても意味はありません。
上図は、トレンドラインを割っただけの図です。このように主な高値、安値を更新してないのに引き直してはならないのです。
上図は主だった高値か安値を更新してから引き直します。上図の場合は高値を更新していますので、引き直してOKです。
図のように、トレンドラインを引き直す場合、今まで意識されていた高値・安値を更新し、新しい波が確定してから引き直すのが定義となります。
このようにトレンドラインを定義通りに引き直すのですが、何度も引きなおした結果、わかることがあります。それは、トレンドの変わり目に気がつくというこどてす。次項で詳しく説明します。
3-2. ファン理論、ラインの角度で変化を見抜く
安値・高値を更新するたびにトレンドラインを引き直していると、トレンドラインの傾きの角度が変化していきます。それを3回以上引き直すとトレンドが変わった事を暗示します。これをファン理論と言います。
ファンとは換気扇などの羽の事であり、上図を見ると羽が広がっていくように見えますよね?(扇が開いたようにも見えます)ここで、主な高値と主な安値の関係が逆転しているのが分かります。
今までは、高値を更新して安値が切り上がっていたものが、途中から高値が切り下がり反発しても、前回に引いたトレンドラインを越えられません。そして、安値も切り下がっていきます。
このように、トレンドラインを引き直した場合に、トレンドラインにおける角度の変化に注目することで転換に早く気付けます。
上図は先ほどの例とは逆のパターンです。安値を更新できずに、主な高値を更新するたびに引き直していくと、下降トレンドの勢いが弱まり、買いの勢力が強くなってきたことが分かります。
これらからも、トレンドラインを正しく引くことの重要性(始点・終点でひく)に気が付いていただけたと思います。
つまり、トレンドラインとはトレンドが変わったということをいち早く察知できるラインという意味なのです。
4. まとめ
トレンドラインの引き方、考え方をいくつか書いてみましたが、いかがでしたか?意外と知らなかったことが含まれていたのではないでしょうか?
最後に、当記事における重要なポイントを簡単にまとめます。
・チャート右側のイメージをする為にラインを引く
・波の始点と終点でラインを結ぶ(主な高値・主な安値同士で引く事の意味)
・ラインはピッタリではなく範囲で捉える
・ラインを引き直して、ラインの傾きの角度を注意深く見る。
となります。当記事で、トレンドラインの引き方について正しい知識が入ったと思いますが。何度も練習しないと引けるようにはなりませんので、色々なチャートで練習してみてください。必ずあなたのトレードスキルが向上します。
トレンドラインを使った、エントリー方法などについては別記事を参照してください。