ストキャスティクスって何?最適な設定と使い方を分かりやすく解説

ストキャスティクスって何?

「ストキャスティクスの最適な設定方法について知りたい」「ストキャスティクスの使い方って?」こんな疑問を抱いていませんか?

ストキャスティクスは、「%K」「%D」「SD」などの計算式を用いるため、使用するのが億劫になってしまったり、間違った解釈のまま使用しているトレーダーが多いです。ですが、しっかりと理解を深めれば、実はそこまで複雑なインジケーターではありません。そこで、当記事ではストキャスティクスの原理から、設定方法、使い方について解説します。

ストキャスティクスに関する知識を身に付けることで、優位性の高いエントリーもできるようになるので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

目次

1. (設定と使い方を知る前に)ストキャスティクスのおさらいをしよう

そもそも、ストキャスティクスとは、どのようなテクニカル指標なのでしょうか?

一言で説明すると、

「一定期間の価格水準に対して、直近の価格がどれくらい高値にあるのか、もしくは安値にあるのか」

を0~100までの数値にし、トレード分析に活かせる指標です。

ストキャスティクスを使いこなせるようになると、相場の「そろそろ上がりそうな瞬間」と「そろそろ下がりそうな瞬間」を判断できるようになります。
そのため、以下のようなトレード場面で役立ちます。

・トレンドフォローの押し目買い/戻り売りのポイント
・トレンド転換点

このように、トレーダーが利益を狙いやすい局面でストキャスティクスを活用できるのです。

2. ストキャスティクスの計算方法から基本設定・おすすめの設定方法までチェック

ストキャスティクスの概要をおさらいしたところで、詳しい計算方法から設定方法について解説します。

具体的には、

・ストキャスティクスの基本設定は2本の線「%K」「%D」に注目
・ストキャスティクスのおすすめ設定方法とは?
・ストキャスティクスの計算方法について

となります。ストキャスティクスのラインが動いている原理について、チェックしてみましょう。

2-1. ストキャスティクスの基本設定は2本の線「%K」「%D」に注目

ストキャスティクスは%K、%Dという2つの線と、その2つを平均化し滑らかな動きにさせるSmooth(又はスローイング)という数値によって構成されています。

上図の青い線が「%K」、赤い線が「%D」です。パラメーターの赤丸にある「smooth」は、後ほど解説します。まず、「%K」というのは、任意で入力した期間中に推移した最高値と最安値の値幅を割り出します。そして、割り出した値幅に対して直近の終値がどの位置にあるのかを示します。(トレーディングビューのチャートを元に話をしています。)

かみ砕いて言うと、『直近の終値って高すぎるの?安すぎるの?それとも普通なの?』ということを教えてくれる数値となります。上図では、日足表示で「K=14」と入力されているので、14日間での最高値と最安値を参照していることになります。

一方、「%D」というのは、「%K」の値を任意で入力した期間で平均化し、移動平均線のように示した数値です。上図ではD=3と入力されているので、「%D」は「%K」の3期間移動平均線ということになります。

また、「Smooth」については2本の線を同時に平滑化して「スローストキャスティクス」として表示する数値です。
仮に、「Smooth=5」と入力すると、それぞれが5期間で平滑化されるようになると認識しておきましょう。

因みに、厳密には「Smooth」の数値設定によって、専門的な用語が使用されています。

ストキャスティクス

一般的に、「Smooth」の数値が1以上の場合は平滑化したスローストキャスティクス。
スローストキャスティクスの表記に関しては、「%D・%SD」の2本ラインで表示されていますよ。

2-2. ストキャスティクスのおすすめ設定とは

ストキャスティクスのデフォルト設定は「K=14」「D=3」「Smooth=3」となります。ですが正直なところ、初心者がこの数値を細かくいじる必要は全くありません。なぜなら、デフォルトの数値が最も多くのトレーダーに使用されているので、反応しやすい設定になるためです。

チャート上で多くのトレーダーが意識しやすい場所というのは、言い換えれば売り買いが集中しやすい場所です。ですので、多くのトレーダーが使っている設定にすることで、必然的に反応しやすくなります。

ここでは、多くのトレーダーがよく活用している設定数値と特徴についてご紹介します。

ストキャ比較表

どちらのストキャスティクスが良いかについては、それぞれのトレードスタイルによって違ってきます。損切り許容幅やトレード時間足(スキャピング、デイトレ、スイング)など、自分の基本スタイルが定まっていない場合はまず、デフォルトのSmooth3のままで反復練習をしましょう。

2-3. (飛ばしてOK)ストキャスティクスの計算式とは?

*ストキャスティクスの計算式は専門的かつ複雑なので、正直なところ、トレードと直接関係はありません。ストキャスティクスの使い方について知りたい方は、次章に飛ばしてください。

上述したように、ここまで理解していれば、後は実際のチャートで利用するための手法を覚えて、ひたすらその反復練習をしていくだけで大丈夫です。ですが念のため、それぞれの値の具体的な計算式についてもご紹介します。

ストキャスティクスの2本の線とSmooth(スローイング)の計算式は、以下の画像のようになります。

脳みそバーン

この図だけでは分かりにくいですよね?そこで、「K」「D」「Smooth」の値に各数値を入れることで、何を示すかだけは抑えておきましょう。

上記のように認識しておくことで、計算式のイメージが湧きやすくなるはずですよ。

3. ストキャスティクスの基本的な使い方

最初の項でも説明した通り、ストキャスティクスの基本は「そろそろ上がりそうな瞬間」と「そろそろ下がりそうな瞬間」を見つけることです。

ストキャスティクスは普段、10~90%の数値間を上下に行き来し続けています。ストキャスティクスが80~90%の間に位置していれば、「買い勢力が優位な状態」を意味し、10~20%の間にあれば「売り勢力が優位な状態」を意味します。そして、私たちトレーダーが狙っていくのは、この「優位性が切り替わるポイント」です。

従って、買いでエントリーする場合は、ストキャスティクスが10~20%に位置している状態から80~90%まで上がっていく時の、「切り替わる瞬間」を狙うのが最適です。売りでエントリーする場合は、全く逆の考えになります。次の各項目では、ストキャスティクスを使った、より精度の高いトレード方法について解説します。

3-1. 「%K」と「%D」の交差で狙うゴールデンクロス・デッドクロス

以前、当サイトで移動平均線の解説をしましたが、そこでご紹介した移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスと考え方は同じです。
【関連記事】移動平均線の見方って?移動平均線の実践的な知識と使い方を徹底解説

上図の通り、

・10~20%の間で、%Kが%Dを上抜ければ買いシグナル(ゴールデンクロス)
・80~90%の間で、%Kが%Dを下抜ければ売りシグナル(デッドクロス)

となります。

短期の平均水準が長期の平均水準を上回る(下回る)瞬間になるので、買いと売りの勢力図が大きくひっくり返る可能性を秘めたポイントとなります。よって、思惑通りに値動きが展開すれば、その後大きく利益を伸ばすことも可能になります。

ただし、だましシグナルもしっかりと存在しますので、ストキャスティクスの線だけを追っていては勝ち続けることはできません。上位足の目線や、チャートパターンの形成、水平線での反発、ローソク足の形状なども必ず確認するようにしましょう。

3-2. 押し目買い・戻り売りを意識したトレンドフォロー

長期目線でトレンドが発生している状態であれば、ストキャスティクスのゴールデンクロス・デッドクロスを利用して、押し目買い・戻り売りを狙っていくと勝率の高いトレードができます。

この時は、無理にトレンド転換点を狙おうとしない方が良いです。これは、長期目線でトレンドが強い状態であれば、短期的なトレンド転換シグナルは長期の勢いに負ける可能性が高いからです。初心者が勝つために最も意識すべきことは、素直なトレンドフォローです。

イメージとしては「短期的には逆張りっぽいけども、長期目線では順張りトレード」になるようなタイミングで、シグナルを待つのが良いです。

3-3. ダイバージェンスでトレンドの転換点を見極める

ダイバージェンスとは、価格が更新されている方向に対して、ストキャスティクスが逆方向に傾いている状態を指します。これは、ストキャスティクスやRSIなど、オシレーター系インジケーターの応用技となります。ダイバージェンスの発生は現在のトレンドが終了する合図になるので、次の大きなトレンドが発生する時の転換点を捉えられます。

上図は、上昇トレンド中に発生したダイバージェンスですが、実際の高値は更新しているのにストキャスティクスは下降していますよね。下降トレンド中では、全く逆の状態になります。なぜこのような時にトレンド転換が起きやすいのかは、ストキャスティクスの計算式を理解していれば簡単に分かります。

ストキャスティクスの数値が下がってきているということは、最高値と最安値の値幅が小さくなってきていることを意味します。つまりこれは、最高値更新をし続ていく力が弱くなってきている証拠ですので、「買い勢力が弱まってきており、これから売り勢力が優位になりそうな状態」になります。

ただし、このシグナルは察知するのが非常に難しいのと、当然ながら「だましシグナル」も存在するので初心者には難易度が高い手法です。ストキャスティクス含め、RSIなどのオシレーター指標に慣れてきたら、ダイバージェンスも意識してみましょう。

4. まとめ

今回は、ストキャスティクスの計算式や設定方法、初心者向けの基本的な使い方について解説しました。

入力する数値や計算式がややこしいので、深く理解するには結構難易度が高いテクニカル指標です。ただその分、一度理解すればどれも優位性の高いトレードができるようになります。FX初心者はまず、細かい数値設定にとらわれずに初期設定のままでゴールデンクロス・デッドクロスを利用して、ご自身の手法に組み込んでみましょう。

これは全てのテクニカル指標に共通していることですが、指標だけに頼ってしまうとなかなか勝てるようにはなりません。しかしストキャスティククは非常に優秀なインジケーターですので、他のテクニカル指標と組み合わせて使いこなせるようにしてみてくださいね。