日足と分足で「三尊天井」の効果も違う?両者の検証結果からわかること
三尊天井はトレンド転換を示唆する重要なパターンの一つです。
しかし、短い時間足で使った場合、あまり勝率が高くないため注意が必要です。
では、どの時間足で使うと良いのでしょうか?
そこで当記事では、
- 三尊天井のさまざまなパターン
- どの時間足の勝率が高いのか
- エントリー後に直近高値を超えた場合の対処法
など、三尊天井について解説します。チャートつきで解説するので、これから三尊天井でトレードをしたい方でも理解できます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1. 三尊天井は大暴落の前兆にもなるパターン
三尊天井は3つの高値から構成されている形です。
ネックラインを割れると、トレンドが転換する可能性が高くなります。
3つ目の高値が真ん中の最高値を超えられない時点で、上昇の勢いが衰えつつあることを示唆しています。
安値同士を結んだネックラインを割れた場合、下落し続ける可能性が高くなるため、買ってはなりません。
上のチャートはエムスリーのチャートですが、三尊天井出現までは明らかな上昇トレンドでした。
しかし、三尊天井の出現により、トレンドが転換したことが分かります。
三尊天井はそれまでのトレンドを転換させるほど重要なパターンなので、必ず覚えておきましょう。
2. 三尊天井のさまざまなパターンを解説!
三尊天井にはさまざまなパターンがあります。
いつもきれいな三尊天井が出現すれば分かりやすいですが、いびつなパターンも出現します。
そこでそれぞれのパターンをチャートで解説しますね!
2-1. きれいな三尊天井で下落するパターン
上のチャートは「WOWOW」の日足です。
このチャートのように、1つ目と3つ目の高値がほぼ同じ価格帯で、ネックラインも平行に近ければ信頼性が高い形です。
きれいな三尊天井であれば、チャートを見た時もすぐに確認しやすいのではないでしょうか?
実際に、ネックラインを割れた後、大きく下落しています。
2-2. ネックラインが右肩下がりの三尊天井で下落するパターン
上のローソク足は、日経平均株価のチャートです。
1つ目と3つ目の高値を見てください。
明らかに価格帯が違っているため、いびつな形になっているのが分かるのではないでしょうか?
安値の位置も違う価格帯なので、ネックラインが右肩下がりになっています。
右肩下がりの三尊天井は、安値をすでに更新しているので、そのまま下落する可能性は高くなります。
したがって、いびつな形をしていてもエントリーして問題ありません。
2-3. ネックラインが右肩上がりの三尊天井で下落するパターン
上のチャートはエムスリーの日足チャートです。
3つ目の高値の方が1つ目よりも高い価格帯にあるだけでなく、ネックラインが明らかに右肩上がりになっています。
ネックライン割れで売った場合、ぎりぎり利益確定箇所まで到達しています。
ただし、ネックラインが右肩上がりの三尊天井はあまり勝率が高くないので注意してください。
なぜならネックラインを割れた時点では、直近安値を割れていないので、他の三尊天井の形よりも上昇する可能性が残っているからです。
だましに遭うケースも多いので、無理にエントリーをする必要はありません。
3. 三尊天井の出現頻度や勝率は時間足によって違う?
三尊天井が出現すると、トレンドが転換するケースがあります。
ただ、出現頻度は多いのか、勝率は高いのか気になる方もいるかもしれません。
そこで、以下の時間足でトレードした場合の出現頻度や勝率を調べてみました!
- 5分足
- 1時間足
- 日足
今回は、どの時間足もエムスリーの株価をもとに調査します。
3-1. 5分足の勝率は4割にも満たない
期間 | 2021年3月〜2021年7月8日 |
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出現回数(勝った回数) | 16回(6回) |
勝率 | 37.5% |
5分足では、三尊天井がわずか4か月で16回も出現しています。
だいたい月に4回は出現する計算です。
ただ、肝心の勝率は高くなく、16回のトレードで6回しか勝てませんでした。
5分足の場合、経済指標のタイミングと重なりやすく、ちょっとしたニュースの影響を受けやすいので簡単に上昇してしまいます。
そのため、三尊天井だけで継続的に勝ち続けるのはかなり難しいといえるでしょう。
3-2. 1時間足の勝率は5割
期間 | 2018年9月〜2021年7月8日 |
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出現回数(勝った回数) | 16回(8回) |
勝率 | 50% |
1時間足でトレードした場合の出現頻度は、34か月で16回でした。
したがって、2か月に1回くらいのペースで出現しています。
1時間足の勝率は50%と5分足よりも高く、単体で使っても利益を残せる可能性があります。
3-3. 日足の勝率は6割前後
期間 | 2012年5月〜2021年7月8日 |
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出現回数(勝った回数) | 16回(10回)) |
勝率 | 62.5% |
日足でトレードした場合、三尊天井が16回出現するまでに9年2か月もかかるため、出現頻度は年間1〜2回くらいまで下がります。
ただし、勝率は6割を超えるので、三尊天井のみでも勝てる可能性が高くなります。
とはいえ、日足でトレードするとなると、1回あたりの損失許容額も大きくなるでしょう。
取引量を多くしすぎないようにしなければなりません。
3-4. 短い時間足よりも日足の方が勝率は高くなる
3つの時間足を比較すると、短い時間足よりも長い時間足の方が勝率が高くなる傾向があります。
また、短い時間足ほどいびつな形の三尊天井が出現しやすく、だましも多いようです。
このことから、単体で使うのであれば日足で使った方が良いでしょう。
筆者の経験でも5分足や1時間足でエントリーした場合、思うように勝てませんでした。
チャンスが多くても、勝率が低ければ、勝てないイライラ感がつのるばかりです。
しかし、日足でのトレードに切り替えたことで、だましに遭う回数が減りました。
短い時間内でのトレードは、精神的にもよいわけではないので、単体で使うのは避けましょう。
5分足や1時間足を使う場合は、他のインジケーターと併用したり上位足を見たりして、下落しやすい時のみエントリーしてください。
4. 三尊天井の直近高値を超えると上昇相場が続くので注意!
三尊天井のネックラインを割れた後にエントリーしても、下落が長続きせず直近高値を超えるケースもあります。
上のチャートはユーグレナの日足チャート。
三尊天井が出現したため、ネックラインを割れたのを確認してエントリーしました。
ところが、ほとんど下落せず、逆に損切りラインを超えてしまいました。
損切りラインを超えたらすぐに決済しなければなりません。
なぜなら、まだ損切りラインを超えるほど、上昇の勢いがあるからです。
実際に、ほどなくして大きく上昇していきました。
もし、損切りをせずにそのまま売りポジションを保有していたら、含み損が急激に膨らんでいたでしょう。
5. まとめ
三尊天井を確認してエントリーする場合は、5分足や1時間足よりも日足でのトレードをおすすめします。
5分足や1時間足であればチャンスは増えます。
しかし、勝率が高くないので何度もだましに遭うでしょう。
一方、日足で使った場合の勝率は6割前後と勝ちやすくなります。
それでも短い時間足でトレードしたい場合は、他のインジケーターや上位足の値動きを見ながら使用するのがおすすめですよ!