酒田五法の三川って何?詳しい種類と実際のトレード事例も詳しく解説!
「酒田五法の三川って何?」
「酒田五法の三川について知りたいけど、種類が多すぎて覚えられない…」
こんな感じで、酒田五法の三川についてネットで調べてみても、何がなんだかさっぱり分からないという方もいるでしょう。
そこで、この記事では、三川の概要から、どのようなパターンがあるのかについて解説していきます。
当記事を読めば、三川について理解を深めてトレード判断に使えるようになりますよ。
【関連記事】酒田五法って?概要と主な5つの種類を項目ごとに詳しく解説
目次
- 1酒田五法の三川とは?
- 2三川は酒田五法のなかでも種類が多い
- 2.1星
- 2.2はらみ
- 2.3つつみ
- 2.4かぶせ
- 2.5たくり
- 2.6燕返し
- 2.7鷹返し
- 3酒田五法の三川のエントリー方法や注意点について解説!
- 3.1流れ星からの反転下降
- 3.2陽の両はらみからの上昇
- 3.3三川明けの明星からの反転上昇
- 4まとめ
1. 酒田五法の三川とは?
酒田五法の三川とはローソク足の線の並びに注目した分析手法のことです。
三川と三山はよく比較されることがありますが、三山がチャートの流れを見るのに対し、三川はローソク足の並びに注目するという点が異なります。
相場の高値圏や安値圏でトレンドが転換する際には、三川のパターンが頻出します。
そのため、三川を覚えておくことで、トレンドの継続性を見極められます。
2. 三川は酒田五法のなかでも種類が多い
三川は、酒田五法のなかでも最もローソク足の種類が多いです。全て覚えるのは大変かもしれませんが、三川を覚えることで、今後の値動きが読みやすくなるので覚えておきましょう。
主な三川のパターンは以下の7つですが、さらに細かく見ればその種類はさらに増えます。
- 星
- はらみ
- つつみ
- かぶせ
- たくり
- 燕返し
- 鷹返し
なお、三川を理解するためには、大きく5つにパターン化されている基本要素を理解することが大事です。
5つの基本要素のいずれかから成り立っているからです。
2-1. 星
星とは大陽線や大陰線の後に出現する小さな陽線・陰線・十字足のことを表します。
星の条件は、以下の2つです。
- ローソク足の実体が長くない
- ヒゲが短い
星が出るということは、価格が上がるのか下がるのか迷っている状態なので、次のローソク足を見なければ、なんとも分からないです。
そして、3本目のローソク足の形により以下の6つのパターンにわけられます。
- 三川明けの明星
- 三川宵の明星
- 三川宵の流れ星
- 三川宵の十字星
- 二ツ星
- 三ツ星
順番に見ていきましょう。
三川明けの明星
星が出現した次のローソク足(つまり3本目のローソク足)が陽線の場合、三川宵の明星と呼ばれるパターンが完成します。
トレーダーの心理を解説すると、2本目に十字線あるいは、小さなローソク足が出現した時は、相場がどちらに動くか分からないため、様子見をしていました。
なぜなら、下落一辺倒の流れから、買いと売りの勢いが拮抗しているローソク足が出現した事で、下落が止まる可能性があるからです。
そして、3本目のローソク足で陽線が出現したため、買いの勢いが売りの勢いに勝ったと判断できます。
その結果、三川宵の明星の出現は、反転上昇のサインです。底値圏で出現すれば、上昇トレンドに転換する可能性が高いでしょう。
三川宵の明星
星が出現した次のローソク足(つまり3本目のローソク足)が陰線の場合、三川宵の明星と呼ばれるパターンが完成します。
2本目の十字線や小さなローソク足の出現は、これまでの上昇の勢いが衰えていることを表します。
続いて陰線が出現したことで、売り方向への転換が明らかになりました。
天井圏で三川宵の明星が出現すると、下降トレンドに転換する可能性が高くなります。
なお、株式投資においては、三川明けの明星や三川宵の明星は、1本目のローソク足と2本目のローソク足の間に窓を開けているケースが多いです。
窓とは、直前のローソク足の終値と次のローソク足の始値の間に差が生まれる時に発生する現象です。
ただ、FXのように24時間開場している相場では、窓を開けたパターンはほとんど表れません。
そのため、窓を開けていなくても三川明けの明星や三川宵の明星は成立します。
三川宵の流れ星
三川宵の流れ星とは、以下のようなローソク足のパターンです。
- 陽線が出現
- 上ヒゲの長い陰線が出現
- 大陰線が出現
三川宵の流れ星の条件である長い上ヒゲの陰線は、上昇の勢いが衰え、売り圧力が強くなったことを表しています。そして、3本目の長い陰線出現により、トレンドの転換が起きた可能性が高くなりました。
なお、多くのサイトでは、2本目の長い上ヒゲの陰線に下ヒゲがないですが、下ヒゲがあっても成立します。
三川宵の十字星
三川宵の十字星とは、陽線→十字線→大陰線の順番でローソク足が出現するパターンです。
三川宵の十字星は名前の通り、2本目のローソク足が十字線でなければなりません。
注目するべき点は、十字線の後に出現した大陰線です。十字線が出現した際に、多くのトレーダーはこれまでの上昇が終わるのではと考えます。
そして、3本目の陰線出現により、売りの勢いが強くなるのです。三川宵の十字星が表れた後も下落が続く可能性が高いでしょう。
二ツ星
二ツ星は十字線に近いローソク足が2つ連続したパターンで、トレンド発生中に出現します。
そのため、どちらの方向に価格が伸びるのか注視しなければなりません。
例えば、上昇トレンド中に出現する連続する2本の短いローソク足は、上昇トレンドが継続するのか、トレンドが転換するのか迷っている状態といえます。
しかし、二ツ星出現後に、陽線が出現すれば、買いの勢いはまだ続いていると判断できるので、その後も上昇トレンドが継続しやすくなります。
一方で、陰線が出現すると、下降トレンドに転換した可能性が高くなるでしょう。
三ツ星
三ツ星は、十字線に近いローソク足が3つ連続したパターンで、二ツ星と同じくトレンド発生中に出現します。基本的に二ツ星と同じように、十字線は相場がどちらに動くのか迷っている状態です。
例えば、下降トレンドで三ツ星出現後に、陰線が出現すれば、売りの勢いはまだ続く可能性が高いです。
しかし、陽線が出現した場合は、反転上昇しやすくなります。
2-2. はらみ
はらみとは、ローソク足が1本前のローソク足の安値〜高値の価格にすっぽり収まるパターンです。
1本目と2本目がそれぞれ陽線と陰線のどちらかにより、その後の値動きも異なります。
また、3本の組み合わせで見る両はらみというパターンも存在します。
陰の陽はらみ
陰の陽はらみとは、陽線が1本前の大陰線の範囲に収まるパターンです。
そして、安値圏で3本目のローソク足が陽線になった場合は、それまでの下降トレンドから上昇トレンドに転換するため、価格が上昇していく可能性が高くなります。
陽の陰はらみ
陽の陰はらみとは、高値圏で陽線が1本前の大陽線の範囲に収まるパターンです。
続いて3本目のローソク足が十字線や陰線が出た場合、下降トレンドに転換する可能性が高くなり、その後は下落しやすくなります。
ところで、高値圏で陽の陽はらみが出現すると、なぜ下落しやすいのでしょうか?その理由は、2本目のローソク足は陽線ではあるものの、1本目のローソク足の高値を更新していないからです。
また1本目の陽線よりも高値と安値の範囲が狭いという事は、上昇の勢いが衰え、値動きが乏しくなりつつあることを示しています。
そのため、高値圏で陽の陽はらみが出現した場合、上昇トレンドが終わる可能性があるのです。
陰の陰はらみ
陰の陰はらみとは、安値圏で陰線が1本前の大陰線の範囲に収まるパターンです。
続いて3本目のローソク足が十字線が出た場合、上昇トレンドに転換する可能性が高くなり、価格が上昇しやすくなります。
2本目の陰線は1本目よりも安値の価格が高い位置で終わっています。つまり、安値を更新できるほどの売りの勢いはなくなりつつある事が分かのです。
そのため、下降トレンドの継続性に疑問を持つべきでしょう。
両はらみ
両はらみとは、2本目のローソク足の範囲内に1本目のローソク足と3本目のローソク足があるパターンです。
両はらみは、以下のように2種類あります。
陽の両はらみとは、両隣の短い陰線が真ん中の長い陽線の範囲内に収まっている形です。
長い陽線の出現は買いの勢いが強くなったことを表しています。
3本目のローソク足で短い陰線が出現し、下落しているものの、その後は上昇する傾向が強くなります。
特に安値圏で陽の両はらみが出現すると、反転上昇しやすいでしょう。
一方で両隣の短い陽線が真ん中の長い陰線の範囲内に収まっている形を陰の両はらみと呼びます。
2本目の長い陰線が売りの強さをものがたっています。そのため、高値圏で出現した場合、一旦は上昇しても下落する傾向が強いです。
2-3. つつみ
つつみとは、ローソク足が1本前のローソク足の安値と高値の両方を包み込んでいるパターンです。
つつみは、高値圏・安値圏のいずれで出現してもトレンドが転換する可能性があります。
では、つつみにはどのような種類があるのでしょうか?
陽のつつみ
陽のつつみとは、1本前の陰線をつつみこむ陽線が出現するパターンです。
安値圏で出現した場合、反転上昇する可能性が高くなります。
なぜなら、2本目の陽線が1本前の陰線よりも長いローソク足であるため、直前の売りを否定する動きになるからです。
陰のつつみ
陰のつつみとは、1本前の陽線をつつみこむ陰線が出現するパターンです。
高値圏で出現すると、反転下落する傾向があります。直近の買いの勢いが2本目の長い陰線の出現で否定された事になるため、買いのポジションを持っている時に陰のつつみが出現した時は、注意が必要です。
両つつみ
つつみには、両つつみと呼ばれるパターンもあり、上のパターンは真ん中の陰線が両側の大陽線につつまれています。この場合、2本目の陰線で下落が続くと思いきや、あっさり3本目の長い陽線で下落の動きを否定しています。
上昇の勢いが強くなっているため、素直に買うべき形です。
一方、真ん中の陽線が両側の大陰線につつまれている場合は、強い下落のサインです。
3本目の大陰線で、買い方の勢いを否定しているからです。そのため、今後は下落する可能性が高くなります。
抱きの一本立ち
抱きの一本立ちとは、複数の短い陰線が3本〜4本連続して出現後に、大陽線が出現するパターンです。
抱きの一本立ちの成立条件は、以下の2つです。
- 大陽線の終値が、複数の短い陰線の最高値よりも高い価格
- 大陽線の最安値は、複数の短い陰線の最安値よりも安い価格
そもそも、直前の連続する短い陰線は、下落は続いているものの、下落の勢いが弱まりつつあることを表しています。
そして最後に出現する長い陽線が、これまでの下落を一挙に否定するため、反転上昇する可能性が高くなるのです。
2-4. かぶせ
かぶせとは、1本前の陽線の高値を一時的に超えたものの、結局陽線実体の半分以下の水準で終値をつけた時に表れる形です。
多くのトレーダーは、直前の陽線の高値を超えて上昇する事で、高値を超えたということは、買いの勢いが強いのだからまだまだ上昇するだろうと考えます。
ところが、予想に反して下落し、始値よりも大幅に低い水準で終値をつけます。
トレーダーは、最初の上昇はだましなので、これ以上価格は上昇しないのではと考えるため、反転下落しやすくなるのです。
かぶせ線は、天井圏で出現しやすいパターンです。かぶせ線が出現したら、そろそろ下がるかもしれないと考えておきましょう。
2-5. たくり
たくりとは、下落トレンドが続いている相場で、一時的に急落したものの、終値にかけて大きく上昇した際に表れるローソク足です。
たくりの長い下ヒゲは、下落の圧力が弱まっていることを表しているので、反転上昇のきっかけになります。
二本たくり線
2本たくり線は、下ヒゲの長い2本の安値がほぼ同じ価格帯の陰線が出現します。
3本目のローソク足も安値がほぼ同じ価格帯ですが、十字線が表れると、反転上昇する可能性が高くなるでしょう。
2本たくり線の意味は、2本の陰線の長い下ヒゲは、価格が下落しにくい状況を表しています。そのため、売りポジションを保有しているなら、決済を考え始めなければなりません。
そして、直近2本のローソク足安値付近に出現した十字線は売りと買いの勢いが拮抗している場面で表れるローソク足です。つまり、前2本のローソク足と比べて売りの勢いが衰えているため、いつ反転上昇してもおかしくない状況なのです。
2-6. 燕返し
燕返しとは、上昇を示唆するローソク足のパターンで以下の4本のローソク足から構成されているパターンです。
燕返しは、買いと売りの勢いが拮抗している時に表れます。
ローソク足が2本連続で始値より高いということは、上昇の勢いもあることを示しています。4本目のローソク足で上昇したことで、その後の値動きは強くなりやすいです。
2-7. 鷹返し
鷹返しは、下降トレンドに転換する際に表れるローソク足で、以下の3つのローソク足で構成されています。
- 大陽線
- 窓を開けて小陰線が表れる
- 小陰線をつつむ陰線
窓を開けて小陰線が出たことは、最初は買いの勢い強かったにも関わらず、買いの勢いが衰え、反転下落する可能性が出ています。
そして、3本目のローソク足が小陰線を包むように、大きく下落したことで、下落トレンドに転換する可能性がさらに高くなりました。
そのため、高値圏で鷹返しが出現すると、上昇の勢いは完全に削がれ、下落の値動きが続きやすくなるのです。
3. 酒田五法の三川のエントリー方法や注意点について解説!
酒田五法の三川には様々な種類がありますが、エントリー方法やエントリー時の注意点についても知っておきましょう。
事前に把握しておくことで、三川のパターンが出現した後、すぐにエントリーができるようになります。
3-1. 流れ星からの反転下降
上のチャートは、流れ星からの反転下降の代表的なパターンです。エントリー方法と注意点について解説します。
エントリー方法
まず、流れ星は、2本目のローソク足が上ヒゲの長い陰線が出ています。そして、3本目で長い陰線が出たのを確認して売りエントリーを行います。
損切りラインは、2本目の長い上ヒゲのローソク足の先端よりやや高値に置きます。
この場所に損切りを置く理由は、長い上ヒゲを超えてしまうと、さらに強く上昇する可能性があるからです。
エントリー時の注意点
エントリーをする際の注意点は、必ず3本目の陰線確認後にエントリーを行うことです。
2本目の長い上ヒゲのローソク足も買いの勢いが弱くなっていることは確かなのですが、この時点では、まだ買いの勢いが弱くなっておらず、再び上昇する可能性があります。
さらに陰線が出現すれば、再度強い上昇が起きる可能性はかなり低くなっています。
したがって、必ず3本目のローソク足が確定するまで待ってエントリーを行いましょう。
3-2. 陽の両はらみからの上昇
続いて陽の両はらみからの上昇のエントリー方法や注意点について解説します。
エントリー方法
3本目の陰線は真ん中の陽線の高値〜安値の範囲内に収まっています。そのため、売りの勢いはそこまで強くなく、再度上昇すると判断してすぐに買います。
なお、損切りラインは、真ん中の大陽線の最安値を少し割った箇所におきます。
結果的に、上昇後に一旦下落を挟むものの、再度上昇していきました。
エントリー時の注意点
陽の両はらみを確認してエントリーするときの注意点は、必ず1本目と3本目の陰線が真ん中の大陽線の範囲に入っているかを確認することです。
よくよくみると、どちらかの陰線が真ん中の陽線の価格帯を超えていることもあります。
そのため、チャートを見る時は、必ず拡大して見るようにしましょう。
3-3. 三川明けの明星からの反転上昇
最後に三川明けの明星のエントリー方法や注意点について解説します。
エントリー方法
まず、長い陰線の後、上ヒゲも下ヒゲも短いローソク足を確認します。2本目のローソク足は陰線か陽線かは問いません。3本目のローソク足で長めの陽線が出現すれば、買いでエントリーしましょう。
損切りラインは、2本目のローソク足の最安値を少し割れたあたりに置きます。
もし、2本目のローソク足の最安値を割れるとなると、下落トレンドが再開した可能性があるので、躊躇なく損切りしてください。
エントリー時の注意点
三川明けの明星でエントリーをする際は、2本目のローソク足に注意しましょう。
2本目のローソク足のヒゲや実体が長い場合は、三川明けの明星ではありません。
また、2本目のローソク足を確認してすぐにエントリーしないように注意して下さい。
三川明けの明星のパターンはよく表れるパターンなので、筆者も確認してエントリーを行いますが、うっかり3本目の終値が確定する前にエントリーした結果、損切りに何度も引っかかったことがあります。
2本目のローソク足が出現した段階では、まだ相場が上昇するのか下落するのか分からない状態です。
売りの勢いが収まったと考えて、買いエントリーするのは危険です。
4. まとめ
酒田五法の三川は種類が多く、すべてのを一度に覚えるのは大変かもしれません。
しかし、三川は様々な局面で出現するパターンです。そのため、トレンドの継続する場合だけでなく、トレンドが転換するケースでも表れます。
ただし、すべてのパターンにいえますが、三川のパターンが完成する前にエントリーをするのは避けましょう。
必ず終値が確定してからのエントリーを心掛ければ、損切りばかりで使えないということにはなりません。
覚えておいて損はないので、一つずつ覚えてくださいね。