【ダウ理論/グランビルの法則】明確な違いとセットで使うのがおすすめな理由
ダウ理論とグランビルの法則は、投資家なら誰もが一度は聞いたことがある分析手法です。
ただ、まだFXを始めたばかりの方の中には、両者の違いがよく分からず混乱されるかもしれません。
そこで当記事では、
- ダウ理論とグランビルの法則の特徴
- 2つの手法を組み合わせるメリット
- トレードする際の使い方
について解説します。
当記事を読めば、ダウ理論とグランビルの法則の違いだけでなく、どのようにトレードに活用すれば良いのか分かるようになります。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1. ダウ理論とグランビルの法則は違う分析方法なので注意する
ダウ理論とグランビルの法則はどちらも投資家の間で有名ですが、意味は全く異なるので注意してください。
ダウ理論 |
|
グランビルの法則 |
|
ダウ理論は、トレンドの継続や終了を把握するのに使えます。
ただ、すべての原則が実際のエントリーで使われるわけでは多くありません。
一方で、グランビルの法則は、売買の判断にも使える法則です。
また、ダウ理論とは異なり、移動平均線も組み合わせて値動きを予測します。
どちらも重要な考え方ですが、混ざらないように注意しましょう。
2. ダウ理論の6つの原則
ダウ理論には6つの原則があるので、意味だけでも知っておきましょう。
原則 | 意味 |
---|---|
価格はすべての事象を織り込む | 価格には、経済指標やニュースを見た投資家の反応などすべての事象が織り込まれている |
トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される | トレンド相場は、期間の長さにより、3種類ある |
主要なトレンドは3つの段階から形成される | トレンドには、先行期→追随期→利食い期の3段階ある |
価格は相互に確認される必要がある | ある商品の価格は別の商品の価格と相関関係がある |
トレンドは出来高でも確認されなければならない | 本格的なトレンドが起きると、出来高も上昇する |
トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する | 高値や安値の切り下げや切り上げが続く限り、トレンドは継続する |
ダウ理論の原則は、どれも値動きの習性を表しており、投資をするなら覚えておいて損のない原則ばかりです。
6つの原則の中でも使いやすいのは、6つ目の「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」です。
この考え方を利用すれば、トレンドが継続するのか、終了するのかの判断も簡単になります。
ダウ理論は、売買時の判断も使えますが、トレンド判断をする際に利用するケースがほとんどであると把握しておきましょう。
ダウ理論の基礎から実践的な使用方法、注意点については、「【画像付き】ダウ理論を分かりやすく解説!6つの基本原則から注意点まで」を参考にしてくださいね。
3. グランビルの8つの原則
他方、グランビルの法則とは、トレンド系のテクニカル指標である移動平均線と価格の関係を表した原則のこと。
買いパターンと売りパターンがそれぞれの4つずつあるので、順番に見ていきましょう。
尚、「移動平均線」からグランビルの法則を詳しく理解するためにも別途、「移動平均線を活用する?グランビルの法則を使いこなす方法を詳しく解説」を参考にしてみてくださいね。
3-1. グランビルの法則の買いパターン4つ
パターン | 種類 | 条件 |
---|---|---|
買いパターン1 | 新規買い | 上向きや横向きの移動平均線を価格が下から上へ抜ける |
買いパターン2 | 押し目買い | 上昇中の移動平均線を一時的に下回ったものの、すぐに上昇に転じる |
買いパターン3 | 買い増し | 価格が上昇中の移動平均線に向かって下落した後、割り込まずに再び上昇した |
買いパターン4 | 短期の買い | 価格が移動平均線から大きく乖離した |
買いパターン1の新規買いは、下降トレンドやレンジ相場から上昇トレンドが発生する直前に起きやすいパターンです。
一度、価格が移動平均線を下から上へ突き抜ければ、しばらく移動平均線を割り込まずに上昇し続けます。
買いパターン2の「押し目買い」や買いパターン3の「買い増し」は、上昇トレンド時にたびたび出現するパターン。
そもそも、価格が移動平均線を上抜けると上昇トレンドに発展することがあります。
上昇トレンド中の価格は移動平均線の上に位置する時間が長いですが、時々、移動平均線の周辺まで下落します。
ただ、下落したからといって上昇トレンドが終わったと決めるのは早計。
押し目買いや買い増しのパターンでエントリーすれば、再び上昇し始めるからです。
押し目買いや買い増しは、一旦下落した時に発生するパターンなので、手頃な価格で買えるチャンス!
そのため、上昇トレンドに乗れた場合と乗り損ねた場合では戦略が変わります。
保有ポジションの有無 | パターン | |
---|---|---|
上昇トレンドに乗れた場合 | 買いポジションあり | 押し目買い |
上昇トレンドに乗り遅れた | 買いポジションあり | 買い増し |
そして、買いパターンのうち、唯一下降トレンドで発生するのが買いパターン4の短期の買いです。
下降トレンド時に移動平均線の向きが下向きで、価格が移動平均線から乖離(大きく離れて)するぐらい離れる局面があります。
このような局面では、売られすぎと捉えられ、一旦価格が急上昇するのです。
3-2. グランビルの法則の売りパターン4つ
パターン | 種類 | 条件 |
---|---|---|
売りパターン1 | 新規売り | 下向きや横ばいの移動平均線を価格が上から下へ抜ける |
売りパターン2 | 戻り売り | 下降中の移動平均線を一時的に上回ったものの、すぐに下降に転じる |
売りパターン3 | 売り増し | 価格が下降中の移動平均線に向かって上昇した後、割り込まずに再び下降した |
売りパターン4 | 短期の売り | 価格が移動平均線から大きく乖離した |
売りパターン1は、上昇トレンドからの反転下落時やレンジ相場で現れやすいパターン。
ただし、レンジ相場では何度も売りパターン1が発生するケースもあり、だましを避けなければ損切りが多く発生します。
売りパターン2と売りパターン3は、下降トレンド中に頻繁に発生するパターンです。
価格が上昇する際、移動平均線を超えるか超えないかで発生するパターンは変わります。
そして、最後の売りパターン4のみ上昇トレンド中に発生するパターンです。
上昇トレンド中もずっと上昇し続けるわけではありません。
移動平均線との乖離が起きれば、買われすぎと捉えられ、一時的に下落するのです。
このように、グランビルの法則を使えば、トレンドが継続するのか転換するのかが分かるようになります。
トレンドが継続するパターン |
|
トレンドが転換するパターン |
|
また、移動平均線との乖離率もチェックしましょう。
特に、重要なのが買いパターン4と売りパターン4の乖離率。
乖離率が25%以上であれば、グランビルの法則のパターン通りに動く可能性が高くなります。
3-3. 移動平均線の設定
グランビルの法則では移動平均線が表示されます。
移動平均線のパラメーターは、時間足によって設定する期間が変わるので注意して下さい。
- 5
- 10
- 20
- 25
- 50
- 75
- 100
- 200
例えば、日足でトレードする場合は、200日移動平均線が一般的です。
しかし、1時間足でトレードする際に200日移動平均線を使うと、パターンが発生しにくくなります。
したがって、「25日、50日、75日」など短い期間を使うのが一般的です。
4. グランビルの法則とダウ理論を組み合わせるメリット
チャート上では、グランビルの法則のシグナルが多く発生します。
しかし、シグナル通りにエントリーしても損切りばかりのケースもあります。
そのため、売買の判断に利用するテクニカル指標がグランビルの法則だけでは心許無いです。
そこで、グランビルの法則とダウ理論を併用したトレードをおすすめします。
2つの手法を併用するメリットは以下の2つ。
- より精度の高いトレードができる
- チャンスが広がる
詳しく解説しますね!
4-1. 1.より精度の高いトレードができる
グランビルの法則とダウ理論を併用すれば、より精度の高いトレードができます。
上のチャートは、下落トレンド発生中ですが、①の局面で直近高値を超えました。
同時にグランビルの法則の戻り売りが発生していますが、すでにダウ理論の第6原則ではトレンドが終了している可能性があります。
そして、②ではグランビルの法則でも「新規買いのパターン1」が出現したため、迷うことなく買って良い局面です。
その後の値動きは、完全に底値を打ち上昇していきました。
まずダウ理論の原則を確認し、グランビルの法則のシグナル出現を待ってエントリーすれば、より精度が上がるのです。
4-2. 2.チャンスが広がる
ダウ理論の第4原則の「価格は相互に確認される必要がある」とは、ある商品の価格は別の商品の価格と相関関係があることを表します。
その一例がユーロドルとゴールドです。
例えば、ユーロが上昇するとゴールドも後から上昇したり、ゴールドが売られるとユーロも下落したりするのです(株式市場でも特定の関連銘柄が相関・逆相関します)。
以下のチャートはユーロドルのチャートです。
7月13日に「買い増しのパターン2」が発生して以降、上昇傾向ですね!
そして、以下のチャートはゴールドのチャートです。
7月19日に「押し目買いのパターン2」が発生し、急上昇しています。
ダウ理論の第4原則を知っていれば、複数の商品の価格を比べて値動きを予測できるのです。
5. グランビルの法則とダウ理論を組み合わせたトレード手法とは
ダウ理論でトレンドの継続性を確認しておけば、グランビルの法則のシグナルが信用できるか分かるでしょう。
例えば、上のチャートを見て下さい。高値と安値を切り上げているため、ダウ理論通りに上昇しています。
そのことを理解していれば、グランビルの法則の買いパターンが発生した際、自信を持って買うことができるでしょう。
また、右端付近でもグランビルの法則なら買い増しのシグナルは発生していますが、ダウ理論では上昇トレンドではありません。
なぜなら、グランビルのシグナルが出る少し前に、ローソク足が直近安値を割れてしまったからです。
ローソク足が直近安値を割れた場合、ダウ理論のトレンド継続の条件である安値の切り上げも終了したことを表します。
実際に、ダウ理論でトレンド終了を示唆した後、大きな下落が発生しました。
このように、2つの手法を使えば、だましに遭うリスクも減らせるのです。
6. まとめ
グランビルの法則は、トレンド相場の継続と終了時のパターンなので、汎用性が高いです。
ただ、グランビルの法則だけでは、勝率は6割にも満たないでしょう。そこで、ダウ理論の原則を確認した後にグランビルの法則通りエントリーすれば、騙しにあうリスクも減るのです。
ぜひ2つの手法を併用してみて下さいね!
【関連記事】