エリオット波動8つの特徴④波の予測に役立つチャネリング
前回の記事では、エリオット波動のオルタネーションについて解説した。今回は、エリオット波動8つの特徴の4つ目、チャネリングについて説明していく。チャネルの引き方やトレンド転換点の探り方についても押さえていこう。
・波動の延長
・波動の均等性
・オルタネーション
・チャネリング ←今回はこの話をします。
・出来高
・比率関係
・修正波の深さ
・波動の個性
目次
1. エリオット波動のチャネリングとは
チャネリングは、インパルスの1波~5波における各終点を平行に結ぶと綺麗なチャネルを形成する場合があることを指す。チャネリングの知識があると、インパルスのチャネルを発見したり、5波の終点となる位置を想定できたりするようになる(確実ではないが目安となる)。
文字だけではわからないので、図でチャネリングについて解説する。
図からもわかるように、1波と3波の終点を結ぶとトレンドラインになる。一方、2波と4波の終点も1波と3波に対して平行なトレンドラインとして結ぶことができる。上下のトレンドラインは綺麗なチャネルを形成し、5波終点が1波と3波のトレンドライン上に乗るだろうと推測できる。
このように平行に引ける2つのトレンドラインをチャネリングという。別の言い方をするとチャネルラインと言う。相場ではチャネリングと言うよりはチャネルラインと言う場合も多い。
1-1. チャネリング(チャネルライン)の引き直し
ただし、チャネリングは各波の終点でトレンドラインを引いても線上をなぞらないことがある。その場合は、反対側でトレンドラインを引いてから平行に波の終点に置いてみる。
以下の図は 4波が最初に引いたチャネルラインに到達しなかったために、2波と4波でラインを引き直した場合の図である。
2波と4波と平行なトレンドラインを1波から3波で引き直すことでチャネルが作られる。そして、5波終点となる位置は3波の延長線上となる。
1-2. スローオーバーする場合
チャネリングには、スローオーバーと呼ばれる副次波である5波がチャネルラインを超えて終了することがしばし、見受けられる。このように、5波がチャネルラインを超えるスローオーバーが発生するには前兆が2つある。
・出来高の急増(為替の場合は出来高がわからない場合があるので判断ができない)
・4波がチャネルラインを飛び出す
出来高の急増とは、5波がチャネルラインに近づくにつれて出来高が増加していく。結果として、5波終点ではチャネルラインを超えるスローオーバーが見られるのだ。
また、4波がチャネルラインを飛び出すというのは一時的なものだ。4波終点でトレンドラインを割るものの、トレンドラインに回帰すると5波はスローオーバーを見せる有力な材料になる。また、5波がチャネルラインに到達せずに終わってしまうパターンもある。
1-3. チャネルを引いてトレンド転換点を探す
チャネリングでは、異なる時間軸の波動からトレンド転換点を探ることもできる。例えば、大きな波動である5波と5波の副次波である5波からチャネルラインを引くことができる。
仮に、2つの波動から引いたチャネルラインが同じ箇所に達するのであれば、トレンド転換点は近い裏付けになる。断言はできないが、トレンド転換する可能性が高いと推測してよいだろう。
2. エリオット波動のチャネリングは参考程度でよい?
俺としては、チャネリングについては、あまり意識しないでよいと考える。個人的に8つの特徴の中で一番疑問に感じるところだ。
「だったら、説明するんじゃないよ」と言われそうだがエリオット波動で言われていることを全て説明した上で覚えなくてよいところ、覚えないといけないところを語っていこうという趣旨なので、説明をあえてしている。
気にしないでも良いという理由だがそもそも、チャネルラインが引けるインパルスが少なすぎる。多くの出来上がったチャートではいくつも見つかるが、実際にチャートの形成途中で判断の役に立つのか?といえば怪しいところである。
さらに、チャネルラインはエリオット波動でなくても、普通に引ける場所はたくさんあるしチャネルラインを分析に用いているトレーダーはたくさんいる。また、4波がチャネルの下限に到達しなかった場合に引き直すとあるが逆に4波がスローオーバー(飛び出すこと)した場合は引き直さないのか?という話になってくる。
さらに言ってしまうと、実際の相場ではインパルス内に限らずチャネルライン上でピッタリ止まることの方が稀である。ほとんどの場合、到達しなかったり飛び出したりするものだ。
エリオットも「しばしチャネルを作る」と言っているので、これについて気合を入れて覚える必要があるのか?と俺は考える。実際のトレードでは参考程度であまり気にしてもいないが、それによって不都合が起きたことはない。
3. エリオット波動のチャネリングまとめ
今回は、エリオット波動のチャネリングについて説明してきた。もう一度、ポイントをまとめてみよう。
・チャネル上で止まらない場合は引き直す。
・5波がチャネルをスローオーバーする場合がある。
・5波の副次波にもチャネルラインが引ける場合は、トレンド転換を疑う。
次回は、エリオット波動8つの特徴の5つ目、「出来高」について話していく。
エリオット波動8つの特徴⑤出来高で波の勢いを把握しよう