【酒田五法】三法を抑えればエントリーも冷静になれる?特徴と使い方を解説
酒田五法の三法は、トレードが売り買いだけでなく休むことも重要であることを教えてくれます。
ただ、初めてトレードする方は、なぜトレードで稼ごうとしているのに、休まなければならないのか不思議に思うかもしれません。
そこで当記事では、
- 酒田五法における三法の意味
- 三法のエントリー方法や損切り
- エントリーする際の注意点
など三法に関して押さえておきたいポイントについて解説します。当記事を読めば、三法の重要性が分かるので、トレードの勝率も上がるはずです。
ぜひ最後まで読んでみてください。
【関連記事】酒田五法って?概要と主な5つの種類を項目ごとに詳しく解説
目次
1. 三法とは売り・買い・休みを意味している
酒田五法の三法とは、売り・買い・休みを意味しています。
初めて聞いたトレーダーの中には、相場は「買う」か「売る」かしかないのに、なぜ休みがあるのか不思議に感じるかもしれません。
その理由は、相場の傾向が関係しています。
そもそも、初心者がFXで利益を上げるためには、価格が継続的に上昇あるいは下落し続けている時にエントリーするのが一番です。
このような、価格が一方向に動き続ける相場をトレンド相場と呼びます。
ただ、相場でトレンド相場が発生する頻度は全体の3割前後しかありません。
以下のチャートは、2020年前後のユーロドルの日足チャートです。
トレンド相場が108日しかないのに対して、レンジ相場は166日も発生しており、トレンド相場はだいたい3割〜4割ぐらいしか発生していません。
1-1. トレードの回数を増やしすぎても勝てないのが相場
FX初心者の中には、昔の筆者のようにすべてのチャンスでトレードできれば、より大きな利益を得られるはずだと考える方もいるでしょう。
しかし、残念ながらずっと相場に張り続けても良い結果は生まれません。
たとえば、値動きが乏しいレンジ相場で何度も売買を繰り返せば、大きな利益が得られないからです。
さらに、スプレッドなどの手数料を合わせると、損益がマイナスになることがほとんどです。筆者も以前、あるルールに合致したタイミングがあれば、闇雲にエントリーをしたことがありますが、結果はボロボロでした。結果が良くなかったのは、ルールがレンジ相場を抜けた時にしか利益にならないルールだったからです。
さらに、チャンスを逃してはならないという念にかられ、集中力もなくなっていました。そのため、クリックミスをしたり、大きな利益を得られる肝心な場所でエントリーし忘れることが起きたのです。
一方で、以下のように、ここぞという場面に絞って売買すれば、利益も多く、損失のリスクを減らせます。
このように、ルールを覚えたての初心者の方が何度もレンジ相場で取引をし続けて、利益を増やしていくのは困難です。
1-2. 三法を覚えれば、無駄な損失が減るので、利益を上げやすくなる
酒田五法の三法では、休むも相場=相場は時に休むことも必要だということを説いています。
投資では欲を出しすぎると、客観的な判断ができずに大きな損失を出しやすくなります。
客観的な判断ができなければ、トレードの回数ばかり増えるでしょう。その結果、損切りが多く発生したり、保有したポジションを損切りせずに含み損が膨らむことが増えてしまうでしょう。
初心者の方にまず伝えたいのは、相場が動いているのか小休止しているのか見極めることです。
現在の相場の状況を見極められれば、以下のような流れができるので、利益を上げやすくなります。
- 相場の状況が判断できる
- 無駄なエントリーが減る
- 無駄なエントリーが減ったことで、負けの回数が減る
- 負けの回数が減れば、損失は減る
- 損失が減れば、利益は相対的に増える
つまり、三法の教えや分析を実行するためには「値動きが少ない時期は売買を避け、トレンドが発生したタイミングを狙う」ことが重要です。
ところで、三法では、「上げ三法」と「下げ三法」と呼ばれるルールがあります。どのようなルールなのでしょうか?
1-3. 上げ三法は上昇相場の一時的な休みを表している
上げ三法とは、上昇トレンド中の相場で一時的に値動きが乏しくなった後に、再度上昇トレンドが継続する時に表れます。
上げ三法は、大陽線のあとに陰線が3本出現、そして最後に高値寄りした大陽線が出現するパターンです。
真ん中の3本の陰線は、売りと買いの勢いが拮抗していることを表しています。
上級者は、上げ三法が出た時点で、今後の流れがはっきりするまで新たなエントリーを避けます。
しかし、最後の大陽線が出現すれば、上げの三法が完成し、上昇トレンドが継続する可能性が高くなります。
上げ三法が成立するためには、以下の重要な要素があります。
- 3本の陰線が、1本目の大陽線の安値を下回っていない
- 最後のローソク足が陰線の保ち合いを上抜けた
逆に、小さい陰線が大陽線を下抜けた場合は、上昇の勢いよりも下落の勢いが強いため、下落するかもしれません。
1-4. 下げ三法とは継続して下げ相場が続く状況を表している
下げ三法は、上げ三法とは逆のパターンです。大陰線出現後に、小さい陽線が3本出現します。
そして、最後に大陰線が出現したことで、まだ下落トレンドが継続していることが分かるのです。
真ん中の陽線は、相場がどちらの方向にいくかまだ分からない状況です。
最後の出現する大陰線が出れば、ようやく売りの勢いが強くなったことが分かるので、エントリーができます。
このように三法には「上げ三法」と「売り三法」があります。ただ、基本通りの三法が出現する頻度はかなり低いので、以下のようなパターンもあることは把握しておきましょう。
1-5. 基本的なパターン以外の三法
以下のように陰線と陽線が混じっているパターンや一時的に1本目の大陽線の範囲を超えている場合でも三法として解釈されることがあります。
■陰線と陽線が混じっているパターン
■一時的に1本目の大陽線の範囲を超えているパターン
ただ、三法に共通していえるのは、2本目〜4本目のローソク足が出現した段階では、値動きが乏しいので、まだエントリーしてはならないということです。そのため、エントリーをするなら、5本目のローソク足の値動きを見て、判断しなければなりません。
このように、酒田五法の三法は、投資で勝つためにはエントリーばかりするのではなく、休むことも重要なことを教えてくれます。
2. 上げ三法のエントリー方法や注意点
上げ三法のエントリー方法や注意点について解説します。エントリーする際に迷わないように、把握しておきましょう。
2-1. 上げ三法のエントリー方法
上げ三法では、大陽線出現後に3本の陰線が出現します。そして最後に大陽線が出現し、1本目の大陽線の高値を終値で超えれば、買いでエントリーできます。
なお損切りラインは、1本目の大陽線の最安値を少し下回った箇所におきましょう。
なぜなら、上げ三法の根拠として1本目の大陽線の最安値を下回らないことが必要だからです。
2-2. 上げ三法を確認した時の注意点
上げ三法を確認するタイミングは、4本目の陰線が出現後のケースが多いでしょう。
ただ、4本目の陰線の終値が確定した段階では、まだ上昇するとは限りません。
最初の大陽線は、買いの勢いが強いことを表しています。
しかし、2本目〜4本目の小さい陰線が出ただけでは、まだ2つの可能性が残っています。
大陽線後、買いの勢いは一旦衰えていますが、大陽線の安値を下回っていないということは、まだ買いの勢いが完全になくなっているわけではありません。
陰線が連続で出現したという理由だけで、売ってしまうと、5本目の大陽線で大きな損失を抱える可能性があるので、注意しましょう。
3. 下げ三法のエントリー方法や注意点
次に下げ三法のエントリー方法や注意点を解説します。下げ三法も覚えておけば、買いだけでなく、売りの際もエントリーしやすくなるでしょう。
3-1. 下げ三法のエントリー方法
下げ三法のエントリー方法は、5本目の大陰線の終値が、1本目の大陰線の安値を割れたことを確認した後です。
したがって、終値が確認できるまでは、まだエントリーのタイミングではありません。
なお、損切りラインは、1本目の大陰線の高値を少し超えた箇所です。
エントリー後に、1本目の大陰線の高値を超えるということは、だましだったことになります。
3-2. 下げ三法を確認した時の注意点
最初の大陰線は、売りの勢いが強いことの表れです。
しかし、2本目〜4本目の小さい陰線が出現すれば、トレーダーはどちらの考え方を持つようになるでしょう。
2本目〜4本目のローソク足が出現した段階では、まだ1本目の大陰線の高値を超えていません。
このことは、陽線が何本か出ていても、買いの勢いがあまり強くないことを表しています。
つまり、まだ反転上昇したとは言い切れないのです。
4. 三法の保ち合いが長くなるパターン
基本的な三法では、保ち合いはローソク足3本分です。
ただ、実際のトレードでは、ぴったり3本の保ち合いの後に、三法が成立するケースは多くありません。
上のチャートは下げの三法ですが、保ち合いが4本続いた後に、最安値を割れています。
保ち合いが長いと、最安値を割れた後も急落しやすいです。
長い時間をかけて売りと買いの勢いが拮抗していたのですから、方向性が決まった後の動きも強くなるのです。
5. 燕返しと上げ三法は似ている
上げ三法と似ている形として三川の燕返しがあります。燕返しの形と上げ三法の形を比べてみましょう。
燕返しと上げ三法の違いは以下の2点です。
上げ三法では保ち街が長く、買いの勢いが強くなるのは、5本目の大陽線出現まで待たなければなりません。さらに、2本目の陰線は、1本目の大陽線と同値か低い価格で始値をつけています。
他方、燕返しでは、上げ三法よりも保ち合いのローソク足の本数が少ないです。また、出現する陰線は、いずれも直前のローソク足よりも高い位置で始値をつけています。始値が高く始まるということは、陰線が出ているとしてもまだ買いの勢いが残っていることを表します。
このように燕返しと上げ三法は似ている形なので、やや混乱する方も多いかもしれません。ただ燕返しにしても上げ三法にしても、一旦値動きが乏しくなっています。そのため、値動きが乏しい間はエントリーせず、抜けた方向についていけば問題ありません。
6. まとめ
酒田五法の三法は、トレードで利益を上げたいなら抑えておきたいです。
上げ三法と下げ三法を理解すれば、トレンド転換するのか、トレンドが継続するのかの判断ができるようになります。
また無駄なトレードを減らせるので、損失も少なくなり、結果的に利益が増えやすくなるでしょう。
この記事を読んだみなさんは、昔の筆者のようにチャンスを逃したくないと無駄なエントリーは避けるようにしてくださいね。