FXで勝てない理由。エントリー後に逆行する意味を知らず勝てるわけがない
急伸する株価や為替の価格を見て、さらに上に行くんではないか?と思い飛びついて買った瞬間に価格が急落するという経験があるのではないだろうか?
これは、初心者のときに多くのトレーダーが経験する失敗である。
このままではダメだとトレードの書籍を読むなど素人なりに勉強する。そして「価格は上げ下げを繰り返すので押し目を待てばいいんだ」と理解する。ところが押し目と思われるところで買うが下がってしまう。逆にもうダメだと諦めて見るのをやめた瞬間に飛んでいく。
飛んでいく価格を指をくわえて見ているが、ドンドン上がっていき落ちる気配がない。そこで、もう一度勇気を出して買うが…その瞬間にまた下落していく。
前回、あきらめた後に飛んでいくのを見せつけられたので、膨らんでいく含み損に我慢するが反発する気配はない。そして精神の限界(資金の限界もある)が来て投げ売りをする。
そしたら、今度はそこが底となり反発していく。とにかく何をやっても上手く行かない。
もし、現在あなたがこのような経験をして途方に暮れているのであれば、この記事がその状態から脱する一助になると思う。
この記事を読むと、どうしてそういうことが起きるのか?が理解できるようになる。
世間ではあまり知られていない話であり、聞いたことがないかもしれないが、これを理解するとトレードの成績が大きく変わるはずである。
目次
1. FXや株の初心者が手法を覚える前に知っておきたい真実
多くの人は、業績や経済などで株や為替の価格が動くと考えているが、あなたは相場を動かせるほどの力を持った存在がいることを知っているだろうか?
マーケットは98%の負け組と、2%の勝ち組で構成されている。2%の勝ち組はいわゆる大口(ビッグ・ボーイズ)といわれている連中で、機関投資家ともいわれる(銀行・保険・ヘッジファンド、以下「大口」と表記する)。
この連中は、完全に相場を操縦することは出来ないが、ある程度は動かすことができる資金を持っている。
大量の資金を使い、相場を動かして素人の心理をゆさぶり、そそのかして利益を上げようとする。その手口は「儲けたいけど怖い」という人間の心理を上手くついている。
相場は今も昔も、時代と場所を変えて永遠にこれが繰り返えされている。
ごく少数の勝者(2%)が、その他大勢の素人(98%)を騙して成り立っている。
どうして、このような事になっているのか?と言うと大口が意地悪をしているというわけではなく、資金量が大きすぎて素人のように一発で玉を持ち、一発で利食いをするとか、一発でロスカットをするという事が出来ないのである。
玉を集めるのも一苦労、利食いするのも一苦労という状態なのである。
どのように相場を動かすのか?その手口は色々あるが、一つの例をあげると素人はグングンと力強く上がっていく価格を見ると、さらに上に行くんじゃないか?と考えて飛びつく習性がある。
急激に上がる価格に飛びついてしまうのは、素人によくありがちな行為だ。トレーダーとしてはまずい行為ではあるが、人間の本能からすると自然な行為である。それは人間には「今まで起きたことがこれからも続く」と思い込む習性があるからだ。しかし、トレードは本能の逆をいかないと勝てるようにはなれない。この辺りのことが98%が勝てない理由の一つでもある。
実はこのときの値動きは、大口がそう思わせるために演出している場合がある。
文字だけだと理解できないだろうから、図で説明する。
大口としては、自分で上げてからスグに利食い(利益を確定する為の売り注文のこと)をしてしまうと平均取得単価以上で逃げることが出来ない。ようするに自分の買い注文で価格を上げて、自分の売り注文で価格を下げてしまう。(儲ける為には買ったらそれを誰かに売りつけて逃げないといけない)
そこで、さらに大量に買い上げて上に価格を持っていく必要がある。下図参照
ただし、買い上げて上に向かう前に腰の入っていない中途半端な買いトレーダー(上がると強く信じてない連中)を排除する必要がある。
この辺りの事情を初心者は、理解しづらいかもしれない。
上がると強く信じてない連中は、「下がったらどうしよう?」「下がる前に逃げたい」といった不安で常にオドオド怯えている。そして、ある程度のところで利食いの売り注文を出してくる。大口からするとこの中途半端な連中の売りが、さらに上に持っていくのに邪魔になる。
大口はこのような理由から、腰の入ってない(上がると強く信じてない)トレーダーに邪魔されないように、上に価格を持っていく前に排除するのだ。
その排除することを「ふるい落とし」という。
やり方は簡単で、ただ単純に放置すれば良い。(今までのように買い上げることをやめてしまう。別名「放置プレイ」などといわれる。)買い注文が入らず、今まで強かった勢いが弱まる。すると腰の入ってない(上がると強く信じてない)トレーダーは不安にかられて投げ売りをしてくる。下の図を参考にしてほしい。
このメカニズムはチャートから群衆の心理を理解するのに、非常に大事なことなので何度も図を見て完璧に理解してほしい。
注意
この先の記事では一度説明した内容が重複する箇所が出てくる。それは、一度で理解できない場合が多く、話を理解するために前の文章に戻り読み直したりしなくてはいけない。(俺が初心者の頃にトレードを学んだときがそうだった。)その手間を省略できるようにと意図している。
最初は誰もがチンプンカンプンなものだ、あせらず一度で完璧に理解しようとせず何度も読み返してほしい。
とりあえず今は、急激に上がった後にくる急激な下げを「ふるい落とし」というとだけ覚えて先にすすむ。
1-1. ふるい落としはヘッジファンドの常套手法
前項のおさらいになるが、大口は、大量の資金で買い上げ急激な上昇で注目を集める。そして素人に飛びつき買いをさせる。しかしこのまま、大口は逃げることが出来ない(自分の売りで値段を下げてしまうからだ)
そこで、さらに上に価格を持っていく必要がある。理由を別の言い方で表現すると、自分の平均取単価から価格を離したいからである。平均取得単価より上に行けば行くほど、売り逃げられる確率が高くなる。
しかし、このときに邪魔をされたくない。
腰の入ってない(上がると強く信じてない)トレーダーがいると、気の迷いや不安から中途半端に利食いしてくるので、さらに上に持っていくときに邪魔になる。
だから、事前に排除する必要がある、これを「ふるい落とし」というと前項で説明した。
腰の入ってない(上がると強く信じてない)トレーダーを排除して、売り圧力がなくなれば価格は上がりやすくなる。これが「ふるい落とし」をしないといけない理由である。
この手口は外資系のヘッジファンドがよく用いる。今は少なくなったが、仕手戦を仕掛ける仕手筋などもこの手口を使う。
どうしてふるい落とす必要があるのか?
そして、ふるい落としが必要なもう一つの理由を説明する。
こういう経験はないだろうか?自分が諦めて投げた後に飛んでいかれた。
図で説明するとこんな感じになる。これメチャクチャ悔しくないか?メチャクチャ熱くなるよね?では、次にこうなったらどうする?下図参照
前回、ビビって投げた後に上がったので、今回は安く買えるチャンスと思い買いたくなるんじゃないだろうか?実際にほとんどの人が、一時的な下げで再び上昇すると考える。
大口は大勢のトレーダーをこういう心理状態にさせることを目的として、上昇を演出し、ふるい落としをし、売りが出てこなくなったのを確認して、さらに買い上げて上に持っていき、最後に利食いする。(ふるい落としの間も、平均取得単価以下にならないように買い支えを行っている)下図参照
深久から一言
このケースに限らず大口は素人を食い物にして利益を出すように行動している。
大口は、負け組を合計した資金よりも大きな資金を運用しているので、素人と同じタイミングで売買したら、逃げられないからだ。
売買というのは、必ず相手が存在して成り立つ。
これを意外と理解してない者が多い。大きな倉庫に株や通貨が大量にあって、いつでも売り買いできると思っている。大量の買いに対して、同等の売り注文がないと成立しない。これを理解してほしい。
1-2. FXの素人が勝ち続けることが不可能な理由
一般的に、素人はロスカットができない習性がある。そして、いつまでも含み損に耐える性質も持っている。基本的にはロスカットをしないで粘るのだが、例外的に急落が起きるとビックリして玉を投げる習性も併せ持つ。
素人のこのような習性は、よく鍋の中のカエルに例えられる。カエルは、熱湯が入った鍋に投げ込まれると飛び上がって逃げるが、鍋の中に水を入れて火をつけると湯だって死ぬまで鍋の中にいる。
素人はロスカットが出来ないので、いつまでも含み損に耐える。
カエルは鍋の中に水を入れて火をつけると湯だって死ぬまで中にいる。
素人は急落するとパニックで逃げる。
カエルは熱湯で逃げる。
大口は、素人のこの習性をよく理解しているので、急落を起こし素人がパニックで投げた玉(ポジション)を拾って大きな玉をつくる。
これを「玉集め」という。大口は何百億、何千億という資金を運用しているので、個人と違い玉を持つだけで一苦労である。大口は利食いにも苦労するし、玉を持つのにも苦労する。
買った瞬間に下がる理由を理解できただろうか?
こういう事情を知っていると、上昇で飛びつき、急落でパニックになり投げるという愚かしい行動をしなくなるのである。
2. ふるい落としをエリオット波動で解説
大口は資金が巨大過ぎるので、普通に買うと自分の買いで値段を上げてしまう。だから、急落を引き起こして素人をパニックにさせ、ポジションを投げてきたところを安く買って玉集めをする。こうすることにより、平均取得単価を上げずに玉集めができるのだ。
急落を起こす方法は前述した放置プレイ以外にも色々あるが、ここで全てを詳しく説明すると話が長くなるので、今はとにかく、パニックでびびらせて、ポジションを投げさせるために急落を起こすとだけ理解してくれ。
この急落のことを、「価格調整」とか「ふるい落とし」と相場ではいう。
エリオット波動論では、急こう配型修正と呼ぶ。
相場の調整は、価格だけでなく時間の調整もある。
いわゆる、「日柄調整」とか「時間調整」といわれるものだ。
これがエリオット波動論では「横ばい修正型」といわれる。
横ばい修正形など詳しく知りたい場合は、こちらを参照
3. FXのチャートは多数決で決まるわけでない
大口が素人をひっかける、もう一つの例を紹介しょう。
あなたは買ったはいいけど、動かないで横ばいが続きイライラした経験はないだろうか?下図参照
そして、ラチがあかないから投げたらブレイクして飛んでいく。下図参照
「クソー!!!やっぱり上かーーー」と飛びついたら、そこから急落。下図参照
こういう悔しい思いをしたことがあり、耳の痛い人もいるだろう。
これは大口が、そのような心理状態にさせ、飛びつき買いをさせるために演出していることである。そして、その飛びついてきたところに、自分の売り注文をぶつける。
感の良い人は気がついただろう。横ばいでイライラする動きは、大口が横ばいの下で買い支えて下げさせない。しかし価格が横ばいの上に来ると買いをやめて放置する。このようなことをすると横ばいでイライラするチャートが出来上がる。下図参照
横ばいでじれったくなったトレーダーが、玉を投げ売りしてくるところを大口がコツコツと拾う。ある程度の横ばいが続き売り注文が出てこなくなったら、さらに上に価格を持っていくために買い上げる。下図参照
大口がこのようなことをしているとき、素人からするとこのような心理状態になり、飛びついてしまう。
そして、飛びついた途端にまた下がるが起こるのである。下図参照
このようにマーケットというのは、2%の勝ち組とエサにされる98%の負け組で構成されて、負け組は常に騙され続ける。このことを頭に入れたうえで、「急こう配型の修正がきたら、ふるい落としが起きている」「横ばい型修正がきたら、横ばい地獄でイライラさせている」と解釈すれば良い。
そうすれば、大口の仕掛ける値動きに翻弄されずに済むのである。
チャートは群集心理で動く。しかし、それは多数決で動くのではない。
売りと買いの注文量の多い方が動くのだ。そして、ここが凄く大事なことなんだが
注文が多い=多人数とは限らないのだ。
注文が多い=ごく少人数という場合もある。
だから、チャートは群衆がどう思っているだろうか?と見るだけでなく。
巨大な資金を動かしている、大口が何を企んでいるのか?
大勢のエサとなる負け組をどうやって騙そうとしているのか?
という視点でチャートを見なくてはいけない。
初心者は、一度に理解できないかもしれないが、物凄く重要な相場の本質を話しているので、理解するまで何度も熟読してほしい。
4. おわりに
この記事で書かれていることを、はじめて知り驚いた人もいるだろう。また、にわかに信じられないという人もいるかもしれない。
しかし、これは俺の20年以上にわたる経験からくる話であり、実際に大口と呼ばれる連中と複数人友達になり、直接聞いた話である。
大口といわれる連中は何をしているのか?一言で言うと「素人の逆」である。
海外のヘッジファンドのトレーダーと話すと必ず聞かれるのが「素人は今どういう心境であるか?」である。
その他の大口のトレーダーでも、素人の注文状況の統計を集めて取り組みを見てトレードする者もいる。
この話から、得られる教訓は「素人と同じことをするな」である。
感情のままトレードをして、上昇すれば飛びつき急落すればパニックで投げる。こういうことを、今スグやめないといけない。
このようなことをしてないのに勝てないという人は、ロスカットの位置が小さすぎることが原因で小さなロスカットを量産して苦しんでないか?
大口はトレード本などで書かれているロスカットの位置や、素人が設定するロスカットの位置は、チャートを見れば簡単に見抜いてしまう。
そして、そこをワザと割り込ませてロスカットを誘発させたりもする。(これを「ロスカット・ハンティング」という。)
だから、ちょっとやそっとでは引っかからない場所にロスカットを設定してみることだ。資金管理をきちっとして大きな玉を持たないで、トレードをしていればロスカット・ハンティングの餌食にならないで済む。
この記事を読み、自分が買った直後に落ちる理由が少しは理解できただろう。この記事がヘッポコトレーダー卒業の突破口になれば幸いである。