トレンドラインとダウ理論の組み合わせはアリ?実践的な活用法を詳しく紹介!
FXトレーダーであれば、ダウ理論やトレンドラインを名前だけでも知っている方は多いのではないでしょうか。
とはいえ、
「ダウ理論は聞いたことあるけど、どう活用すればいいのか分からない」
「トレンドラインをトレードで使用しているけど、やり方が合っているか不安」
という悩みを抱えている方も多いでしょう。
一人でトレードの勉強・研究をしていると、自分のトレードが正しいか心配になりますよね。
この記事では、トレンドラインとダウ理論を活用したトレンド分析方法やトレード手法を、チャート画像を交えながら解説します。
この記事を最後まで読んでいただければ、トレードの具体的手法が理解でき、自分なりのトレード方法を見つけるきっかけになるでしょう。
それでは始めます。
目次
1. トレンドライン・ダウ理論とは何か
はじめにトレンドラインやダウ理論の概要を解説します。
トレンドラインとは、レジスタンスラインとサポートラインのことです。
トレンドラインを引けば、現在のトレンドが上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、それともレンジ相場なのかが分かります。
また、トレンドラインではポジションを持つタイミングや、損切りのタイミングも分析できるのです。
次にダウ理論とは、アメリカの金融アナリストであるチャールズ・ダウが考案した理論を指します。
ダウ理論の内容は下記の6つです。
ダウ理論はテクニカル分析の基礎であり、活用すれば現在のトレンドを分析できます。
2. トレンドラインとダウ理論を活用すれば、環境認識・トレンド分析ができる
トレンドラインもダウ理論も、現在のトレンドを分析する手法であるため、両者を活用することで環境認識が可能です。
環境認識をすれば、価格がトレンドのピークにあるのか、サポートラインやレジスタンスラインの間近であるのか、もしくはトレンド転換しかけている所に位置しているのかなどを予測できるのです。
ここでは、実際に環境認識をする方法を解説します。
2-1. トレンドラインでの環境認識
トレンドラインで環境認識する方法を3つお伝えします。
①サポートライン・レジスタンスラインを引く
チャート上にトレンドラインを引いてみましょう。
サポートラインは安値同士を、そしてレジスタンスラインは高値同士を線で結びます。
トレンドラインを引く上でよくある疑問点の1つは、「結ぶのはヒゲ同士か、実体同士か」ではないでしょうか。
つまり、高値(安値)同士を結ぶのか、終値(始値)同士を結ぶのか、という疑問です。
トレンドラインの引き方に厳密なルールはありませんので、ヒゲ同士を結んでも結ばなくても、どちらでも構いません。
ですが、トレンドラインを引く際は、ヒゲ同士を結ぶのか、実体同士を結ぶのかを統一するようにしましょう。
*ヒゲ同士を結ぶ場合
*ヒゲを無視して結ぶ場合
②トレンドの判断は角度45度を目安にする
トレンドラインを引いた時は、そのラインの角度に注目してください。
トレンドの角度が45度以上であれば強いトレンドであり、45度以下であれば弱いトレンドであると判断できます。
強いトレンドの場合、値上がり・値下がりするペースが速いですが、トレンドは長続きしません。
反対に弱いトレンドであれば、値動きは遅く、トレンドが継続しやすいのです。
③時間足は長い方を軸に考える
トレンドラインは時間足の長い方を基準にします。
なぜなら時間足が長いほど、相場全体のトレンドの方向を探りやすいため。
例えば5分足のローソク足には、5分間の情報しか含まれていません。
一方で、4時間足には5分足の48倍(の情報が含まれています。
(60分 ÷ 5分足)× 4時間足=5分足が48本分
つまり、時間足の長い方がより多くの情報を含んでいるため、相場全体の流れを反映しているのです。
そのため、もし5分足でトレードしているなら4時間足、1時間足でトレードしているなら日足など、長い時間足を利用してみましょう。
もし長い時間足と短い時間足でトレンドの方向が一致すれば、その方向通りに値動きする確率は高いと言えます。
反対に4時間足で上昇トレンドであり、10分足で下降トレンドである状況では、10分足の下降トレンドは長続きしないと考えられるでしょう。
2-2. ダウ理論での環境認識
続いて、ダウ理論を利用した環境認識の方法を解説します。
ダウ理論の6原則のうち、特に大切なのは「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」という原則です。
この原則を活用すれば、相場の環境認識が可能です。
ダウ理論では、トレンド発生の要件を「高値(安値)を更新した後に、安値(高値)を更新しない」と定めています。
下記の画像をご覧ください。
上昇トレンドでは、高値は更新し続けます。
一方で、安値は切り上がっていきますが、更新しません。
反対に、下降トレンドでは安値を更新し続け、高値は更新しないまま切り下がっていくのです。
ダウ理論の考えでは、高値(安値)を更新し、なおかつ安値(高値)を更新しない場合、トレンドが継続します。
3. トレンドライン・ダウ理論を組み合わせてトレンドを分析する
それでは、トレンドラインとダウ理論を組み合わせて環境認識するのはアリなのでしょうか?
もちろん正解は「アリ」です。
なぜならトレンドラインもダウ理論も、両方ともトレンドを分析する手法であるため。
加えて、ダウ理論には「トレンドは多くの指標で確認されなければならない」という原則もあります。
そのため、トレーダーは様々な手法を用いて、トレンド分析の精度を高めなければなりません。
ここではトレンドラインとダウ理論を活用して、トレンドの方向・転換点を分析する方法を解説しましょう。
3-1. トレンドの方向を知る
まずはチャートを見て、トレンドが発生しているかを確認しましょう。
例えば、以下の画像のように値動きしているとします。
値動きを確認すると、安値は切りあがり、高値更新し続けているのが分かりますね。
ダウ理論の原則「高値(安値)を更新した後に、安値(高値)を更新しない」を満たしているため、上昇トレンドが発生していると判断できます。
トレンド発生を確認したあとは、トレンドラインを引いてみましょう。
角度は45度より少し低めですが、緩やか過ぎる角度ではないため、しばらく上昇トレンドが持続するのではないかと推測できます。
このようにダウ理論とトレンドラインを組み合わせてトレンドを分析すれば、トレンドの方向だけではなく、トレンドの強さや持続性まで予想を立てられるのです。
ただし、トレンド分析は1つの時間足だけで判断しないようにしましょう。
長い時間足でも同じようにトレンド分析をし、主要なトレンドの方向を探るのがオススメです。
3-2. トレンド転換点を知る
続いてトレンドの転換点について解説します。
トレンドラインを利用する場合、サポート・レジスタンスラインを超えたタイミングがトレンド転換と認識されがちです。
しかしトレンドラインを超えても、ただちにトレンド転換とはなりません。
もし上昇トレンドの発生中に、価格がサポートラインの上から下へ抜いても、再び高値更新し続ける可能性はあります。
こうした「ダマシ」に引っ掛からないようにするために、トレンド転換点を見つける必要があるのです。
明確なトレンド転換点は、ダウ理論のトレンド発生要件と同じです。
つまり、高値(安値)更新の状況が逆転した時になります。
以下の図をご覧ください。
左の図では、トレンドライン(サポートライン)を超えた様子を示しています。
しかし、ダウ理論には「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」という原則があります。
ゆえに、この段階ではまだ上昇トレンド中なのです。
右の図では、トレンドラインを超えた後に続けて安値を更新しています。
加えて、高値は更新していないので、ダウ理論的に「下降トレンドが発生した」と捉えられるのです。
ここでようやくトレンド転換となります。
4. トレンドライン・ダウ理論を活用したトレード手法
それでは、トレンドライン・ダウ理論を活用したトレード手法を解説しましょう。
4-1. パターン① 順張りでエントリー→利確
上記のチャートを見ると、高値を更新し、なおかつ安値を更新していない状況を確認しました。
上昇トレンドと判断し、安値同士を結びサポートラインを引きます。
サポートラインを引いた直後にエントリーしましょう。
トレンド方向に合わせて、ロングポジションを持ちます。
エントリーして様子を見ると、チャネルライン(トレンドラインと並行になるように引くライン)まで近づきました。
チャネルラインに触れたタイミングを狙って利確します。
「価格がチャネルラインに到達するのが一瞬であるケースもあり、筆者は決済チャンスを逃した経験があります。それ以来、エントリー時は指値注文を入れて利食いを逃さないようにしています。」
4-2. パターン② チャネルライン上抜けによるトレンド転換狙いのエントリー
チャートを見ると、下降トレンドの発生中であるにも関わらずチャネルの上限を突き抜けています。
このような値動きをした場合は、下降トレンドから上昇トレンドへ転換したと疑って良いでしょう。
そして、この場合はチャネル上限のレジスタンラインがサポートラインとして機能するかを確認して、買いのエントリーを検討したいです。
実際、その後の価格推移を見てみるとチャネル上限がサポートラインとして機能し、上昇(トレンドが転換)したことが分かりますね。
「騙し」の値動きもあるため、絶対にトレンドが転換することはありません。
ですが、機能していたトレンドが崩れたとして一つのエントリー目安として見ておきたいポイントですよ。
4-3. パターン③ 予想と反してトレンドラインを超えてしまった→利確
下降トレンドが発生しましたので、レジスタンスライン付近でショートポジションを持ちました。
利確の目安はチャネルライン付近、そして損切りの目安はレジスタンスラインを超えた後です。
しかし、エントリー後にトレンドは転換し、価格がレジスタンスラインの下から上へ抜きました。
この時点では、まだ含み損は出ていませんでしたので、トレンド転換点が明確になるまで様子見します。
レジスタンスラインを超えて以降、高値を連続で更新したため、上昇トレンドへ転換したと判断します。
このまま様子を見続ければ、含み損を抱えてしまうと予想できました。
そのため、2度目の高値更新のタイミングで利益確定しました。
もしトレンドラインを超えた時点で含み損が発生していれば、損切りすべきでしょう。
しかし、含み損が出ていない場合は、トレンド転換を確認したあとでも問題ありません。
4-4. パターン④ 順張りでエントリー→トレンドラインを超えたため損切り
上昇トレンドが確認できたので、トレンドライン付近でロングポジションを持ちます。
しかし、エントリー後に価格がトレンドラインを抜けてしまいます。
トレンドラインを超えた時点では、含み損は出ていません。損切りせず、トレンド転換まで様子見したいところですが、それでは含み損が大きくなってしまいそうですね。
このように損切りのタイミングに悩んだ際は、前の安値(高値)を目安にするのをオススメします。
「上昇トレンドの場合、サポートライン付近でロングポジションを取り、チャネルラインのところで利確するのがベストです。しかし実際は都合よく行かないことも多いので、早いタイミングで利確してしまっても良いでしょう。」
例えば、チャネルラインとトレンドラインの中間あたりは利確のポイントになります。
特にトレンドの角度が急である時は、トレンドが長続きしないケースが多いので、2ラインの中間は利確ポイントの目安となるでしょう。
5. まとめ
トレンドラインとダウ理論を活用すれば、トレンドの方向や強さ、エントリーのタイミング、そして利益確定や損切りタイミングが分かります。
もちろん、トレンドラインとダウ理論は万能ではありません。
実際に、FXではダマシが多く見られます。
ダマシによる損失を防ぐためには、損切りルールを守ったり、他のテクニカルを活用して分析の精度を高めたりするのがオススメです。
また、要人発言や経済指標時は大きく値動きするケースがあります。
そのため、一時的にトレードを避ける選択も必要になるでしょう。
今回ご紹介したトレード手法を参考にしながら、自分に合ったトレードを探してみて下さい。