ストキャスティクスと移動平均線の相性とは?違いや組み合わせを詳しく解説!

ストキャスティクスと移動平均線の相性とは?違いや組み合わせを詳しく解説!

「ストキャスティクスはだましが多すぎて使えない!」

こんな気持ちになったことはありませんか?

ストキャスティクスは、売買タイミングを計る上で非常に有効なインジケーターです。しかし、売買タイミングの精度をどれだけ上げても、トレンドの状況を読めなければ勝てません。

そこで、トレンドの状態が判断が不得意なストキャスティクスに、トレンドの把握が得意な移動平均線を組み合わせた場合の特徴やトレード方法について解説します。当記事を読めば、移動平均線を組み合わせたワンランク上のトレードスキルが身に付けられるはずです。

ストキャスティクスの手法だけに依存したくない方は、最後までチェックしてください。

目次

1. ストキャスティクス/移動平均線の各特徴って?基礎をおさらい!

ストキャスティクス/移動平均線の各特徴って?基礎をおさらい!

そもそも、トレードで勝ち続けるためには、以下の項目を抑えておく必要があります。

① 買いと売りの強弱
② トレンドの方向(上昇、下降、レンジ)
③ サポート/レジスタンスの位置関係

これらのうち、①の「買いと売りの強弱」はストキャスティクスから読み取ることができますが、②「トレンドの向き」と③「サポート/レジスタンスの位置関係」はストキャスティクスで読み取れません。

そこで、ストキャスティクスが苦手とする点を補足するのに「移動平均線」が役立ちます。ここでは、ストキャスティクス・移動平均線の特徴について深堀していきます。

1-1. ストキャスティクスの特徴とは?

ストキャスティクスの特徴とは?

ストキャスティクスとは、相場における買いと売りの強弱を「0~100%」の数値で教えてくれるオシレーター系と呼ばれるインジケーターです。

チャートの下部で「%K」「%D」と呼ばれる2本の線が上下に波打っていますが、これがストキャスティクスの指標になります。これらの線が上に行くほど買いの力が強いことを示し、反対に下に行くほど売りの力が強いことを示します。

補足
%Kと%Dの違いについては、%Kがストキャスティクスの本体、%Dは%Kを滑らかに平均化したものです。この他にも、2本の線を同時に平均化させる「スローイング」と呼ばれる設定もありますが、詳しくはこちらの関連記事で解説しています。

では、ストキャスティクを使って相場における買いと売りの強弱を計ると、一体どんなメリットがあるのでしょうか?

ストキャスティクス

上図をご覧ください。

買いが強すぎることを示す80%ラインを超えた辺りで実際の値動きを見てみると、「上昇から下降」へと反転が起こっていますよね?同様に、売りが強すぎることを示す20%ラインを下回るところでも、「下降から上昇」へと値動きが反転しています。

つまり、強弱の反転が繰り返される相場の原則を利用して「転換点での逆張り」を狙うためにストキャスティクスを利用します。

1-2. 移動平均線の特徴とは?

移動平均線の特徴とは?

移動平均線とは、トレンド系と呼ばれる種類のインジケーターで、一定期間内での価格の平均値をライン状に繋げたものです。移動平均線の傾いている方向と傾き加減によって、「トレンドの方向性」と「トレンドの強弱」を把握できます。

短期・中期・長期の移動平均線が全て下向き 上図は、短期・中期・長期の移動平均線が全て下向き推移しているので、全ての時間軸で下降トレンドが発生していることが分かります。この状態であれば、当然ながら売りを積極的に狙っていきます。
短期目線で上昇トレンド、中期目線でレンジ 続いてこちらの図では、短期目線で上昇トレンド、中期目線でレンジ(均衡状態)、長期目線で下降トレンドを示しています。

また、それぞれの移動平均線の傾き加減から、強い上昇トレンドが短期で発生したことで中期・長期の下降トレンドの勢いが弱まっている状態を読み取れます。

2. (違いあり)ストキャスティクス/移動平均線の使い方とは?

(違いあり)ストキャスティクス/移動平均線の使い方とは?

さて、前章ではストキャスティクスと移動平均線を使って実際の相場で何ができるのか、大まかな特徴について説明しました。次に、それぞれの具体的な使い方についても解説します。

2-1. ストキャスティクスの使い方と期間設定について

ストキャスティクスの使い方と期間設定について

前章でご説明した通り、ストキャスティクスの基本は、「上昇と下降の勢いが反転する瞬間」を見つけて逆張りを仕掛けることです。

そして、反転が最も起こりやすいポイントは、ストキャスティクスが「80%」や「20%」ラインを超えた所になります。
ストキャスティクスの基本
ストキャスティクスの20%以下において、%Kが%Dを上抜けた瞬間(ゴールデンクロス)が「下降→上昇」への反転を示す買いシグナルになります。

ストキャスティクスの80%以上において
一方、ストキャスティクスの80%以上において、「%K」が「%D」を下抜けた瞬間(デッドクロス)が「上昇→下降」への反転を示す「売りシグナル」になります。
念のため、ストキャスティクスの期間設定についても解説しておきましょう。

ストキャスティクスの期間設定 ストキャスティクスの2本の線のうち、「%D」は「%K」を移動平均化させたものになります。したがって、ストキャスティクスにおける期間設定の基礎は「%K」にあります。

上図は期間設定14(K=14)なので、ローソク足14本の期間中に最安値から直近価格までどのくらい上昇したのかが、「%K」として示されています。

2-2. 移動平均線の使い方と期間設定について

それでは実際に、移動平均線を使うことでどのようなエントリーが可能になるのか見ていきましょう。
売買シグナル「デッドクロス」 こちらは、移動平均線(以降はMAと略す)における最もポピュラーな売買シグナル「デッドクロス」です。長期MAよりも下で、短期MAが中期MAを下抜けた瞬間は下降トレンド発生の合図になり、売りエントリーを仕掛けるポイントとなります。
「ゴールデンクロス」
反対に、長期MAよりも上で、短期MAが中期MAを上抜けた瞬間を「ゴールデンクロス」と言い、上昇トレンド発生を狙った買いシグナルになります。

それともう一つ、以下に説明するのがストキャスティクスとの組み合わせにおいて最も重要な「移動平均線のサポート/レジスタンス(下値支持線/上値抵抗線)を利用した押し目買い/戻り売り」です。
移動平均線のサポート/レジスタンス
上図のように、価格が移動平均線を大きく下に抜けた後、一時的にが上に戻され移動平均線に触れる辺りで強い売りが何度も入っていますよね。

このような地点で売りを入れるのが「戻り売り」であり、これと反対の考え方は「押し目買い」となるのです。

2-3. サポート/レジスタンスの転換、通称「サポレジ転換」について

ここでトレードを少し勉強された方は疑問に思ったかもしれませんが、通常、サポート/レジスタンス(下値支持線/上値抵抗線)という考えはトレンドラインや水平線で利用しますよね。
サポート/レジスタンス(下値支持線/上値抵抗線)

サポレジ転換
そもそもサポレジ転換(サポートとレジスタンスが入れ替わること)とは、期待と信頼によるトレーダー心理によって起こるものです。

直近で意識された水平線やトレンドラインというのは、「前回意識されたから、今度近づいた時もまた多くの買い支えが入るだろう」というように、多くのトレーダーから期待され信頼されるようになります。

そうやって意識されていた水平線やトレンドラインが明確にブレイクされると、今度は逆の期待が生まれてサポート/レジスタンスの転換が発生するのです。

サポレジの信頼度 例えば上図は、レンジ相場から強い上昇トレンドへと切り替わっていく局面を切り取ったものです。

左側から順に見ていくと、25MA→75MA→200MAと短い期間設定順にサポレジ転換が起こっています。見る時間足が長くなるほど信頼度が高まっていくのがテクニカル分析の基本なので、移動平均線も期間設定を長くするほど信頼度が高く強いサポレジになります。

以上、ストキャスティクス ・移動平均線を使用する際に抑えておきたい知識、使い方について解説しました。次章では、これらを組み合わせたトレード方法について詳しく解説します。

3. ストキャスティクスと移動平均線って組み合わせできる?

ストキャスティクスと移動平均線って組み合わせできる?

ストキャスティクスは、買いと売りの強弱度合いをただ振り子のように知らせる単純な指標です。それ故、売買シグナルは素早く発してくれるものの、トレンドの方向性やサポート/レジスタンスの存在などリアルな相場状況までは明確に分かりません。

一方、移動平均線はトレンドの方向性を全体的に読み取りやすい特徴があります。

上記でまとめた表のように、ストキャスティクスと移動平均線の特徴を比較すると、互いに短所を補える関係にあることが分かります。つまり、インジケーターの組み合わせとしては相性が良いのです。

4. ストキャスティクスと移動平均線を用いた場合のトレード方法とは?

ストキャスティクスと移動平均線を用いた場合のトレード方法とは?

ここからは、実際の相場におけるストキャスティクスと移動平均線の組み合わせ手法を3つご紹介します。

1.トレンドフォローの押し目買い
2.トレンドフォローの戻り売り
3.トレンド転換点での逆張り

上記3つのように、利益を狙いやすい重要なエントリーポイントについて画像付きで解説していきます。

4-1. トレンドフォローの押し目買い

トレンドフォローの押し目買い

まずは、上図の緑丸で囲ったような上昇トレンドの流れの中で、トレンドフォローの押し目買いを入れていく手法についてご説明します。
移動平均線押し目買い
矢印
移動平均線で判断するトレンド
まずは、上昇トレンドの発生確認についておさらいです。上図の左半分においては、短期・中期・長期共に移動平均線が下向きで価格も安値・高値を切り下げているので下降トレンドとなっています。
その後、「A」地点から短期MAが上向きに転じ、短期MAと中期MAが上向きで長期MAも下向きではなくなったので上昇トレンド発生と判断できます。

このように、移動平均線と実際の値動きを見ながら上昇トレンドの発生を確認した後は、ストキャスティクスを使って買いシグナルを探していきます。
トレンドを見ながらサインを探す
上図のように、上昇トレンドを確認した後の相場では、ストキャスティクスのゴールデンクロス がそのままトレンドフォローの押し目買いになります。また、ストキャスティクスで「D」のような20%より上の買いシグナルでも優位性を発揮するようになります。

さらに、中期MAが長期MAを上抜ける直前「A」のあたりでエントリーできた場合は、早期撤退はせずにしっかりとポジションをホールドしましょう。そうすると「B」のような大きなトレンドの波に乗ることができます。

では仮に、今回のケースにおいて、トレンドの方向に逆らってストキャスティクスの売りシグナルを拾っていた場合はどうなっていたでしょうか?

ダマシのサイン
「a」と「b」では逆張りとして成立していますが、その前後には大量のだましが発生していますよね。

チャートの右側がどうなるかが分からないリアルトレードの場合、このようなだましを自力で回避しながら逆張りを成立させるのは大変難しいです。

トレンドと反対のサインは無視
この例からも、トレンド発生時はストキャスティクスの売りシグナルを全て無視した方が、だましを回避できることが分かりますね。

念のため、その後における上昇トレンドが終了するまでの流れも確認しましょう。

トレンドの方向のサインだけ入る
その後、中期MAを軸として強い買い支えが入っているので、依然ストキャスティクスのゴールデンクロスは押し目買いのシグナルとして機能していますね。

ただし、画像の後半からは2つのMAの傾きが徐々に小さくなっているので、上昇トレンドの勢いが弱くなっているのが分かります。

こうなるとストキャスティクスの買いシグナルも信頼性が落ちてくるので、トレンド転換も視野に入れた売買を検討していきます。

4-2. トレンドフォローの戻り売り

移動平均線戻り売り

トレンドフォローの戻り売りに関しては、押し目買いの時と真逆に考えてもらえれば問題ありません。上図のような下降トレンドの発生を確認できれば、ストキャスティクスの売りシグナルだけをひたすら狙っていきます。
移動平均線の戻り売り
矢印
移動平均線戻り売りの拡大図
まずは図の左側を見ると、MAの向きもバラバラで価格の新値更新が上にも下にも続かないレンジ相場になっています。

その後、「A」を過ぎたあたりから高値・安値の切り下げが続くようになり、上から長期・中期・短期の順番で下に傾き始めたので明確な下降トレンド発生となります。
トレンドの方向のサイン
こうなると後は、中期・長期MAが強いレジスタンス(上値抵抗線)となるので、ストキャスティクスの売りシグナルをひたすら狙っていきます。

ただし注意深く見てみると、ストキャスティクス「A」の部分の売りシグナルはだましになっています。

実際の相場では、必ずしも理屈通りの展開にはなりません。ですから、中期MAでの反発を信じて含み損を耐えるか、MAタッチとストキャスティクスのシグナルが重なるまでエントリーを待つなどの対策をしておきましょう。

4-3. トレンド転換点での逆張り

最後に、トレンド転換点での逆張り手法についてご紹介します。

使用するのは移動平均線のリバーサルと、ストキャスティクスのゴールデンクロス/デッドクロスです。
逆張りのサイン
上図は、「下降→上昇」へとトレンドが転換されるポイントでの逆張りです。

実際の価格が中期・長期2本のMAを①→②と上抜き、一旦③の位置(中期・長期どちらかのMA)まで価格が下がった時に、ストキャスティクス20%以下でのゴールデンクロスとタイミングが重なれば買いエントリーです。

③の位置では、中期と長期のどちらのMAがサポート(下値支持線)になるのか予測が難しいので、ストキャスティクスのゴールデンクロスを売買シグナルに利用しています。

転換時のサイン
ちなみにこの手法は、上図のように下降トレンドの大底になるほど信頼性が高い逆張りシグナルとなるので覚えておきましょう。
転換の逆張り
反対に、「上昇→下降」へとトレンドが転換されるポイントにおいても、同様の手法で逆張りが可能です。

①→②と価格が2本のMAを下抜けた後、③の中期・長期MA付近まで価格が戻った時、ストキャスティクスのデッドクロスが重なれば売りエントリーです。

ストキャスティクスに売買シグナルを委ねている
この手法の優れている点は、ストキャスティクスに売買シグナルを委ねているところにあります。

上図のように、MAのリバーサルだけだと反発だましに合うこともあるので、ストキャスティクス80%越えの反転シグナルと合わせて勝率を高めているのです。

5. まとめ

今回の記事では、トレーダー心理からサポート/レジスタンス(下値支持線/上値抵抗線)について解説したため、難しいと感じたかもしれません。

少し厳しいことを言いますが、インジケーターの簡単な売買シグナルだけで勝ち続けられるほど相場の世界は甘くありません。過去の私のように、強制ロスカットになり資金を全部吐き出してしまうような経験は、当サイトの読者様には味わってほしくないのです。

もし、トレードにつまづいた時はもう一度当サイトの記事を読み返し、勝てるトレーダーになるための視点をインストールしてください。

ただし、どれだけ精密に相場分析をしても負けるときは負けます。一つ一つの失敗には一喜一憂せず、諦めずに基礎を反復しましょう。