ストキャスティクスとMACDは組み合わせるべき?トレード手法と注意点について

ストキャスティクスとMCADは組み合わせるべき?

「ストキャスティクスを覚えてみたけど、イマイチ勝てるようにならない」

こんな悩みはありませんか?

ストキャスティクスは直近の値動きに対して素早く売買シグナルを発してくれますが、反応が早い分「だまし」も多く発生します。

本記事では、だましを回避するためにストキャスティクスとMACDを組み合わせた手法を解説します。この記事を読むと負けトレードが減り、最適なエントリーポイントを掴めるようになるので最後までチェックしてみてくださいね。

目次

1. (基礎を確認)ストキャスティク/MACDって何?

MACD/ストキャスティクスは、「相場の売りと買いの強弱」を計るために使用されるオシレーター系インジケーターです。

*ストキャスティクスについての詳しい解説はこちらを参照ください。

注釈
オシレーター系インディケーターとは、相場が転換するタイミングを探るたるのテクニカル指標のこと。
一方、トレンド系インディケーターとは、相場の勢いを把握することで分析に活用できるテクニカル指標を指します。

ストキャスティクスは実際の価格を元にして、その上昇幅と下落幅から買いと売りの強弱を計っています。一方、MACDは2本のEMA(指数平滑移動平均線)を元にして、その乖離幅から買いと売りの強弱を計っています。

脳みそバーン

「MACDとかEMAと言われても、分かりませんよ」という人の為に説明しますと、MACDとは

「Moving Average Convergence Divergence」の頭文字をとったもので
「ムービィング アベレージ コンバージェンス ダイバージェンス」の略となります。

「ムービング アベレージ」とは移動平均線のことで、コンバージェンスとは縮小の意味で、ダイバージェンスは拡大という意味です。言葉で説明するよりも図で説明します下図をご覧ください。

MACD説明

移動平均線は、短い移動平均線の方がが長い移動平均線よりも早く反応するために、トレンドが発生すると、

短い移動平均線は長い移動平均線から離れていきます。(拡大、ダイバーシェンス)

逆にトレンドが弱くなると、

短い移動平均線が長い移動平均線に近づいていきます(縮小、コンバージェンス)

MACDと言われると難しく感じてしまうかもしれませんが、簡単に言ってしまえば、EMAという種類の2つの長い移動平均線と短い移動平均線の間が縮小したり拡大する事に注目したテクニカル指標ということなのです。先ほどの図は移動平均線で説明しましたが、下図は実際の「MACD」を表示した場合の図です。

MACD線の説明

注釈
ちなみに、移動平均線にはEMA(指数平滑移動平均線)の他にも、SMA(単純移動平均線)WMA(加重移動平均線)というのもあります。一番多く使われているのはSMA(単純移動平均線)です。移動平均線の種類についてもっと詳しく復習しておきたい方はこちらの移動平均線の種類は3種類?トレードで欠かせない3つの移動平均線を徹底解説 を参照してください。

では、MACDの特徴と具体的な使い方についてもう少し深堀していきましょう。

MACDの説明した図

MACDを実際のチャートに表示させると上図のようになります。

ストキャスティクス同様、チャートの下に別枠で表示され、赤と青の2本のラインが上下移動を繰り返しています。

青い線「MACD」は、短期と中期の2本のEMA(指数平滑移動平均線)の乖離幅を元にして「現在は買いが優勢なのか、売りが優勢なのか」を教えてくれるラインです。他方、赤い線「シグナル」は、MACDを一定期間で平均化(EMA化)して動きを滑らかにしたラインです。

MACDヒストグラム

上図の緑とピンクの棒グラフ(ヒストグラム)は、MACD線とシグナル線の乖離幅を表しています。

MACDで一番使われている優位性の高い売買シグナルは、以下の表のようになります。

MACDで一番使われている優位性の高い売買シグナル

それぞれ順番で、以下の項目にて詳しく解説します。

1-1. MACDのゼロライン抜け

MACDゼロライン抜け

上図はMACDのゼロライン下抜けを利用した売りエントリーの例です。利確目安はゴールデンクロスが最も適切で、再度ゼロラインを反対に抜けるまでは待たない方が利益を残しやすくなります。

結果論にはなりますが、「A」のように微益で終わりそうな場合はリスクを取って「B」まで伸ばしてみるのもアリですね。

一つ注意点として、ゼロライン抜けのエントリーシグナルは実際の値動きに対してタイミングが遅れやすいです。ゆえに、大きなトレンド転換を狙う時に利用するのが良いでしょう。

1-2. MACDとシグナルのゴールデンクロス・デッドクロス

MACDとシグナルのゴールデンクロス

上図は、MACDとシグナルのゴールデンクロスで買いエントリーをした例です。特に、ゼロラインから大きく乖離した時に発生したゴールデンクロスやデッドクロスは優位性の高いシグナルとなります。

ヒストグラムの縮小を利確目安にした場合、今回の例では含み損が十分出た後に素早く決済できていますが、微益撤退になりやすいので注意してください。一方、MACDとシグナルのゴールデンクロス・デッドクロスを利確目安にした場合は、微益撤退による機会損失は避けられる場合があります。ただし、こちらも決済が遅れて含み益が減ることがあります。

私もこれをどうしたら良いのか?とさんざん悩みましたが、ハッキリ言って答えはありません。どこまで利益が伸びるのか?これはだれにもわからない事なので、ルールで決めてしまうしかありません。

利食いした後に伸びれば後悔し、利食いが遅くて微益であれば「あの時に利食いしとけば」と後悔する。

トレードとは、どちらにしろ後悔するゲームなのです。ですから、先の事はだれにもわからないと諦めて受け入れるしかありません。

1-3. ヒストグラムの縮小を利用した逆張り

ヒストグラムの縮小を利用した逆張り

上図は、ヒストグラムの縮小を利用した逆張りの例です。

直前に急な値動きがあった場合は、ヒストグラムが大きく拡大するので、その直後の縮小は優位性の高いシグナルとなります。この際の利確ポイントは、図中の「A」か「B」がおすすめです。急上昇からの短期的な逆張りなので、「C」までホールドしておくのはハイリスクとなります。

これらの売買シグナルを利用して狙う相場は、「買いと売りの強弱が逆転するポイント」です。ただし、MACDは移動平均線を元にしたトレンドフォロー向きの指標のため、レンジ相場で使用すると狙える値幅が小さくなります。

注釈
MACDを構成するのに、EMA(指数平滑移動平均線)とは、SMA(単純移動平均線)よりも直近の価格に素早く反応するように作られた移動平均線です。その他にもWMA(加重移動平均線)というのもありますが、移動平均線についてもっと詳しく復習しておきたい方はこちらの関連記事を参照してください。

2. ストキャスティクス/MACDの組み合わせで相性が良い理由とは?

ストキャスティクスとMACDの基礎知識を抑えたところで、どうして両者の組み合わせがトレードにおいて重宝されるのか、チェックしてみましょう。

結論を先に言ってしまうと、MACDを組み合わせることで、ストキャスティクスで発生する頻繁な売買シグナルを選別できます。こうすることで、だましを回避し、優位性の高いシグナルが見つけやすくなるのです。

ここで一旦、ストキャスティクス単体使用での弱点をまとめます。

・トレンドの強弱が分からない
・利確シグナルが早すぎる
・トレンドの方向性が分からない

などがあります。

ストキャスティクス単体使用での弱点

要するに、ストキャスティクスのこういった弱点を克服できれば、より有利で確実なエントリー/エグジットポイントを絞りやすくなります。そこで、「トレンドの強弱」「利確目安」「トレンドの方向性」を計ることに適している「MACD」が出番となります。

MACD

上図の再びMACDの表示されている図となります。aはトレンドの強弱についての説明をしています。bは利益確定の目安について説明しています。cはトレンドの方向性について説明しています。

脳みそバーン

一つの画像に色々と埋め込んでも混乱が起きるだけでしょうから、一つずつ拡大図で説明しますね。

2-1. MACDトレンドの強弱

aの部分のトレンドの強弱についての説明をしていきますす。

矢印

MACDトレンドの強弱

上図は、「a」で囲った「トレンドの強弱」が分かる拡大画像です。チャートからも、MACDとゼロラインとの乖離幅が下に大きくなるほど下落の力強さを示しています。そして、下に広がりすぎた乖離幅が上方向へ収縮していく動きは、「下落→上昇」へと強弱が入れ替わることを分かります。

次はbの部分の「利確目安」についてです。

2-2. MACD「利確目安」

bの部分の利確目安について説明していきます。

矢印

MACD利食い目安

上図は、「b」で囲った「利確目安」の拡大画像です。

最適な利確目安とは、言い換えると「もうこれ以上伸びしろが無くなった時」です。チャートをご覧になると、MACDはゼロラインとの乖離から収束を上下に繰り返す性質があると分かります。上方向に十分に乖離し切った後、収束の動きを見せた赤〇で囲った地点が「伸びしろが無くなった最適な利確位置」になります。

2-3. MACD「トレンドの方向性」

その部分のトレンドの方向性について説明していきます。

MACDトレンドの方向性

矢印

MACDトレンドの方向性

最後に、「c」で囲った部分の「トレンドの方向性」が読み取れる拡大画像です。
MACDとゼロラインの乖離幅は、短期EMAと中期EMAの乖離幅と同じであることは覚えていますか?上図のように、MACDがゼロラインの上を推移している状態は、実際には中期EMAの上に短期EMAが位置していることを意味します。つまり、2本の移動平均線が上昇を示しているのと同じ状態になるので、大きなトレンド転換が来るまでは買い方向のみにエントリーポイントが絞れます。

という訳で、ストキャスティクス単体使用での弱点

・トレンドの方向性が分からない
・利確シグナルが早すぎる
・トレンドの強弱が分からない

の3つは、MACDと組み合わせれば全て補完できることがくイメージできたかと思います。

3. (実践で使える)ストキャスティクス/MACDを用いた売買方法について

まだ私がFX初心者だった頃、ストキャスティクスでは思ったほど良いトレードができませんでした。

「せっかく良い感じの下降トレンドが出ているのに、ストキャスティクスが80%より上でデッドクロスしてくれない!」

「ストキャスティクスは20%より下でゴールデンクロスしているけど見た感じ下降トレンドっぽい・・・、買いエントリーしていいのかな?」

「良さそうな位置でエントリーできたけど、前回はポジション持ち続けて含み益消えちゃったし、どこまで利益伸ばせばいいの??」

ストキャスティクスをFXの教科書通りに使用してみて、このような悩みを感じた方は多いと思います。なぜこうした問題が起こるのかというと、まさに先ほどご説明したストキャスティクスの弱点が原因です。ですので、MACDを組み合わせてストキャスティクスの弱点を補完する方法について、深く理解を深めましょう。

3-1. MACDのゼロライン下抜けを利用したトレンドフォロー

今回からMACDとストキャスティクスを合わせた図で説明していきます。

MACDのゼロライン下抜けを利用したトレンドフォロー

ストキャスティクスを単体で利用する場合、ゴールデンクロス・デッドクロスはそれぞれ20%以下・80%以上の地点で取りましょうと教えられることが多いですよね。しかし、いざ使ってみると教わった通りの位置でシグナルが出ないケースがあります。特に、トレンドフォローをする局面においては値幅が取れず、機会損失になりやすいです。

例えば、上図のように実際のチャートの「A」で下にブレイクした後は、「B」の地点からの波動を狙ったトレンドフォローを仕掛けていきたいですよね。

こういった局面では、まずMACDのゼロライン下抜けを利用して下降トレンド開始の有無を確認します。そして、MACDで下降トレンド発生を確認できれば、以降はストキャスティクス80%以下でもデッドクロスが優位性を発揮するようになります。

ただし、MACDとゼロラインとの乖離幅が大きくなりすぎると、収縮が始まり、価格も上昇していき下降トレンドが終了してしまうので注意してください。上昇のトレンドフォローを狙いたいときは、これと全く逆の考えでやれば大丈夫です。

ちなみに「B」地点でエントリーした場合の利確シグナルは、ストキャスティクスのゴールデンクロスで取ってしまうと値幅が小さくなってしまいます。MACDのゴールデンクロスや乖離幅の収縮加減から、上昇の兆しが見えてくるまでは利益を伸ばすように心がけましょう。

3-2. MACDとゼロラインとの乖離幅の拡大/収縮を利用した逆張り

MACDとゼロラインとの乖離幅の拡大/収縮を利用した逆張り

MACDとゼロラインとの乖離幅の拡大/収縮からも、トレンドが上下どちら目線なのか?が確認ができます。MACDは常にゼロラインとの乖離幅を拡大/収縮させるように動いていますが、上図のようにゼロラインよりも下に大き く乖離した後に収縮していく動きは、一時的な上昇目線を示します。

MACDで上昇目線を示しているということは、当然ストキャスティクスでも売りシグナルは機能しなくなるので買いシグナルだけを狙うようにします。

「A」の地点でエントリーできているのが理想ですが、仮にここを見逃したとしても「B」のように20%より上でのゴールデンクロスも十分に優位性の高いシグナルになります。ただし、MACDが上に伸びれば伸びるほど、上昇の乖離幅を下に埋めようとする動きが出やすくなります。そうすると目線が再び下に切り替わるので、ストキャスティクスのゴールデンクロスの優位性も無くなってきますので注意してくださいね。

ちなみに「A」か「B」でエントリーした後の利確目安は、MACDとシグナルのデッドクロスか、MACDとシグナルの乖離幅(水色のヒストグラム)が収縮を始めるあたりを参考にすると、利益をしっかりと伸ばせるようになります。

3-3. ヒストグラムの拡大/収縮を利用した逆張り

ヒストグラムの拡大/収縮を利用した逆張り

MACDとシグナルとの乖離幅を示すヒストグラムも、ストキャスティクスと組み合わせることで、優位性の高い逆張り指標となります。

ヒストグラムの収縮は、MACDとシグナルの乖離が収束を意味しているので、ゴールデンクロス・デッドクロスが発生する予兆になります。

ゆえに、ゴールデンクロス・デッドクロスの発生を確認するより前にエントリーが可能になります。「早期エントリー・早期撤退」が基本の短期的逆張りを用いたトレードがしやすいのです。上図のように、上昇目線中に急下落が発生した時は、多くのトレーダーによる利食いや逆張り狙いによって、再び価格が上昇する可能性が高いです。

こういった曲面では「下げ止まる頃合い」を読み取れるかどうかが逆張りの勝敗を分けるので、MACDのヒストグラム収縮を確認した後のストキャスティクスのゴールデンクロス「B」が最も安全かつ最適なエントリータイミングとなります。

利確位置は上昇のヒストグラムが上げ止まったあたりでサッと逃げてしまいましょう。あまり長くポジションを持ちすぎると本格的な下降トレンドが発生してしまうこともあるので、短期的な逆張りの際は欲張り過ぎに注意してくださいね。

4. ストキャスティクス/MACDを組み合わせる際の注意点とは?

ここまでで、ストキャスティクスとMACDの基本的な使い方と、ストキャスティクス単体使用での問題点、その問題点を補完するための組み合わせ方について解説しました。ボリュームがあるので、完全に理解するためには何度も熟読してください。最後に、ストキャスティクスとMACDを組み合わせる際の注意点についても、お伝えします。

4-1. 短期足ではMACDが機能しにくくなる

短期足ではMACDが機能しにくくなる

時間足を短くしていくと上図のような方向感の無いレンジ相場が増えるので、MACDが安定した上下の目線を示してくれなくなります。

なぜ、レンジ相場ではMACDが機能しにくくなるかというと、MACDを構成する移動平均線がレンジ相場に弱い性質を持っているためです。

時間足を短くすると全く機能しないという訳ではないので、先述した手法を参考にして小さな値幅を狙ったスキャルピングに活かすのも可能です。ただし、経験がものを言う手法になるので、相場分析に慣れていない初心者が安定した勝率を確保するのは難しくなります。

4-2. 一方的な強いトレンドになると両方とも機能しなくなる

一方的な強いトレンドになると両方とも機能しなくなる

上図のように、一時的な戻り高値すら付けない強い下降トレンドや、一時的な押し安値を一切付けない強い上昇トレンドが発生した場合、MACDもストキャスティクスも全く機能しなくなります。正直、このような曲面に遭遇した時はエントリーポイントを見つけるのは困難なので、早々に諦めた方が良いですね。自分の得意な相場状況になるまで待つことにしましょう。

5. まとめ

さて、ストキャスティクスとMACDの組み合わせ手法について相場分析の基本的な考え方を踏まえつつ解説してきました。ここまで読み進めて、しっかりと理解していただけたでしょうか?ストキャスティクスもMACDも深堀していけば、この他にも色んな使い方が見つかると思います。

ですが、最終的に勝ちトレーダーになれるのか?負け続けるのか?決めるのは、

「どの手法を選ぶか」ではなく「どの手法を反復練習するか」です。

環境認識・相場分析の基礎を勉強しながら、「これだ!」と思った手法を1つだけでも良いので何度も反復練習してみてください。地道な積み重ねには、必ず良い結果が付いてきますよ。