酒田五法は使えない?一つの分析手法にこだわりすぎる危険性と解決策を解説!

酒田五法は使えない?

酒田五法を学んで使ってみたけど、まったく勝てないことに悩んでいませんか?

「酒田五法を学べば勝てると思ったのに、結局使えないならどうすればいいの?」 と困っている方もいるかもしれません。

そこで当記事では、

  • 酒田五法が使えないと言われている理由
  • 騙しや資金管理の対策
  • 相場で勝つために必要な心構え

などについて解説します。当記事を読むことで、酒田五法を使って勝てるようになる手がかりを得られるはずですよ!

目次

1. 酒田五法が使えないと言われている理由

酒田五法が使えないと言われている理由

酒田五法は、発案から約200年以上も「投資の手法」として生き残っています。そのため「酒田五法を使えば自分もトレードで勝てるようになる」と考えるかもしれません。
ただ、酒田五法を使えば必ず勝てるわけではありません。

では、なぜ酒田五法を使っても勝てないと言われているのでしょうか?

主な理由として考えられるのは以下の3つです。

  • 騙しに遭遇するから
  • 資金管理ができていない
  • ルールを守れていない

どういうことなのか詳しく解説します。

1-1. 騙しに遭遇するから

酒田五法のような手法を使っても全員が勝てない理由は、投資の世界に騙しがあるからです。

注釈:騙しとは、価格がサイン通りの動きをしないことです。

例えば、以下のチャートでは三兵が出現したので、サインに従えば次のローソク足で買います。
酒田五法のような手法を使っても全員が勝てない
しかし、セオリー通り上昇が続くと思いきや反転下落してしまいました。騙しが起きる理由の一つは、資金量が多い投資家の存在です。

多くのトレーダーは、三兵や他のテクニカル指標を見てさらに価格が上昇すると考えます。

ところが、資金量の多い投資家は自分の資金で相場を動かすことも可能です。そのため「下落トレンドが終わって、本格的な上昇を狙っているトレーダーの裏をかけば大儲けできる」と考えるのです。

資金の多い投資家が大量の売り注文を出すと、相場は以下のような値動きをします。
資金の多い投資家が大量の売り注文を出すと、相場は以下のような値動きをします

  1. 資金量の多い投資家が大量の売り注文を出す
  2. 価格が大きく下落する
  3. 上がると信じていた他の投資家は三兵の騙しに気づき、慌てて損切り
  4. 損切りを巻き込みさらに下落が続く
  5. 頃合いを見計らって資金量の多い投資家は利益確定

相場は資金量に左右されるといっても過言ではありません。

そのため、酒田五法のサインどおりにトレードしたとしても勝てるとは限らないのです。

【関連記事】三兵の出現はトレードチャンス?特徴と実際の使い方を詳しく解説

1-2. 資金管理ができていない

投資で勝つには、酒田五法の手法を極めただけでは勝てません。資金管理もきちんと行う必要があります。

なぜなら、投資家の資金量には限りがあるため、自分の持っている資金を考えなければ破綻するからです。

例えば、資金管理ができている例とできていない例をもとに説明しましょう。
資金管理ができている例とできていない例をもとに説明
AさんもBさんも持っているお金と勝率は同じ条件です。にも関わらず20回トレードした後の損益には大きな違いがあります。

両者の損益に差が出たのは、1回の損失額です。

Aさんは1回の損失額を10万円に抑さえていたので、9連敗しても資金はなくなりません。

他方、Bさんは1回の損失額が50万円でした。
Bさんは1回の損失額が50万円でした
つまり2連敗しただけで資金を全額失うため、リスクが高いトレードをしていたことになります。

運良く5割の勝率でトレードをしていたとしても、1回の損失額が多すぎれば、トレードをするほど損失が膨らんでしまいます。

1-3. ルールを守れていない

トレードで勝ち続けるためにはルールを守ることが必要です。ただ、人間の心理学上ルールをきちんと守れる人は多くありません。
トレーダーの多くは以下のようなタイミングでルールを守れなくなります。

  • エントリールールを守れていない
  • 決済のルールを守れていない

実際にどのようなケースがあるのか見ていきましょう。

エントリールールを守れていない

まず、酒田五法のルール通りにトレードできているのか今一度見直してみましょう。
例えば、以下のようなトレードをしていませんか?

  • ローソク足の終値が確定する前にエントリー
  • 酒田五法が成立していないのになんとなくエントリー

酒田五法に限らず、テクニカル指標は成立してからエントリーしなければなりません。
上げ三法が成立していなければ、価格が上昇する可能性は高いといえないので、下落してしまう可能性もあるでしょう
例えば、図の左では、まだ終値が確定していません。にも関わらず、上げ三法が成立したと思い込みエントリーするのは危険です。なぜなら、図の右側のように終値にかけて格が下がれば、上げ三法が成立していないことになるからです。

上げ三法が成立していなければ、価格が上昇する可能性は高いといえないので、下落してしまう可能性もあるでしょう。

また、直前のトレードで利益を出せたからという理由で、酒田五法のルールを無視してエントリーをするケースもあります。

ルール通りにエントリーをしなければ、一時的には勝ってもいつか大損してしまうので注意が必要です。

【関連記事】三法を抑えればエントリーも冷静になれる?特徴と使い方を解説

決済のルールを守れていない

初心者が利益を挙げられない典型的な理由は、損切りができないことです。

損をしたくないからという理由で損切りを置かなければ、あなたが寝ている間も損失が膨らむ可能性が高く危険です。また、損切りをおいても勝手に損切りの位置を動かしてしまう方もいます。

損切りは損失を限定させることで、損失が想定以上に膨らむのを未然に防ぐ役割があります。

一度置いた損切りを動かすことが習慣になれば、大きな損失につながりかねません。

2. 騙しに遭遇する場合の対策

騙しに遭遇する場合の対策

トレードでは騙しを避けるのは不可能です。できれば騙しに遭遇する回数を減らしたいと考える方もいるでしょう。

騙しを減らすためには以下のような方法を使います。

  • 上位足から分析する
  • レジスタンスとサポートを意識する
  • 他のテクニカル指標と併用して使う

どのように使うのか解説します。

2-1. 上位足から分析する

トレードをする上で身につけたいスキルは、上位足も見てエントリー判断をすることです。

例えば、以下の表は一般的な上位足と下位足の組み合わせです。
一般的な上位足と下位足の組み合わせ
上位足は相場がどちらに動きやすいのかの判断に使い、実際のエントリーは下位足で行います。

上位足と下位足の売買方向が一致するタイミングのみでトレードをすれば、利益は大きく、損失は少なくすることも可能です。


実際に1時間足でトレードをする際は、まず日足をチェックします。

日足を見ると黒三兵が成立しているため、売りの勢いが強いことが分かります。
日足を見ると黒三兵が成立しているため、売りの勢いが強いことが分かります
次に、以下のチャートは三兵成立日から3日間の1時間足です。

チャートの左側で三尊、右側で両つつみが発生しており、いずれも売りサインです。
日足で売りの勢いが強くなることが分かっているので、エントリーする際は、売りサインのみでエントリーをしましょう
日足で売りの勢いが強くなることが分かっているので、エントリーする際は、売りサインのみでエントリーをしましょう。

【関連記事】酒田五法の三川って何?詳しい種類と実際のトレード事例も詳しく解説!

2-2. レジスタンスとサポートを意識する

投資で勝つためには、他の投資家が何を判断基準にしてトレードをしているのか見極める必要があります。

多くの投資家が意識しているのは、レジスタンスやサポートラインです。
多くの投資家が意識しているのは、レジスタンスやサポートラインです
なぜなら、ラインを超えるとその後も価格は上昇しやすくなり、ラインを割れるとその後の価格は下落しやすくなるからです。

例えば、以下のチャートを見て下さい。
かぶせ線が出現したタイミングとサポートラインを下回ったタイミングがちょうど一緒のタイミングです
かぶせ線が出現したタイミングとサポートラインを下回ったタイミングがちょうど一緒のタイミングです。

これまで支えられてきた価格帯を一度割れると、今後はその価格帯を超えない限り下がります。

そのため、信ぴょう性が高い売りのサインだったことが分かります。

2-3. 他のテクニカル指標と併用して使う

多くの投資家は一つのテクニカル指標に頼っていません。なぜなら、単体で高い勝率を誇るテクニカル指標が残念ながら存在しないからです。

そのため、酒田五法のサインだけに頼らず他のテクニカル指標の条件も満たした時だけエントリーする方法も有力です。

例えば、RSIというテクニカル指標は、相場の反転を見極める際に利用できます。
RSIというテクニカル指標は、相場の反転を見極める際に利用できます
以下のチャートでは、酒田五法の三川の一つであるたくり足が3度出現しています。
酒田五法の三川の一つであるたくり足が3度出現しています
ただ、すぐに長期間に渡り反発したのはRSIが30を下回っていた①のみです。

②については反発に時間が掛かっており、③については逆に下落しています。

このように他のテクニカル指標の条件も満たした場合にエントリーをすれば、勝率を高められます。

【関連記事】逆張りに強い?RSIの概要から使いどころ、注意点まで詳しく解説!

2-4. いつも上手く行かないのが相場であることを理解する

投資には騙しがあります。そのため、何年も相場の勉強をしたりトレードし続けたりしても必ず勝てる保証はありません。
努力しても必ず利益になるとは限らないことを頭に入れておきましょう。

例えば、以下のような現象が起きると、ルール通りに完璧なトレードをしていても勝てません。

  • 市場に影響を与えるニュースなどがあるとテクニカルが通用しなくなる
  • AI(アルゴリズム)取引等によって値動きの乱れが起きやすくなっている

上記について、詳しく解説します。

市場に影響を与えるニュースなどがあるとテクニカルが通用しなくなる

市場に大きな影響を与えるニュースがある場合、テクニカルが通用しなくなることがあります。

  • 国同士の戦争
  • 金利政策が変更された
  • 大統領選挙や住民投票など

実際のチャートを用いて説明しましょう。

酒田五法の一つであるはらみ足出現後に陽線が出現すると、通常上昇する可能性が高いです。
上のチャートでは、その後大きく暴落
ところが、上のチャートでは、その後大きく暴落してしまいました。なぜなら、フラッシュ・クラッシュと呼ばれる突発的な値動きが発生したからです。

突発的な出来事が起きれば、酒田五法のサインよりも出来事による値動きが優先されるので注意しましょう。

AI(アルゴリズム)取引等によって値動きの乱れが起きやすくなっている

近年は機関投資家の多くがAIによる取引を行っています。AIによる取引は高速で繰り返し行われるため、人間がトレードするよりも遥かに暴落や暴騰が起きやすいです。
そのため、一度相場が荒れると、一方向への値動きが強くなることが増えています。

急激な暴騰や暴落で酒田五法のサインとは逆方向の動きを見せることもあるのです。

3. 資金管理ができない場合の対策

資金管理ができない場合の対策

とにかく勝つこと優先でトレードをしていると、長期的に勝てなくなります。資金管理ができない場合の対策としては以下の2つです。

  • レバレッジを上げすぎない
  • トレードする前に両方のケースを想定する

順番に解説します。

3-1. レバレッジを上げすぎない

まず資金管理ができている状態とは、口座の資金を大幅に失ってない状態です。
つまり、レバレッジを上げすぎず、資金に見合わない取引量でトレードをしないことが大事です。

なお、投資ではメンタルが強いことが重要だからメンタルを鍛えなくてはならないといわれますが、必ずしも正しくありません。なぜなら、一部の天才的なトレーダーを除くと、多くのトレーダーは損失が膨らむと精神的な負担に耐えられなくなるからです。

その結果、以下のような状況に陥り冷静な判断ができなくなります。

  • 損切りしなくてはならないことが分かっていてもできない
  • 相場に対してお祈りをする
  • 相場に対してキレる

ただ、このような状況に陥っているのは、自分が許容できない損失を抱えているからです。

失っても怖くない資金量でトレードをすれば、損切りは躊躇なくできます。

「筆者は、以前資金が10万円しかないのに、10万通貨で取引をしたことがあります。
10万通貨ということは、ドル円が少し動いただけで一度に10万円近く失う可能性があるので、落ち着いてチャートを見れませんでした。
しかし、1,000通貨に落としてトレードすると、苦しむことなく損切りができました。」

このように、損切りがつらいと感じている場合は、取引量が多いのが原因です。

3-2. トレードする前に両方のケースを想定する

トレードでは必ず勝てる方法はありません。

そのため、売買をする際には、あらかじめ勝った場合と負けた場合の両方のケースを想定することが重要です。
売買をする際には、あらかじめ勝った場合と負けた場合の両方のケースを想定することが重要
あらかじめ両方のケースを想定しておけば、損切り直前で慌てることもありません。

4. ルールを守れていない場合の対策

ルールを守れていない場合の対策

ルールを守りたいけど守れないという方は多いです。では、ルールを守るためにはどうすればよいのでしょうか?

  • 再度ルール通りにトレードできているか確認する
  • トレードする時の感情に着目する
  • トレード記録をつける
  • 何度もトレードを繰り返す

それぞれ見ていきましょう。

4-1. 再度ルール通りにトレードできているか確認する

まずは、ルール通りにトレードができているか確認することが重要です。
例えば、損切りを渋ってルール通り損切りしないことです。

損切りを渋る理由は、損切りになった際の損失が大きすぎるのが原因です。

資金が少ないうちは1回あたりの取引量を減らすことで、損切りした場合の損失を減らしましょう。

取引量を増やすのは、資金が多くなり酒田五法の手法に慣れてからでも遅くありません。

4-2. トレードする時の感情に着目する

トレードする時は感情に着目することも重要です。
よくある感情
トレード時の感情に着目すれば、どんな癖があるのか分かるので、トレード上達のヒントになります。

例えば、エントリーするたびに損切りが続いていると、損するのが嫌だという理由でエントリーしなくなる方もいます。

ただ、エントリーの根拠に一貫性があるなら、エントリーすべきです。

きちんとエントリーをすれば、これまでの損切り額以上の利益を出せる可能性もあります。
このように感情に着目すれば、自分のやるべきことが見えてくるのでトレードも上達しやすくなります。

4-3. トレード記録をつける

トレード記録をつけるのは自分のトレードに自信が持てるようになります。

また、後から振り返りができるので、次回以降のトレードにつなげられます。

・あの時は感情のままにトレードしたから損失が膨らんだ
・損失が多いけど、損切りするべき場所があったのでは?

と、記録を取り、検証することでトレードの上達速度も上がるのです。

4-4. 何度もトレードを繰り返す

トレードルールが定まっていない人はトレード回数が少ない方が多いです。トレード回数が少なければ、勝てる自信が湧かず、トレードする際に迷いが出てしまいます。

一方、何度もトレードをすれば、ルール通りにトレードすることが当たり前になるので、迷うことが少なくなります。

何百回、何千回とトレードを繰り返すことが大事です。
また、何千回もトレードを繰り返せる資金量がない方でも、1回あたりの取引量を少なくすれば可能です。

ルールを覚えていきなり稼ごうとするのではなく、まずは取引量を落としてトレードをしてみてください。

5. 相場と長く向き合うつもりでトレードをすることが大事

相場と長く向き合うつもりでトレードをすることが大事

投資を始めたトレーダーの多くは、稼ぎたいと考えて相場の世界に入ってきたはずです。ただ、早く稼ぎたいと考えるあまり、必然的にレバレッジを上げ、取引量を増やさざるを得なくなります。

初心者がいきなり取引量を増やすのでは、投資ではなくギャンブルになってしまいます。
焦る必要はありません。相場の世界は簡単にはなくならないので、焦る必要はありません。

実際に世界大恐慌、大企業の倒産、リーマンショックが起きても、株式市場や為替市場そのものはなくなりませんでした。

まずは焦らず、酒田五法のルールに慣れることから始めましょう。きちんと証拠金を増やせるようになってから稼いでも十分間に合います。

6. まとめ

酒田五法のルールは長年生き残ってきた確かなトレード手法です

酒田五法のルールは長年生き残ってきた確かなトレード手法です。

ただ、まだ少し利用して勝てないだけで、すぐに酒田五法は使えないと判断するのは早計です。

まずは以下のどれに当てはまるのか原因を探りましょう。

  • 騙し
  • 資金管理ができていない
  • トレードルールを守れていない

原因が分かれば、勝てる手法を求めて永遠にさまよい続けることもなくなります。

まずは、酒田五法のルールを一つずつ覚えて何度もトレードをすることが大事ですよ。