一目均衡表と移動平均線の組み合わせで分析精度をアップさせる方法

一目均衡表と移動平均線の組み合わせで分析精度をアップさせる方法

一目均衡表と移動平均線は、トレンド系の中でもメジャーなテクニカル分析方法です。
多くのメディアでも、この2つの分析方法について詳しく解説されています。

ところが、

「一目均衡表と移動平均線を組み合わせたトレード手法の実例が見つからない」
「2つの分析方法を活用して、どうやってエントリー・利確すればいいの?」

と感じている方は多いのではないでしょうか。

この記事ではチャート画像を使用しつつ、一目均衡表と移動平均線を使ったトレード事例を解説します。

併せて、2つの分析方法を併用するメリットと注意点についてもお伝えします。

最後まで読めば、一目均衡表と移動平均線を併用してエントリー・利確する流れをイメージできるようになりますよ!

目次

1. 一目均衡表・移動平均線とは?分析方法の基礎を解説

一目均衡表・移動平均線とは?分析方法の基礎を解説

始めに一目均衡表と移動平均線の基礎についてです。
いずれもトレンド系の分析方法であり、相場のトレンドの有無や方向・強さなどを把握するために活用できます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

1-1. 一目均衡表はチャート上に5本の線を示す

一目均衡表では、5本の線がチャート上に表示されます。
一目均衡表はチャート上に5本の線を示す
線が指し示す内容は下記の通り。

  • 先行スパン1(ピンクの線):基準線と転換線の中間を26日後に表示
  • 先行スパン2(ピンクの破線):過去52日間の最高値と最安値の中間値を26日後に表示
  • 遅行スパン(水色の線):当日の終値を26日前に表示
  • 転換線(黄色い線):過去9日間の最高値と最安値の中間値
  • 基準線(黄色い破線):過去26日間における最高値・最安値の中間値

また、先行スパン1・2で囲まれた部分を「雲」と呼びます。

それぞれの線とローソク足の動きを見れば、トレンドの分析が可能です。

基本的な分析方法は下記の3つ。

  • 基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド
  • 遅行スパンがローソク足より上であれば上昇トレンド、下であれば下降トレンド
  • ローソク足が雲より上であれば上昇トレンド、下であれば下降トレンド

例えば上のチャートをご覧ください。
遅行スパンはローソク足より下であり、ローソク足は雲の下、そして基準線は下に傾いているのを確認できますね。

以上のことから、下降トレンドであると分かります。

一目均衡表を活用すれば、このように相場のトレンドを分析できますので、ぜひ試してみましょう。

なお、一目均衡表の見方については、「一目均衡表の見方は複雑?細かな専門用語から活用法までを詳しく解説」を参考にしてみて下さいね。

1-2. 移動平均線は一定期間における終値の平均値を示す

移動平均線では、一定期間の終値の平均値が表示されます。
移動平均線では、一定期間の終値の平均値が表示
こちらの日足チャート上に示された黄色い線は移動平均線(21日)です。
移動平均線が示す情報は、21日間の終値の平均。
上のチャートは日足チャートなので、21本分のローソク足の終値の平均を示しています。

それでは移動平均線でトレンド分析するには、どうすればいいのでしょうか。
移動平均線は終値の平均値なので、「平均値の上昇・下落が売買の勢いを示している」と判断できます。

すなわち、

  • 移動平均線が上向く:買いの勢いが強いので上昇トレンド
  • 移動平均線が下向く:売りの勢いが強いので下降トレンド

となるのです。

移動平均線の見方については「【組み合わせ方も解説】移動平均線やローソク足の見方や判断方法とは?」も参考にしてください。

2. 一目均衡表・移動平均線を組み合わせる強みとは?

一目均衡表・移動平均線を組み合わせる強みとは?

ここまで、一目均衡表・移動平均線の基礎知識とトレンド分析方法を説明しました。

次は、両者を組み合わせるメリットと注意点をお伝えします。

2-1. 一目均衡表・移動平均線を組み合わせるメリット2点

一目均衡表・移動平均線を組み合わせるメリットは、下記の2点。

メリット① トレンド分析の精度が上がる
メリット② 様々なトレードスタイルに活用できる

特に2つ目は、自分のトレードスタイルが固まっていない方にとって大切な内容なので、ぜひ押さえておいてください。

メリット① トレンド分析の精度が上がる

一目均衡表と移動平均線はトレンド系のテクニカル分析です。
1つのテクニカル分析を用いるよりも、2つを同時に用いた方が分析の精度は上がります。

仮に移動平均線だけを使用して、売買ポイントを見つけたとしましょう。
1つのテクニカル分析だけであれば、売買ポイントはすぐに見つけられます。
ですが、その分だけダマシも多くなります。

移動平均線だけではなく一目均衡表も併用させれば、信頼度の高い売買ポイントに制限できるのです。

メリット② 様々なトレードスタイルに活用できる

投資には短期・中期・長期トレードと様々なスタイルがありますよね。
一目均衡表と移動平均線を組み合わせれば、様々なトレードスタイルに対応可能です。

一目均衡表の場合、使用する時間足は基本的に日足チャートであり、設定期間もデフォルトの数値が推奨されがち。
一方で移動平均線の場合、時間足や設定期間に定めはありません。
移動平均線で使用されやすい期間は、「5日・10日・14日・20日・21日・50日・75日・100日・200日」。

投資家ごとのトレードスタイルに応じて、柔軟に期間設定できる強みがあるのです。

2-2. 一目均衡表・移動平均線を組み合わせる注意点

続いて一目均衡表・移動平均線を組み合わせる際の注意点です。
注意点は下記の2つになります。

注意点① 時間設定を誤ると分析の精度が下がる
注意点② 売買の過熱度を把握できない

相場の分析で使用する前に、よく確認しておきましょう。

注意点① 時間設定を誤ると分析の精度が下がる

時間軸の設定方法を誤ると、精度の高い分析ができなくなります。

例えば日足チャートを使って、長期トレードをするとしましょう。
数週間から数か月といった長めのスパンで投資するなら、より広い範囲で相場を分析しなくてはなりません。

そのため移動平均線の期間は、「75日・100日・200日」といった設定値にするのが適しています。

反対に、設定を誤って9日・21日のような短めの値にしてしまえば、相場を広く分析できなくなるのです。
適切に設定できなければ分析の精度は落ちてしまうので、注意してください。

注意点② 売買の過熱度を把握できない

一目均衡表と移動平均線は、トレンド系のテクニカル分析方法。
オシレーター系のように、売買の過熱度を把握できない点を押さえておきましょう。

トレードで売買の過熱度を把握できない場合、トレンドのピーク時にポジションを保有してしまう恐れがあります。
もし上昇トレンドの頂点で買いポジションを持てば、その直後に急落して大きな含み損を抱えてしまうでしょう。

それゆえに、一目均衡表と移動平均線を併用する場合は、相場の急反転を警戒してください。
反転を防ぐためには、あらかじめストップロス注文をかけておくか、もしくはオシレーター系のテクニカル分析を活用するのがおすすめです。

3. 一目均衡表・移動平均線を組み合わせた「トレード事例」を解説

一目均衡表・移動平均線を組み合わせた「トレード事例」を解説

一目均衡表と移動平均線を組み合わせるメリットと、注意点を押さえた上で、具体的なトレード手法を見ていきましょう。

ここでは短期・中期・長期トレードの3つに分けて、実際のトレード事例を紹介します。

3-1. 【短期トレード向け】日足で一目均衡表・45分足で移動平均線を使用

1つ目は短期トレード向けの方法です。

大まかな流れは、

  • 日足チャートで一目均衡表を使用し、大まかな相場の流れを確認
  • 一目均衡表で売買ポイントを見つける
  • 45分足チャートで移動平均線を使用し、売買ポイントを見つけてエントリー

となります。
日足チャートで一目均衡表を表示させ、相場の大きな流れを把握
日足チャートで一目均衡表を表示させ、相場の大きな流れを把握しましょう。

遅行スパン(水色の線)はローソク足より上であり、基準線(黄色い破線)は上向き。
こうした一目均衡表とローソク足の動きから、上昇トレンドだと考えられます。

相場の大きな流れを掴んだところで、売買ポイントを見てみましょう。
一目均衡表の売買ポイントは、下記の通り。

①遅行スパン(水色の線)がローソク足を上抜けば買い、下抜けば売りポイント
②転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を上抜けば買い、下抜けば売りポイント
③ローソク足が雲を上抜けば買い、下抜けば売りポイント

チャートを見ると、3つの買いポイントを確認できますね。

買いポイントが3つそろったので、今後の相場は上昇する見込みが高いと分かるでしょう。

それでは、もう少し短い時間足を使って、買いポイント③のところをクローズアップします。
買いポイント③以降は45分足チャートを見て、具体的なエントリーのタイミングを見計らいます。
45分足チャートに移動平均線を2本表示
45分足チャートに移動平均線を2本表示させました。
赤い線は9日間、黄色線は21日間に設定しています。

この2本の移動平均線で、売買ポイントを見つけましょう。
見つける方法は、下記の通りです。

  • 短期移動平均線(9日間)が中期移動平均線(21日間)を上抜いてゴールデンクロスになった時に買いエントリー
  • 短期移動平均線(9日間)が中期移動平均線(21日間)を下抜いてデッドクロスになった時に売りエントリー

チャートを確認すると、ゴールデンクロスができていますね。
このタイミングでロングエントリーしましょう。

ここで注意すべきは、「相場のトレンドが主要トレンドの方向と一致しているかどうか」です。
主要トレンドとは、より長い時間足におけるトレンドを指しており、相場の大きな流れを示します。

今回の場合、日足チャートが主要トレンド。
もし45分足チャートが下降トレンドであった場合、主要トレンドの流れとは反しているため、トレンドは長続きしないと予測できたでしょう。

しかしながら、今回は日足チャート・45分足チャートともに上昇トレンドであるため、主要トレンドと一致しています。

そのため上昇トレンドは持続しやすいと考えられるのです。
利確ポイントは、「2本の移動平均線でデッドクロスが確認できた時」
今回の利確ポイントは、「2本の移動平均線でデッドクロスが確認できた時」。
損切りポイントは、「エントリー後に価格が下落し、デッドクロスを確認した時」とします。

トレードにおいて、利確は謙虚に実行するのがベストです。
ゆえに一つのテクニカル分析でサインを見つけたら、すぐに利確するようにしましょう。

エントリー後は値上がりし続けて、やがて短期移動平均線が中期移動平均線を下抜きました。
デッドクロスを発見したので、このタイミングで利確しましょう。

利益確定後の「ゴールデンクロス」はエントリーチャンスになる?

チャートを見ると、デッドクロスで利確した直後に、またゴールデンクロスができていますね。

上記画像の続きを見た場合、利確した後に再びゴールデンクロスでエントリーする方法もアリ
日足チャートで主要トレンドが上向きであると確認済みなので、さらに上昇トレンドが続くと考えられるでしょう。

したがって、さらに値幅を狙うためにロングエントリーするのもおすすめです。

実際、筆者は主要トレンドが発生している場合は積極的に「押し目」を狙ったエントリーをする場合があります。
特に、デイトレードなどの短期売買では「一目均衡表」や「移動平均線」などの各指標を活用してエントリーポイントを探るようにしていますよ!

3-2. 【中期トレード向け】雲とゴールデンクロス・デッドクロスで売
買ポイントを見つける

続いて中期トレード向けのトレード手法です。
トレードの流れは、下記のようになります。

  • 日足チャートで雲とローソク足の位置を見て、トレンドを確認
  • 雲のブレイクと移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスでエントリー

今回は中期トレードであるため、使うのは日足チャートだけであり、それより短いチャートは使用しません。
移動平均線の設定は短気線9日・中期線21日。
この数値にするのは、トレンド転換のサインをいち早く察知するためです。

それではトレードの流れを具体的に見ていきましょう。
一目均衡表の先行スパン
チャート上に、一目均衡表の先行スパン1(ピンクの線)と先行スパン2(ピンクの破線)を出し、雲だけを把握できるようにしました。
ローソク足は雲の下で推移しているため、下降トレンドであると判断できます。

下降トレンドから上昇トレンドに切り替わるタイミングで、ロングエントリーしましょう。

短期移動平均線(黄色い線)と中期移動平均線(黄色い破線)を見ると、繰り返しゴールデンクロスができているのを確認できますね。

ゴールデンクロスは買いサインですが、いずれもトレンド転換には至っていません。

このように移動平均線だけを見ていると、トレンド転換を見極められないため、「移動平均線・一目均衡表の両方で売買ポイントを見つけた時」にエントリーします。
ゴールデンクロスの後にローソク足が雲を上にブレイク
チャートを観察していると、ゴールデンクロスの後にローソク足が雲を上にブレイクしました。
移動平均線・一目均衡表の両方で買いポイントを見つけたので、ロングエントリーします。

利確のタイミングは、「値上がり後にデッドクロスが発生した時」です。
損切りのタイミングは、「ローソク足が雲の中に入った時」とします。

ロングエントリー後は、値上がりし続け、雲の上で推移していますね。
デッドクロスができたので、利確しましょう。

3-3. 【長期トレード向け】75日・200日移動平均線と一目均衡表を使用

最後に長期トレード向けの方法を解説します。
中期トレードのようにトレンドの転換を狙うのではなく、順張りして値幅を狙う方法です。

トレードの流れは、下記の通り。

  • 日足チャートを使用し、200日の長期移動平均線で長期トレンドを把握
  • ローソク足が雲の中で75日の中期移動平均線を反発したところでエントリー

長期投資なので、移動平均線も投資スタイルに合わせて期間設定しました。
それでは実際のトレードの流れを見てみます。

200日に設定した長期移動平均線(黄色い線)は下向きであることに加えて、価格が雲の下で推移しているため、下降トレンドであると分かります。

今回は順張りで利益を狙うので、タイミングを見計らってショートエントリーしましょう。

エントリーのタイミングは、価格が雲の中に入って、中期移動平均線(黄色い破線)で反発したところです。

「ローソク足が雲の中に入れば、トレンド転換する可能性もあるのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし中期移動平均線がレジスタンスラインの役割を果たすので、中期移動平均線で反発すれば、下降トレンドは続くと予測できるのです。

実際にローソク足は中期移動平均線をブレイクせず、繰り返し反発しているのを確認できますね。

チャートを見ると、雲の中で中期移動平均線をローソク足が反発しているところを発見できたので、このタイミングでショートエントリーしましょう。

利確は「遅行スパン(水色の線)がローソク足を上抜いた時」であり、損切りは「ローソク足が中期移動平均線を上抜いた時」です。
エントリー後、価格は徐々に下がっていきました
エントリー後、価格は徐々に下がっていきました。
遅行スパンがローソク足を上抜いたところで利確します。

4. まとめ

今回は一目均衡表と移動平均線を使ったトレード事例を解説しました。

両方ともトレンド系の分析方法であるため、併用することで分析の精度を挙げられます。
加えて、短期・中期・長期トレードと様々なスタイルで活用できるのです。

ただしオシレーター系ではないので、売買の過熱度を把握するのには向いていません。
トレードで活用する際は、相場の急反転に気を付けましょう。

今回ご紹介したようなトレードスタイルごとの手法を参考にしつつ、自分のトレード方法を見つけてください。