一目均衡表は株式相場でも通用する?各条件に沿って検証してみた結果

一目均衡表は株式相場でも通用する?各条件に沿って検証してみた結果

一目均衡表は、トレンドを調べるのに適したテクニカル分析手法です。
日本人の株式評論家が発案した手法であり、多くのトレーダーに活用されています。

とはいえ、

「一目均衡表って大型株・小型株のトレードで機能するの?」
「トレンド分析や売買ポイントの発見に活用できるかが心配」

と感じる方も多いでしょう。

この記事では、実際の株式チャートの画像を用いながら、一目均衡表が株のトレードで機能するかどうかを検証します。
併せて、一目均衡表の概要やトレード事例をご紹介しましょう。

最後まで読めば、株式チャート上で一目均衡表を使いこなす方法を理解できますよ!

目次

1. 一目均衡表とは?大きな特徴を2つ解説

一目均衡表とは?大きな特徴を2つ解説

始めに一目均衡表の概要を解説しましょう。

大きな特徴は下記の2つ。

特徴① 日本人の株式評論家が発案したトレンド分析手法
特徴② 5本の線を活用し、価格が均衡するポイントを見つける

それぞれ解説します。

1-1. 特徴① 日本人の株式評論家が発案したトレンド分析手法

一目均衡表とは、「一目山人」という日本人の株式評論家によって発案されたトレンド分析方法です。

ボリンジャーバンドやMACDのように、テクニカル分析は外国人によって作り出された手法がほとんど。
それに対して、一目均衡表は国産のテクニカル分析なのです。

本来は奥の深い分析方法であり、発案者の「一目山人」は自著で700ページ以上かけて一目均衡表を解説しています。

この記事では、その中でも特に重要な要素を取り上げていますので、トレードで活用する前に理解を深めておきましょう。

1-2. 特徴② 5本の線を活用し、価格が均衡するポイントを見つける

一目均衡表では、チャート上に5つの線を表示させます。
一目均衡表は株式相場でも通用する?各条件に沿って検証してみた結果
それぞれの線における特徴は、下記の通りです。

・遅行スパン(水色の線):当日の終値を26日前に表示
・転換線(黄色の線):過去9日間の最高値と最安値の中間値
・基準線(黄色の破線):過去26日間における最高値・最安値の中間値
・先行スパン1(ピンクの線):基準線と転換線の中間を26日後に表示
・先行スパン2(ピンクの破線):過去52日間の最高値と最安値の中間値を26日後に表示

この中で遅行スパン以外の4本は、「中間値」を表示させているのが分かりますね。

一目均衡表では、価格が均衡するポイントを中間値と定めています。
そして均衡が崩れた方向に向かって、価格は推移すると判断できるのです。

詳しくは「一目均衡表の見方は複雑?細かな専門用語から活用法までを詳しく解説を参考にしてみてくださいね!

2. 大型株・小型株のトレードで一目均衡表は機能するのか検証

大型株・小型株のトレードで一目均衡表は機能するのか検証

一目均衡表を利用すれば、5本の線でトレンドの方向を分析できると解説しました。

それでは、一目均衡表は株式チャートの分析にも活用できるのでしょうか。
ここでは大型株・小型株のチャートで一目均衡表が機能するのかを検証しました。

2-1. 大型株のチャートで見た一目均衡表

まず、大型株のチャートを見てみましょう。
一目均衡表で、トレンド分析できるかどうかを確認します。
トヨタ自動車(東証一部)の株式チャート
大型株の事例として、トヨタ自動車(東証一部)の株式チャートを取り上げます。
チャート上に表示した一目均衡表を見ると、遅行スパン(水色の線)はローソク足の上で推移しているのが分かりますね。

加えて、転換線も少しずつ上昇しており、ローソク足は雲の上で推移しています。
なお、一目均衡表でいう「雲」とは、先行スパン1(ピンクの線)と先行スパン2(ピンクの破線)の範囲のこと。

一目均衡表から分かる情報をまとめると、下記の通り。

  • 遅行スパンがローソク足の上で推移している
  • 転換線が上向きである
  • ローソク足が雲の上で推移している

この3つの特徴が見られる時、相場は上昇トレンドだと分かるのです。

このように大型株のチャートを一目均衡表で分析したところ、トレンドの方向が分かりました。

反対に下降トレンドの場合は、一目均衡表から下記のようなことが観察できます。

  • 遅行スパンがローソク足の下で推移している
  • 転換線が下向きである
  • ローソク足が雲の下で推移している

*大型株・小型株の違いは下記にて解説していますよ!

大型株・小型株の違い3点について詳しく解説

大型株・小型株の厳密な定義はありませんが、区別する際のポイントは下記の3点です。

①時価総額の大きさ

②売買の活発さ

③値動きの大きさ

下記の3項目について、詳しく見てみましょう。

①時価総額の大きさ

時価総額は、発行済み株式数に株価をかけて求めます。

時価総額が大きければ大型株、小さければ小型株と判断するのです。

②売買の活発さ

売買の活発さもポイント。

大型株は株式投資のニュースやアナリストのレポートにも頻繁に取り上げられており、投資に必要な情報を集めやすいのです。

そのため、小型株と比べて大型株は活発に売買されます。

③値動きの大きさ

大型株の値動きは小さく、小型株は大きめである特徴があります。

大型株の株式枚数は小型株よりも多めなので、一度のトレードで多額の金額が動いても、株価に大きな影響は与えません。

したがって大型株は、激しく値動きしにくいのです。

 

反対に小型株の株式枚数は少ないため、大きく値動きする特徴があります。

2-2. 小型株のチャートで見た一目均衡表

続いて小型株のチャートです。
一目均衡表が機能するか見てみましょう。
小型株の事例として、インサイト
小型株の事例として、インサイト(札幌ア)を取り上げます。

*札幌アとは札幌証券取引所「アンビシャス」のことです。

先ほどのトヨタのチャートと比べると陰線・陽線が長いため、値動きは大きめであると分かりますね。
この値動きの大きさは、小型株の代表的な特徴の一つです。

また、一目均衡表を見ると上昇トレンドであると分析できます。
遅行スパン(水色の線)がローソク足の上にあり、転換線(黄色の線)は上向き。
そしてローソク足は雲を下から上へブレイクし、雲の上を推移し始めています。

以上のように小型株のチャートでも、一目均衡表で「トレンド分析」できることが検証できました。

3. 株式相場で一目均衡表は活用できる?大型株・小型株のトレード事例を解説

株式相場で一目均衡表は活用できる?大型株・小型株のトレード事例を解説

一目均衡表は株式チャートでも機能すると分かりましたが、実際に一目均衡表をトレードで使いこなすにはどうすればいいのか気になるところ。

ここからは、一目均衡表を活用した大型株・小型株のトレード事例をご紹介しましょう。
具体的なエントリーポイントと利確・損切りのタイミングを解説します。

3-1. 大型株のトレード事例

先ほどのトヨタ自動車(東証一部)を取り上げ、大型株のトレード事例を説明します。
チャート上に一目均衡表を表示
チャート上に一目均衡表を表示させました。
一目均衡表とローソク足の形を分析すれば、売買ポイントを見つけられます。

ここで発見できる売りポイントは、下記の3つ。

売りポイント① 遅行スパン(水色の線)がローソク足を下抜ける
売りポイント② 転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を下抜ける
売りポイント③ ローソク足が雲を下抜ける

3つの売りポイントを見つけられるので、売りポイント③のところでショートエントリーしましょう。

なお、利益確定のタイミングは、買いポイントを発見した時とします。
買いポイントは下記の3つです。

買いポイント① 遅行スパン(水色の線)がローソク足を上抜ける
買いポイント② 転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を上抜ける
買いポイント③ ローソク足が雲を上抜ける

因みに、損切りのタイミングは「エントリーの方向とは反対に値動きし、なおかつ買いポイントを見つけた時」となります。
エントリー後の一目均衡表とローソク足に注目
エントリー後の一目均衡表とローソク足に注目すると、下記のような動きをしているのが分かりますね。

  • 遅行スパンはローソク足の下で推移している
  • 転換線が下向きである
  • ローソク足が雲の下で推移している

上記3つの様子が見られるため、相場は下降トレンドになっていると判断できます。

実際にエントリー後、価格は下がり続けていますね。
やがて遅行スパン(水色の線)がローソク足を下から上へブレイクしました。
この遅行スパンの動きは買いポイントなので、利確しましょう。

3-2. 小型株のトレード事例

次は小型株の事例です。
インサイト(札幌ア)を取り上げて解説します。
大型株と同様
大型株と同様、一目均衡表とローソク足の動きを見て、売買ポイントを探すところから始めます。
チャートを観察すると、下記3つの買いポイントを発見しました。

買いポイント① 遅行スパン(水色の線)がローソク足を上抜ける
買いポイント② 転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を上抜ける
買いポイント③ ローソク足が雲を上抜ける

値上がりを予測できるため、買いポイント③のところでロングエントリーしましょう。
利確のポイントは値上がりした後に「売りポイント」が出現した時。

損切りポイントは、「エントリー後に値下がりし、売りポイントが出現した時」とします。
エントリー後は上昇
エントリー後は上昇トレンドになりました。
ただし小型株をトレードする際は、値動きの激しさに注意してください。

エントリーした後のローソク足を見ると、大型株のローソク足より長めであるのを確認できますね。

加えて、価格が損切りポイント付近まで達している場面も見られます。

実際にローソク足が雲の中に入ったり、転換線と基準線が重なるような動きをしているのを分かるでしょう。

このように小型株の値動きは不安定になりがちである点を押さえておいてください。

値動きを観察していると、遅行スパンがローソク足を下抜けるような売りポイントを発見できたので、このタイミングで利確します。

売買ポイントを見つけてエントリーする際は、ダマシに遭うリスクも考慮しておきましょう。

例えばローソク足が雲を上へ抜いた後にロングエントリーしたとします。
買いサイン通りにエントリーしても、直後に価格が反転し、雲を下抜けるケースも考えられるのです。

こうしたダマシを無くすのは不可能ですので、損切りポイントで決済して損失を最小限に防ぐようにしましょう。

もしくは他のテクニカル分析を併用し、ダマシに遭うリスクを軽減させる方法もおすすめです。

4. 一目均衡表は急激な値動きに対応しにくいので注意

一目均衡表は急激な値動きに対応しにくいので注意

ここまで見てきたように、株式トレードでも一目均衡表を活用できます。

けれども、一目均衡表を使っても、急激な暴落を予想するのは困難なので、注意してください。

株式の価格は企業業績だけではなく、経済ニュースや災害・テロによって影響を受けるケースもあります。
場合によっては大きく価格変動しますが、暴落を事前に把握することはできません。

暴落に備えるためには、価格が損切りラインに達したところで決済できるよう、ストップロス注文をしておくような工夫が必要です。

5. まとめ

今回は、一目均衡表を使った株式トレードの方法をご紹介しました。

もともと一目均衡表は日本人の株式評論家によって作られた分析方法。
5つの線を用いていて一見複雑そうに見える分析方法ですが、基本的な知識を押さえれば、すぐに使いこなせるようになるでしょう。

さらに、一目均衡表は大型株・小型株のどちらでも活用できます。
とはいえ、小型株のように急な価格変動に対応できないケースもあるので、注意してください。

今回ご紹介したトレード事例も参考にしながら、ぜひ実際にトレードで一目均衡表を使用してみましょう。