「エンベロープ」の特徴と使い方、注意点を解説(株式からFXまで通用する!)

「エンベロープ」の特徴と使い方、注意点を解説(株式からFXまで通用する!)

エンベロープはトレンド分析に適したテクニカル分析方法です。
移動平均線を応用した指標であり、形はボリンジャーバンドに似ています。
使いこなせれば、株式トレードをしている方にとって強い武器になるでしょう。

とはいえ、

「エンベロープを使って、どうやってエントリー・利確すればいいの?」
「エンベロープで株式トレードをする際の注意点を知りたい」

と考える方は多いでしょう。

この記事では、エンベロープの概要やトレード手法・注意点を解説します。

最後まで読めば、エンベロープを使って株式トレードをするための具体的な流れを理解できますよ!

目次

1. エンベロープとは?株式トレード初心者が知っておきたい基礎を解説!

エンベロープとは?株式トレード初心者が知っておきたい基礎を解説!

エンベロープを利用すればチャートのトレンドを分析できるので、トレンドの向きやエントリー・利確ポイントを発見できます。

使い方を理解すれば、株式トレードでも通用するのです。
株式トレード初心者の方は、始めにエンベロープの概要と設定方法を押さえましょう。

1-1. エンベロープはトレンド系のテクニカル分析方法

エンベロープとは、トレンド系のテクニカル分析方法です。
チャート上に移動平均線と、その上下に複数の線を表示させ、相場のトレンドを調べます。
チャート上にエンベロープを表示
チャート上にエンベロープを表示させると、上記の画像のようになります。
真ん中のピンクの線は移動平均線です。
その上下に位置している線は、移動平均線から一定の乖離率を保っています。

チャート上の黄色い線は移動平均線の価格から±5%の値幅を示しており、黄色い破線は±10%です。

帯のように移動平均線の上下に表示されていることから、「バンド」と呼ばれます。
バンドの数や移動平均線との乖離率は、自由に変更可能です。

それでは、エンベロープを使ってどのような分析をすれば良いのでしょうか。

エンベロープの基本は「価格が反転するタイミングを探る」こと。

株価は時に暴騰・暴落しますが、その値上がり・値下がりはいつか必ず終わります。
永遠に続く上昇・下落トレンドは存在しませんので、どこかのタイミングで価格が反転し、移動平均線に接触します。

エンベロープでは、バンドを利用して反転のタイミングを見つけるのです。
実際のチャートを見て、反転するタイミングを確認してみましょう。
エンベロープを使用
チャートを見ると、移動平均線の示す数値から10%以上も価格が下がっていますね。
エンベロープを使用すれば、「かなり平均価格から離れたので、そろそろ上がるかもしれない」と予測を立てられます。

このように価格と移動平均線・バンドの位置を見て、トレンドを分析するのです。

1-2. エンベロープはボリンジャーバンドとはどう違う?

エンベロープを見て、ボリンジャーバンドと似ていると感じた方は多いのではないでしょうか。

ボリンジャーバンドもエンベロープ同様、移動平均線を使用する指標。
エンベロープとの違いは、「バンドの幅が一定であるかどうか」です。

上記の通りエンベロープのバンドでは、移動平均線と一定の乖離率を示します。
それに対し、ボリンジャーバンドのバンドでは標準偏差を活用しており、トレンドの強さに応じてバンドの幅が広がるのです。

加えて、「設定数値を自由に変更できるかどうか」という違いもあります。

ボリンジャーバンドではバンドの設定数値を「1σ・2σ・3σ」の3つから設定します。
一方で、エンベロープでは設定数値をより細かく設定できる特徴があるのです。
移動平均線とのバンドの乖離率は1%未満にも100%以上にもできますので、カスタマイズ性はボリンジャーバンドよりも上でしょう。

*ボリンジャーバンドについて詳しく知りたい方は、こちらの「ボリンジャーバンドって一体何?概要から見るべきポイントについて詳しく解説」という記事も参考にしてくださいね。

1-3. 株式トレードにおけるエンベロープの設定方法

「エンベロープはカスタマイズ性が高い」とお伝えしましたが、具体的にどのように設定すべきなのか気になるところ。

エンベロープを設定する流れは、

  • 移動平均線の種類と期間を設定する
  • バンド幅を設定する

という順で進めるのがおすすめです。

具体的な設定方法を説明しますので、株式トレード時の参考にしてください。

移動平均線の種類と期間を設定しよう

まずは移動平均線を設定しましょう。
エンベロープで主に使用されるのは単純移動平均線(SMA)であり、状況に応じて指数平滑移動平均(EMA)も使用されます。

通常であれば単純移動平均線で構いませんが、値動きの大きい銘柄をトレードする時は、指数平滑移動平均線が良いでしょう。
なぜなら指数平滑移動平均線は、直近の価格を重視する特徴があるためです。

移動平均線は一定期間における価格の平均値を示します。
そのため直近で大きく値動きすると、その値動きを素早く反映させられない弱点があるのです。
もし値動きの大きめな銘柄を取り扱う場合、単純移動平均線では対応しきれないケースが想定されるので、指数平滑移動平均線を活用しましょう。

次に移動平均線の期間です。
エンベロープでよく使用される期間は25日ですが、トレードスタイルによって推奨される数値が異なります。

例えば15分足なら4日・8日・12日、4時間足なら21日・25日と、チャートの時間足に合わせて期間を設定するのがおすすめです。

普段、短い時間足でトレードしている方は短い期間にして、長い時間足であれば、長めの期間に設定しましょう。

エンベロープのバンド幅を設定しよう

移動平均線の設定が済んだら、バンド幅を設定します。
移動平均線からどれだけ乖離させるのかを決めましょう。

よく設定されるバンド幅は5%や10%ですが、価格の上限・下限にバンドが接触する付近に設定するのがベターです。
チャートでは、バンド幅を20%(黄色い破線)・10%(黄色い線)に設定
上記のチャートでは、バンド幅を20%(黄色い破線)・10%(黄色い線)に設定しました。
値動きを見ると、ほとんど10%のバンド幅の範囲で推移しているのが分かりますね。
ところが、時々大きく値動きして10%を超えているケースも見られます。

したがって、価格が10%を超えた時の上限・下限に合わせて、もう一つのバンドを20%に設定しました。

以上のようにトレードする銘柄の値幅を確認した上で、設定数値を吟味しましょう。

2. 【チャート画像付き】エンベロープを使用した株式トレード手法を解説

【チャート画像付き】エンベロープを使用した株式トレード手法を解説

上記で解説したエンベロープの概要や設定方法を踏まえて、実際の株式トレードの手法をお伝えします。

エンベロープを使用する場合、相場でトレンドが発生している時は順張りを選び、レンジ相場の時は逆張りを選びましょう。

トレンド相場における逆張りはハイリスクであり、順張りの方が値幅を取りやすいためです。
反対にレンジ相場では相場の方向性がないため、順張りで利益を獲得するのが困難。
そのため逆張りを推奨します。

2-1. エンベロープの順張り手法

始めに順張りの手順です。
移動平均線が右肩上がり
移動平均線が右肩上がりであるところから、上昇トレンド中であると分かります。
トレンドが発生しているので、エンベロープで順張りできますね。

なお、エンベロープは下記の通り設定しています。

  • 移動平均線:25日単純移動平均線
  • バンド幅:20%(黄色い破線)と10%(黄色い線)

使用しているチャートが日足なので、時間足に合わせて25日に設定しました。
値動きも大きくないので単純移動平均線とし、バンド幅は過去のローソク足の動きを見ながら調整しています。

それでは、エンベロープを使ってどのようにトレードすれば良いのでしょうか。
エントリーのタイミングは、「外側のバンド幅を上抜けた時」。

外側のバンド幅は、ローソク足の最大・最小になるように調整しています。
最大に調整したバンドを上抜けるということは、「買い圧力が強くなっている」と解釈できるのです。

すなわち、上昇トレンドが継続すると判断できます。

チャート上でローソク足が外側のバンドを上抜けたところで、ロングエントリーしましょう。

利確のタイミングは「ローソク足が移動平均線に達した時」であり、損切りのタイミングは「値上がりせずに内側のバンド(黄色い線)を下抜けた時」です。
ロングエントリー後は値上がり
ロングエントリー後は値上がりしていきました。
価格が移動平均線に達したところで利確しましょう。

2-2. エンベロープの逆張り手法

続いて逆張り手法についてです。

エンベロープの逆張りはレンジ相場で行う手法になります。
移動平均線を見ると、ほぼ横ばい
移動平均線を見ると、ほぼ横ばいになっているのでレンジ相場と判断できますね。

移動平均線の設定は先ほどと同じく単純移動平均線であり、25日にしています。
バンド幅をローソク足の最大・最小に合わせたところ、黄色い線が3%、黄色い破線が6%となりました。
トレンド相場の時と比べると値幅は狭くなりますが、その分だけ逆張り手法でもローリスクです。

エントリーのタイミングは、「価格が内側のバンドに達した時」です。
今回は上のバンドに達したところでショートエントリーしましょう。
損切りのタイミングは「外側のバンドに達した時」であり、利確は「反対の内側のバンドに達した時」です。

ショートエントリー後の値動きを見ると、徐々に値下がりしていったので、下のバンドにまで下落したタイミングで利確しました。

エンベロープで逆張りする時は、トレンド発生に注意してください。

「私もレンジ相場で逆張りエントリーした直後に、急なトレンド発生により損失を出したことがあります。
私がショートエントリーした後、すぐに高騰し始めて上昇トレンドが発生したのです。
結果として、損切りラインに達したところですぐに決済しました。」

それゆえに、トレード前には慎重にトレンド分析するようにしましょう。

3. エンベロープで株式トレードをする注意点と対策

エンベロープで株式トレードをする注意点と対策

エンベロープを使用した順張り・逆張り手法をご紹介しました。
トレードの参考になったと思いますが、実際にトレードする前に注意しておきたいポイントがあります。

注意点は下記の3つ。

  1. 強いトレンドの発生
  2. トレンド反転によるダマシ
  3. 値動きの激しい銘柄のトレード

対策も併せて説明しますので、エンベロープを使用する前に押さえておきましょう。

3-1. 強いトレンド発生時に注意

強いトレンドが発生すれば、値幅は広くなりがち。
上記の順張り・逆張りのトレード事例を見ても分かる通り、トレンド発生時はローソク足の幅が大きくなります。

実際に、先ほどご紹介した順張り・逆張り手法におけるエンベロープの幅(外側の黄色い破線)は、逆張り時に6%、順張り時に20%に設定していました。

値幅が広くなると、エントリーのタイミング次第では大損してしまいます。
例えば強い上昇トレンド発生時に逆張りしてしまえば、大きな含み損を抱えてしまうでしょう。

強いトレンドで損失を抑えるためには、逆張りを避けて順張りでトレードするのが適しています。
加えて損切りラインを明確にしておき、損失を最小限に食い止めるようにしましょう。

3-2. トレンド反転によるダマシに注意

株式トレードをしていると、長期的な上昇トレンドの中で、小規模の下落トレンドがよく発生します。

もし下落トレンドへの転換だと勘違いしてショートエントリーしてしまえば、その直後の値上がりによって損失を出してしまうリスクがあります。

このようなトレンド反転のダマシを防ぐためには、他の指標を併用しましょう。

エンベロープはエントリーや利確のタイミングを探るのに適していますが、トレンド分析する際に活用できるのは移動平均線のみ。

それゆえにトレンド分析の精度を上げるには、エンベロープだけではなく別の指標も活用するのをおすすめします。

3-3. 値動きの激しい銘柄に注意

トレードする銘柄の値動きに気を付けましょう。
値動きの大きい銘柄はリスクが大きくなりがち。

余計なリスクを回避するためには、値動きが大きすぎない銘柄を選んでくださいね。

銘柄を選ぶポイントは2つ。
1つ目は「流動性のある銘柄」であるかどうかです。

流動性の低い銘柄は、少しの売買で大きく価格が上下します。
取り扱う銘柄が頻繁にトレードされているかどうかをチェックしましょう。

2つ目は「エンベロープのバンド幅を表示した時に10%~20%で収まるかどうか」です。
バンド幅を最大・最小に合わせた際に10%以内で収まれば、値動きの荒さを心配する必要はないでしょう。

バンド幅の上限は20%に留めておき、20%を超えていたらトレードを避けるのを勧めます。

4. まとめ

この記事ではエンベロープというテクニカル分析方法について解説しました。

エンベロープでは、基本的に単純移動平均線(SMA)が使用され、設定期間は25日。
バンドの幅は5~10%に設定されるケースがほとんどです。

ただしトレードスタイルや銘柄のボラティリティによって、設定方法を適切に調整する必要があります。

設定方法に正解はないので、トレードを繰り返す中で適した設定を見つけてみましょう。

今回ご紹介したトレード事例や注意点も参考にしつつ、ぜひ実際のトレードでエンベロープを活用してみてください。