ボリンジャーバンドのおすすめ期間は?検証から分かる期間ごとの特徴を解説

ボリンジャーバンドのおすすめ期間は?検証から分かる期間ごとの特徴を解説

ボリンジャーバンドの使用経験がある一方、期間の設定には詳しくない方も多いはず。

しかしボリンジャーバンドは、トレードスタイルによって適切に「期間」を変更する必要があります。

とはいえ、「何日に設定すれば良いのか分からない」「設定後はどのようにトレードすればいいの?」と疑問に感じますよね。

この記事では、トレードスタイルごとにボリンジャーバンドの期間を決める方法について解説します。
併せて、デフォルトと認識されている「期間20」「期間21」の違いや、期間ごとのトレード手法に違いがあるのかどうかについてもご説明しましょう。

最後まで読めば、今まで以上にボリンジャーバンドについて理解を深められ、周りのトレーダーよりも一歩リードできますよ!

目次

1. ボリンジャーバンドとは?押さえておきたい要点を解説

ボリンジャーバンドとは、トレンド系のテクニカル分析手法です。
ボリンジャーバンドはローソク足チャート上に表示
ボリンジャーバンドはローソク足チャート上に表示されます。
真ん中一本の移動平均線と、その上下にある標準偏差と呼ばれる線で構成されるのです。

標準偏差はσ(シグマ)とも呼ばれ、上の標準偏差を+σ、下の標準偏差を-σと表します。
なお、σは±1σ・±2σ・±3σの3種類から設定でき、それぞれの範囲内で値動きする確率が決まっているのです。

  • ±1σの範囲内で推移する確率:約68.3%
  • ±2σの範囲内で推移する確率:約95.4%
  • ±3σの範囲内で推移する確率:約99.7%

上記の確率を利用すれば、トレードでエントリーポイントや利確ポイントを発見できるでしょう。

また、移動平均線の期間も自由に設定でき、よく使用される期間は9日・10日・20日・21日・50日・75日・100日です。

2. ボリンジャーバンドの期間はトレードスタイルによって決めよう!

ボリンジャーバンドの期間はトレードスタイルによって決めよう

ボリンジャーバンドで表示される移動平均線の期間は自由に設定できますが、何日にすれば良いのか悩みますよね。

設定すべき期間は、トレードスタイルによって異なるのです。
なぜならトレードスタイルが違えば、参考にするべき情報も異なるため。

例えばスキャルピングトレードで使用するローソク足は1分足や5分足であり、日足や週足を使用する方はいないでしょう。

したがって、それぞれのトレードスタイルに合わせてボリンジャーバントの期間を決める必要があるのです。

ここでは、

  • 短期・中期・長期間におけるボリンジャーバンドの設定方法
  • 20日と21日はどのような違いがあるのか
  • 一般的に推奨されているは20日であること

について解説します。

2-1. 短期・中期・長期間のトレードにおけるボリンジャーバンドの設定方法と注意点

短期・中期・長期トレードの適切な設定は下記の通り。

トレードスタイル ボリンジャーバンドの推奨期間
短期トレード 9日・10日
中期トレード 20日・21日
長期トレード 50日・75日・100日

それぞれのトレードスタイルで分析できる事柄や注意点を解説します。

短期トレードの場合

まずはスキャルピングトレードやデイトレードといった、短期間のトレードスタイルでの期間設定方法を解説します。

短期トレードの場合、ボリンジャーバンドの設定期間は9日か10日にするのがおすすめです。
スキャルピングでは数秒から数分、そしてデイトレードでは数分から数時間でトレードを終えますよね。

このように一日の中でトレードを繰り返す時は、トレードのチャンスを見つけやすくするために、期間を短めに設定する必要があります。

もしボリンジャーバンドの期間を20日や50日のように長めに設定しまえば、分析を通して発見できるエントリーチャンスが少なくなるのです。

そのため期間を9日か10日にして、短い時間における値動きが反映されるように設定しなくてはなりません。

ただし期間を短くすると、ダマシの発生が増える点に注意してください。

中・長期トレードの場合

次に中・長期トレードの期間設定方法です。
ここでいう中期トレードとは、数日から数週間でトレードを終えるスイングトレードを指し、長期トレードとは数週間から数か月間かけてトレードするポジショントレードを指します。

中期トレードでは、ボリンジャーバンドの期間を20日か21日に設定し、長期トレードでは50日・75日・100日に設定しましょう。

トレード期間が長ければ、その期間に合わせてボリンジャーバンドの数値も設定します。
期間を長くすると、相場全体の値動きを分析しやすくなるのです。

また、小さい値動きは反映されにくくなるため、ダマシが発生しにくくなります。
ゆえに短期トレードよりも、分析の手間を省ける可能性があるでしょう。

しかし期間を長くすれば、大きく値動きしてもボリンジャーバンドに反映されにくくなります。

したがって、エントリーポイントや損切りポイントに目星を付けた後に、指値注文を入れておくような工夫が必要です。

2-2. 期間は20と21のどちらが適切?検証結果を公開

ボリンジャーバンドの設定期間の候補をいくつか取り上げました。
それでは、20日と21日ではどちらを選べば良いのでしょうか?

期間20日と21日を比べたところ、どちらも大きな差はありませんでした。
期間20日と21日のボリンジャーバンドを表示
こちらの画像では、期間20日と21日のボリンジャーバンドを表示させています。
期間20日はピンクの線で表し、期間21日は黄色の破線で表しました。

このように2つの期間のボリンジャーバンドを重ねてみると、大きな違いがないと分かりますね。

ただし2つのボリンジャーバンドをよく観察してみると、±σがスクイーズ(縮小)する時、ピンク(期間20日)の±σが黄色(期間21日)の±σの内側に来ていました。
期間20日は21日よりも僅かに先行しています。

つまり、期間20日のボリンジャーバンドの方がいち早くスクイーズを発見できるのです。

反対に±σがエクスパンション(拡大)する時は、20日も21日もほぼ同じ動きをしています。

それでは、期間9日と10日、そして期間50日と75日ではどのように異なるのでしょうか。

確認してみましょう。
期間9日のボリンジャーバンドをピンクの線、10日を黄色の破線で示しています
こちらのチャートでは、期間9日のボリンジャーバンドをピンクの線、10日を黄色の破線で示しています。

2つのボリンジャーバンドを見比べると、スクイーズ時にピンク(期間9日)の方が黄色(期間10日)より先行しています。

なお、エクスパンション時は期間9日・10日とも似た動きをしていました。
最後に期間50日と75日を比べてみます
最後に期間50日と75日を比べてみます。
期間50日はピンクの線、期間75日は黄色の破線です。

比較すると、異なる動きをしているのが分かりますね。
ピンク(期間50日)がスクイーズすれば、その直後に黄色(期間75日)もスクイーズしています。

また、エクスパンションするケースでも同様に、ピンクのボリンジャーバンドが先に広がり、それに続く形で黄色も広がっています。

以上の内容をまとめると、
・期間9日・10日、および期間20日・21日の場合、期間が短ければスクイーズを発見しやすくなる
・期間50日・75日の場合、期間が短ければスクイーズ・エクスパンションを発見しやすくなる

となります。

つまり、ボリンジャーバンドの期間を短くするほど、相場の値動きが反映されやすくなるのです。

2-3. ボリンジャーバンドの生みの親「ジョン・ボリンジャー氏」は期間「20」を推奨

ボリンジャーバンドはアメリカの投資家であるジョン・ボリンジャー氏によって生み出されました。

ボリンジャー氏は、ボリンジャーバンドの期間を「20日」に設定するのを推奨しています。

実際にボリンジャーバンドの初期設定において、期間は20日になっていますね。
加えてボリンジャー氏は自著「ボリンジャー・バンド入門 ― 相対性原理が解き明かすマーケットの仕組み」の中で、次のように記していました。

「20日間の平均が金融に関する多くの事項について、妥当な出発点であることが分かった」

このように、生みの親自身が期間20日を「妥当である」と語っている上に、ボリンジャーバンドではデフォルトで20日に設定されているのです。

したがって、ボリンジャーバンドの期間は20日にするのが無難であると判断できます。

3. どの期間でも基本的なトレード手法は同じ

どの期間でも基本的なトレード手法は同じ

ボリンジャーバンドの期間設定方法や、期間による違いについて解説してきました。

ここまで読んだトレーダーの中には、

「設定期間が異なれば、トレード手法も違ってくるの?」

と疑問に感じる方もいるでしょう。

どの期間に設定しても、基本的なボリンジャーバンドのトレード手法は変わりません。

ボリンジャーバンドを活用したトレード手法を2つご紹介します。

3-1. バンドウォークを見つけて順張り手法

ボリンジャーバンドで順張りする流れは下記の通り。

  • スクイーズしているところを見つけ、エクスパンションを待つ
  • ローソク足が±σを超えたらエントリー
  • ±σがスクイーズし始めたら利確

詳しく解説します。
ボリンジャーバンドでスクイーズしている箇所
まずはボリンジャーバンドでスクイーズしている箇所を見つけましょう。
チャートを見ると、ピンクの丸で囲っている箇所でスクイーズしていますね。

スクイーズはトレンド発生のサインであり、トレンド発生時にボリンジャーバンドの±σが大きく広がります。

エクスパンションしたらエントリーのチャンスですので、様子を観察しましょう。
スクイーズ後、ボリンジャーバンドの±σは拡大
スクイーズ後、ボリンジャーバンドの±σは拡大しました。
トレンドが発生したと判断できるため、ショートエントリーします。

エントリーポイントは、ローソク足が-σを超えたタイミングです。
損切りポイントはローソク足が移動平均線を上抜けした時であり、利確ポイントは±σが縮み始めた時になります。
エントリー後、ローソク足は-σ上を推移しつつ、下落を続けています
ショートエントリー後、ローソク足は-σ上を推移しつつ、下落を続けていますね。
利確のタイミングを見極める時は、-σの反対側である+σに注目してください。

エントリー後、σはプラスマイナスともに広がり続けていますが、必ずどこかのタイミングでスクイーズを始めます。
利確のタイミングは、エントリーした方向とは反対のσが縮み始めた時です。

+σが縮み始めたところを黄色い丸で囲っています。
このタイミングで利確しましょう。

スクイーズを見つけ、エクスパンションしてローソク足が±σを超えたタイミングがエントリーポイントであると解説しました。
とはいえ、毎回同じエントリー方法で利益を狙えるとは限りません。

ダマシである可能性も十分に考えられるためです。
ボリンジャーバンドの期間を9日や10日にすれば、特にダマシが多くなるでしょう。

例えば-σをローソク足が超えたところでショートエントリーした直後、逆方向に値動きして+σを超えるケースもあります。

テクニカル分析においてダマシを避けるのは不可能ですので、損切りポイントに達したところでポジションを切るようにしましょう。

3-2. スクイーズを見つけて逆張り手法

ボリンジャーバンドで逆張りする時の流れは、下記の通り。

  • 移動平均線でトレンドが発生していないことを確認
  • ローソク足がσを超えたら逆張りでエントリー
  • エントリーした方向と逆のσをローソク足が超えたら利確

詳しく解説します。
ボリンジャーバンドのσがスクイーズしているのを確認
まずはボリンジャーバンドのσがスクイーズしているのを確認しましょう。
スクイーズを確認できたら、トレンドが発生していないかどうかを調べます。

もし移動平均線がほぼ横ばいで推移していれば、トレンド中ではないと判断できます。

次にエントリーするポイントを見つけましょう。
ローソク足が±σを超えたところでエントリーします。
ボリンジャーバンドの設定は±2σですので、その範囲で価格が推移する確率は約95.4%。

そのためσを超えた時に逆張りでエントリーすれば、価格が戻る際の値幅を狙えるのです。

ローソク足を観察していると-σを下抜けたので、ロングエントリーしましょう。
利確ポイントは+σに達した時、損切りポイントは価格が-σを下回り、エクスパンションした時です。
エントリー後、価格は±σの範囲内に戻り、値上がり
エントリー後、価格は±σの範囲内に戻り、値上がりします。
やがて+σを超えたため、利確しました。

以上のようにボリンジャーバンドを活用すれば、逆張りでも利益を狙えます。
ただし、逆張りはリスクが高めですので、注意してください。

上記の通り、スクイーズはトレンド発生のサイン。
仮にスクイーズ時に逆張りでショートエントリーし、その直後に上昇トレンドが形成されたら、大きな損失につながります。

損失を最小限に食い止めるためにも、損切りは確実に実行しましょう。

4. まとめ

ボリンジャーバンドの期間設定方法は、トレード手法で異なるのです。

短い期間であればトレードチャンスは増え、すぐにスクイーズを発見できますが、ダマシが多くなります。
一方で長い期間であればダマシは減り、相場の大きな流れを追いやすくなりますが、トレードチャンスが減るのです。

それぞれのメリット・デメリットを押さえつつ、うまくトレードに活かす必要があります。
どの期間でも基本的なトレード手法は変わらないので、今回ご紹介したトレード実例を参考にして、ぜひトレードしてみてください。