【すぐ実践できる】エリオット波動とフィボナッチで相場を読み解く方法
エリオット波動を参考に取引をする際に使いこなしたいツールがフィボナッチです。
フィボナッチを活用すれば、相場の反転ポイントがわかるので、エリオット波動での売買判断がしやすくなります。
本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- エリオット波動とフィボナッチの基礎知識
- エリオット波動の波の特徴
- エリオット波動で大きな波を狙うポイント
当記事を読めば、フィボナッチの活用方法もわかるようになるので、エリオット波動の予測精度を高くできます。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1. エリオット波動とは?
エリオット波動とは、アメリカのアナリストであるラルフ・ネルソン・エリオットが確立したチャート理論です。
エリオット波動は、相場において起こる波のサイクルを表しており、上昇5波と下降3波の合計8つの波から成り立っています。
上昇5波のうち、上昇している第1波・第3波・第5波は推進波、下落している第2波、第4波は修正波と呼ばれています。
下降3波についても下落しているa波とc波を推進波、上昇しているb波は修正波と呼んでいるのです。
また、上昇トレンドだけでなく、下降トレンド時もエリオット波動は活用できます。
エリオット波動の条件(上昇時)は、以下の3つです。
エリオット波動では、推進波(第1波、第3波、第5波)のうち、第3波がもっとも短くなることはありません。
また、推進波の第2波が第1波よりも安値をつけると、エリオット波動の条件から外れます。
さらに推進波の第4波が第1波の高値を下回ることはありません。
なお、条件を満たしても、必ずエリオット波動のパターン通りに上昇するとは限らないので注意が必要です。
2. フィボナッチとは?
フィボナッチは、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見しました。
そして、前の2項を足した数(たとえば一番左端の0と左端から2番目の1を足すと1になる)でできあがる数列です。
0、1、1,2、3、5、8、13,21、34、55,89,144・・・
投資の世界でのフィボナッチは、フィボナッチ数列をもとにしたフィボナッチ比率をチャートに組み込んで値動きを予測するテクニカル手法です。
特に61.8%や161.8%を節目として重要視しています。
61.8%が重要視されている理由は「0÷1」「1÷1」「1÷2」のように前の数字を1つ後ろの数字で割った際に、21÷34以降は永遠に0.618となるからです。
また、161.8%が重要視されている理由は「1÷1」「2÷1」「3÷2」のように後ろの数字を1つ前の数字で割った際に、55÷34以降は永遠に1.618となるためです。
加えて、1.618という数字はフィボナッチの黄金比率(1:1.618)に該当するため、この点からも重要視されている数字といえます。
さらに、以下のような数字もフィボナッチではよく活用されます。
- 23.6%
- 38.2%
- 48.6%
- 78.6%
- 127.2%
- 205.8%
- 261.8%
- 423.6%
数字の意味まで覚える必要はありませんが、フィボナッチで重要視されている数値は把握しておきましょう。
「筆者がフィボナッチで取引するときは、38.2%・61.8%・100%・127.2%・161.8%、261.8%のみ使うケースがほとんどです。すべてを覚えようとすると大変ですが、重要な数値のみに絞って分析することで、より効率的にトレード技術が向上します。」
3. エリオット波動とフィボナッチは密接に関係している
実はエリオット波動とフィボナッチは密接に関係しています。
フィボナッチの上昇5波(インパルス)と下降3波の数字を合計すると8波となります。
ここで出てきた5、3,8は、いずれもフィボナッチ数列に含まれている数字です。
また、エリオット波動を発見したラルフ・ネルソン・エリオットは、出版した「Nature’s Law 自然の法則」のなかで、エリオット波動理論の数学的な背景はフィボナッチであると紹介しています。
したがって、エリオット波動は、フィボナッチやフィボナッチ比率にもとづいていると考えることができます。
実際、エリオット波動では、フィボナッチの50%や61.8%付近で推進波と修正波が転換するケースが多いです。
取引するときにフィボナッチも併用すれば、精度の高い取引ができるようになるでしょう。
4. フィボナッチとエリオット波動の使い方
フィボナッチには、フィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エクスパンションの2種類があります。
エリオット波動でどのように使うのかそれぞれ見ていきましょう。
4-1. エリオット波動とフィボナッチ・リトレースメントの使い方
フィボナッチ・リトレースメントとは、上昇相場の押し目買い、下降相場の戻り売りなど相場の反転箇所を探るテクニカル手法です。
基本的に第2波、第4波、a波の転換を予測する際に使います。
また、フィボナッチ・リトレースメントでは、23.6%や85.4%など100%以下の比率が使われる点も覚えておきましょう。
フィボナッチ・リトレースメントを引くときは、直近の高値と安値を結ぶ方法が一般的です。
エリオット波動におけるフィボナッチ・リトレースメントの使い方について、以下のチャートを例に見て行きましょう。
今回は4波がどこで転換するかを知りたいので、直近の3波の終点(③)から始点(②)に向けて、フィボナッチ・リトレースメントを引っ張りましょう。
一般的に第4波は38.2%もしくは61.8%付近まで戻るケースが多く、実際にその通りとなっています。
4波が出現後、フィボナッチ・リトレースメントで38.2%〜61.8%まで戻すことを把握していれば、5波の上昇に乗れるでしょう。
4-2. エリオット波動とフィボナッチ・エクスパンションの使い方
フィボナッチ・エクスパンションは、上昇相場の押し目買いや下降相場の戻り売りからトレンド(波)がどこまで進むかを予測するための指標です。
したがって推進波の第3波・第5波、修正波のC波がどこまで伸びるのか予測する際に利用します。
フィボナッチ・エクスパンションは、フィボナッチ・リトレースメントとは異なり、161.8%・200%・423.6%など100%を超える比率も利用します。
フィボナッチ・エクスパンションの引き方は、以下のようにエリオット波動第1波の始点、第2波の始点(①)、第3波の始点(②)で結びます。
第3波は一般的な上昇幅である161.8%前後までの上昇を予測してトレードしましょう。
もちろん、上のケースのようにさらに長く伸びるケースもあります。
5. フィボナッチとエリオット波動の関係性を解説
エリオット波動でフィボナッチを活用するときは、それぞれの波の特徴を押さえておくべきです。
なぜなら、それぞれの波によってフィボナッチ比率の頻度が変わるからです。
エリオット波動のうち推進波の2波〜5波、調整波の特徴について解説します。
5-1. フィボナッチとエリオット波動2波の特徴
エリオット波動の2波は1波からの調整ですが、押しが浅いケースと深いケースがあります。
2波が浅い押しで終わるときは、始点から38.2%程度までの下落にとどまります。
特に1波の下に強いサポート帯があるケースでは、買い手は安心して買えるので急騰につながりやすくなります。
2波が深い押しになるケースは、下降トレンドからエリオット波動の第1波へ転換した際によく出現する形です。
一般的には、フィボナッチの50〜61.8%まで下落するケースが多くなります。
2波が深い押しになる理由は、エリオット波動の直前まで発生していた下降トレンドがまだ続く可能性があるからです。
とはいえ、1波の始点を割っていない以上は、下降トレンドが終了したと見なして3波の上昇につながっていきます。
5-2. フィボナッチとエリオット波動3波の特徴
3波は、エリオット波動のなかでもっともトレンドが伸びやすいため、積極的にエントリーを狙っていきましょう。
3波の目標値は、1波の値幅の1.382倍・1.5倍・1.618倍・2倍・2.618倍などがあります。
なかでも、1波の1.618倍になるケースが多いです。
3波がほかの波よりも伸びやすい理由は、1波と2波に比べて買いの勢いが売りの勢いを明らかに上回っているからです。
下降トレンドからの転換をイメージすればわかりやすいですが、1波や2波が出現した時点では、下降トレンドがまだ継続していると考えている人が一定数います。
しかし、2波で安値更新をしなかったことで、それまで売っていたトレーダーは利確や損切り(どちらも売りの反対注文である買い注文)をします。
加えて、新たに買い手として参入するトレーダーも増えるため、3波は上昇しやくなるのです。
5-3. フィボナッチとエリオット波動4波の特徴
エリオット波動の4波は、3波からの調整にあたる波です。
4波が成立するためには、下落したときに1波の高値(終点)と重複しない必要があります。
一般的には3波の38.6%から50%戻しになるケースがほとんどですが、深く押しても4波は成立します。
また、以下のような特徴も把握しておきましょう。
- 3波は伸びやすい分、2波よりも値幅や時間は長くなる
- 買いと売りが拮抗しているため、見つけるのが難しい
- 4波は同じ調整波である2波と違った形になりやすい
たとえば、上の図のように2波で単調な形(ジグザクなど)が既に出現しているときは、4波は複雑な形(トライアングル・フラットなど)になりやすいです。
この現象をオルタネーションと呼びます。
エリオット波動のオルタネーションについては、以下の記事で詳しく解説しているのでご一読ください。
・エリオット波動8つの特徴③オルタネーションを分かりやすく解説
5-4. フィボナッチとエリオット波動5波の特徴
5波はエリオット波動における最後の上昇局面になるため、トレンドが加熱している反面、利確するトレーダーも増加しています。
5波の特徴は2つあります。
- 1波と同じ長さになりやすい
- 3波が1波の何倍の値幅になっているかで長さが変わる
たとえば、3波の長さが1波の3倍ある場合はダイアゴナルやフェイラーといった形が出現しやすいでしょう。
一方で、3波の長さが1波の2倍の場合は、5波の上昇幅も4波の倍くらいになる可能性があります。
なお、5波はエクステンション(1波・3波・5波のいずれかの波が延長すること)するケースもあるので注意が必要です。
その場合、5波は1波の始点から3波の終点までの1.618倍になる可能性があります。
5-5. フィボナッチとエリオット波動5波の後の特徴
エリオット波動の5波の出現した後は、下降3波(a波 b波 c波)に移行します。
a波は上昇から下降へ転換するタイミングですが、まだ上昇トレンドの途中の可能性もあるため、判断が難しいでしょう。
下落目標は5波のフィボナッチ・リトレースメントの38.2%、50%、61.8%、100%戻しあたりが有力です。
続いてb波は、下降3波のうち唯一上昇する局面です。
下落目標はa波のフィボナッチのうち38.2%、50%、61.8%、100%あたりになるでしょう。
a波とb波はタイミングを予測しにくいので、狙うのならc波をおすすめします。
c波の特徴は2つあります。
- 値幅がa波の終点を超えて下落する
- a波の100%、161.8%、200%、261.8%まで下落する
また、2の代わりに、1波から5波の終点までの38.2%、50%、61.8%、78.2%、100%戻しを目標にしてもよいでしょう。
6. エリオット波動とフィボナッチで狙うべきタイミング
エリオット波動は、上昇5波・下降3波の合計8つの波がありますが、すべての波を狙う必要はありません。
比較的多くの値幅を獲得できる3波・5波・c波を中心に取引するのをおすすめします。
それぞれの波の狙うべきタイミングについて見ていきましょう。
6-1. エリオット波動の第3波
エリオット波動でもっとも大きな利益を得られる可能性がある波は3波です。
ただ、3波のはじめからエントリーをするためには、2波の転換がどこになりそうかフィボナッチ・リトレースメントを使って判断しなければなりません。
2波は、1波の終点の50%〜61.8%前後戻した箇所まで下落するケースが多いです。
したがって、50%〜61.8%下落した箇所に到達したら、エントリーしましょう。
次に、3波の始点から終点までどのくらい戻るか判断するときは、フィボナッチ・エクスパンションを活用します。
3波は1波の1.618倍の長さになるケースが多いため、フィボナッチ・エクスパンションで3波の終点を予測しましょう。
6-2. エリオット波動の第5波
エリオット波動の5波を狙う方法もあります。3波と比べると大きな利益を狙えないですが、最後の波のため、比較的探しやすいです。
エリオット5波でエントリーするためには、4波の終点を予測する必要があります。
上の図を見ると、下降型のトライアングルが出現しています。
フィボナッチ・リトレースメントを使って、4波から5波へ転換しやすい38.6%〜50%前後を探しましょう。
次にトレンドがどこまで継続するか予測しましょう。
5波は1波と同じくらいの長さになりやすいので、5波の始点から1波と同じくらいの上昇幅が目標価格になります。
なお、上のチャートでは目標価格(点線部分)を超えて上昇していますが、これは5波がエクステンションしているからです。
6-3. エリオット波動のc波
エリオット波動のc波で売りから利益を狙う方法もあります。
c波は、a波の100%、161.8%、200%、261.8%前後進むケースが多いです。
そのため、c波の始点からエントリーができれば、多くの利益を得られる可能性があります。
7. まとめ
エリオット波動で取引する際は、フィボナッチを活用すれば、予測の精度を高めることができます。
ただし、チャートで見つけにくい波もあります。見つけやすい波や大きな値幅を獲得できる波に絞って取引するべきです。
エリオット波動とフィボナッチを使いこなすためには、まず現在見ているチャートからエリオット波動を探して、フィボナッチを使ってみましょう。