ダウ理論のトレンド転換は狙い目?見方と活用法を解説
ダウ理論の第6原則にトレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続するという原則があります。
ただ、明確な転換シグナルが分からなくて苦労されている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、
-
- ダウ理論の基礎知識
- トレンドが否定されるパターン
- トレンド転換する事例
などを解説します。
ダウ理論のトレンド転換のシグナルが分かれば、転換のタイミングについて理解しやすくなりますよ!
目次
1. ダウ理論の6つの原則
ダウ理論とは、アメリカの証券アナリストであるチャールズ・ダウが提唱したテクニカル分析の理論のこと。
ダウ理論は以下の様に6つの基本原則から成り立っています。
- 平均はすべての事象を織り込む
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
ダウ理論の中で最も使いやすいのは6つ目の「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する」です。
第6原則は、逆に考えれば、明確なシグナルが発生するとトレンド転換することになります。
ただ、具体的にトレンド転換するにはどのような状況になれば良いのでしょうか?
2. ダウ理論ではトレンドの否定が起きると転換とみなされる
ダウ理論では、トレンドの否定が起きた時に転換とみなされます。
上昇トレンドのケースと下降トレンドのケースで、それぞれ見ていきましょう。
2-1. 上昇トレンドが否定されるパターン
上のチャートを見てください。チャートの左側では、高値と安値がそれぞれ切り上げ続けているので、明らかな上昇トレンドです。
ところが、高値の切り上げが止まり、②でつけた価格を越えなくなりました。
この時点で買いの勢いが一旦収まりつつあることが分かりますね!
そして、③で直近の安値も割れた点に注目してください。
そもそも、これまでの上昇トレンドは、高値も安値も切り上げ続けることが前提でした。
しかし、高値も安値も価格を切り上げなくなることで、上昇トレンドが終わった可能性を考えなくてはなりません。
実際に、直近安値を割れた後も一時的に上昇しましたが、結局大きく下落しています。
2-2. 下降トレンドが否定されるパターン
次に、下降トレンドが否定されるパターンも見ていきましょう。
下降トレンド中は、高値も安値も切り下げながら下落しています。しかし、②の価格帯で下落が一旦止まりました。
そして、③の地点で直近高値を越えたことで、トレンド転換の可能性が高くなったのです。
直近高値を超えた後は、上昇の動きがしばらく続きました。このように、トレンドが否定されれば、転換が起きるのです。
3. ダウ理論のトレンド転換の事例を解説!
この章では、ダウ理論のトレンド転換が発生した後に成功するパターンと失敗するパターンの両方を解説します。
実際にチャートを見ながら解説するので、ぜひトレードの参考にしてみてくださいね!
3-1. シグナル通りトレンド転換したケース
まずは、トレンド転換に成功したケースを解説します。
①で高値更新が止まり、②で安値も割れたのでトレンド転換の可能性が高まりました。
トレンド転換のシグナル出現後の値動きを見ると、きれいに暴落していますね。ここまで綺麗に利益を取れれば、大きな利益になるでしょう。
3-2. トレンド転換しなかったケース
一方で、トレンドが否定されれば必ず転換するとは限りません。
上のチャートでは、高値も安値も切り上げが止まったので、②は売って良い局面です。
ところが、安値を割れたにも関わらずほとんど下落しません。ついには直近高値を越えて大きく上昇してしまいました。
このように、トレンドが否定されても、必ずシグナル通り転換するわけではないのです。
高値を超えた場合は転換のシグナルは「騙し」と考えてください。
むしろ、①〜③までの値動きは、上昇するために小休止していたと考えるのが自然です。
躊躇なく損切りをしなければ、急激な上昇に巻き込まれかねません。
3-3. トレンド転換は高値と安値の両方を見ることが重要
トレンド転換を判断する際には、もう一つ重要な点があります。
それは、高値と安値の両方を見ること。
高値の切り上げが止まったら、もう上昇しないからすぐに売ろうと考えていませんか?
高値を更新しないからといって、すぐに売るのは危険な行為です。
少なくとも、直近安値を割れるのを待つべきでしょう。
トレンドが終了するためには、直近の安値を割れるほどの下落が発生しなければなりません。
下落幅が少なければ、再び上昇する可能性がまだ残っています。
筆者もトレンド転換からの転換を狙った逆張りトレードを何度もしたことがあります。
少しでも利益を出すために、高値の更新が止まったタイミングで売ったのです。
しかし、結果は騙しばかりで損失が増えていく一方でした。
そもそも、トレンドは長く続くほど、転換した後に逆方向への値動きが強くなります。
そのため、焦って高値から売ってもあまり良いことはないのです。
4. ダウ理論でトレンド転換の信頼性を見る方法
ダウ理論は、トレンドが継続するか転換するかを判断できます。
しかし、ダウ理論を知っていても未来の価格までは分からないため、トレンド転換は慎重に判断しなければなりません。
以下の2つの方法を利用すれば、ダウ理論でトレンドが否定された時、その転換シグナルの信頼性を図れます。
- サポートやレジスタンスラインも意識する
- ローソク足の形も見る
どのように使うのか見ていきましょう。
4-1. サポートラインやレジスタンスラインも意識する
サポートラインとレジスタンスラインを意識すれば、より転換の判断が容易になります。
サポートライン | 下落が止まりやすい価格帯 |
レジスタンスライン | 上昇が止まりやすい価格帯 |
サポートラインやレジスタンスラインは過去に何度も反転した価格帯なので、多くのトレーダーが注目しています。
上昇トレンドが続き、レジスタンスライン付近まで上昇すると、トレンドが転換しやすいと考えるトレーダーが増加するからです。
逆に、下降トレンドが発生していても、サポートまで近づくと転換しやすくなります。
上のチャートの②で安値を越えたので、トレンド転換と判断することは間違っていません。
ただ、高値と安値の切り下げが止まったことだけで上昇すると判断しても、思惑通り上昇しないケースもあります。
過去の値動きを見ると、下落トレンド中に直近高値の価格と同じ価格帯で2回ほど反発していることが分かりますね。
つまり、直近高値(水色点線)は過去サポートラインだった価格帯なのです。
何度も反発した箇所は、一旦サポートラインを下抜けるとレジスタンスラインに変わりますが、重要な価格帯として認識されます。
②の場所で再び重要な価格帯を越えたことで、今度は上昇する可能性が高くなりました。
実際に、直近高値を超えた後の下落幅は少なく、急上昇していきました。
ダウ理論だけでなく、サポートラインやレジスタンスラインを組み合わせれば、転換シグナルが信頼できるか分かるのです。
4-2. ローソク足の形も見る
ダウ理論とローソク足の組み合わせも相性が良いです。
上のチャートでは、上昇トレンドが発生しています。
高値の更新が止まった次のローソク足を見てください。
上ヒゲの長いローソク足が出ています。
このローソクはピンバーと呼ばれており、高値圏で出現した場合強い売りのサインです。
その後、直近安値を割れ、ダウ理論のトレンドの否定が起きました。
ダウ理論だけでなくピンバーも出現しているため、さらに下落する可能性は高いと判断できるでしょう。
実際に、転換シグナル発生後の価格は大きく下落し続けています。
このように、ダウ理論だけでなくサポートやレジスタンス、ローソク足を確認すれば、さらに売買判断がしやすくなるのです。
5. まとめ:ダウ理論だけではトレンド転換が起きたか分からないこともある
ダウ理論は重要な法則なので、頭の片隅には入れておきたい法則です。ただ、ダウ理論の法則を覚えれば、トレードで勝てるとは限りません。
そのため、どのようにトレンド転換が起きるのかは把握しておきましょう。
また、無駄な損失を防ぐ場合、ダウ理論だけでは十分ではありません。サポート・レジスタンスやローソク足の形なども見て判断することが重要ですよ。