【シンプル】RSIの期間はどの数値にすべき?おすすめの期間と理由について解説

RSIの期間はどの数値にすべき?

FXでトレードするためのテクニカル分析の基本として、「移動平均線やボリンジャーバンド」などの『トレンド系』と、「RSIやMACD」などの『オシレータ系』(押し目や戻りの反転を狙う指標)の2種類が主要なものとしてあります。

『オシレータ系』の中でも特に有名な「RSI」ですが、誰でも知っている程有名な反面、トレンド系と比べて、「どのような期間にしたら良いか」、「期間を変更する事でどうなるか」について、なかなか理解する事が難しいという点が挙げられます。そこで、RSIのパラメーター設定をする上で重要な「期間」について考察を深めていきます。

当記事を読めば、RSIにおける最適な期間の設定から、どのような背景でおすすめな期間が設定されるかについて、詳しく理解できます。

目次

1. 一般的なRSIの期間設定って何?

RSIを表示した時の標準値として設定されている期間は「14」ですが、その他にも、「9」、「28」、「50」という期間も有名です。どの期間にするか正解はありませんが、明確な理由が無い限りは、標準値として設定されている「14」を使用するのが良いです。

なぜなら、多くの利用者が使用している期間が「14」だからです。
また、多くの人が同じ期間設定で見ているという事は、RSIの特徴である「買われすぎ」、「売られすぎ」を判断するポイントも同じポイントになるからです。

2. よく見るRSIの期間設定「14」は考案者のアイデア?

RSIは、J.W.ワイルダー氏が1978年に発表したテクニカルです。J.W.ワイルダー氏はアメリカの投資インストラクターで、著書「New Concepts In Technical Trading Systems(邦題 ワイルダーのテクニカル分析入門) 」の中でRSIを発表した他、パラボリック、ボラティリティ・インデックス、DMI、ADX、ATRなど複数のテクニカルを用いた手法を記しています。
J.W.ワイルダー氏は、著書の中で、RSIについて、以下のように述べています。

”For the first calculation of the Relative Strength Index, RSI, we need the previous 14 day’s close prices. ”
(訳:RSIの最初の計算には14日間の終値が必要)

このことから、J.W.ワイルダー氏の提唱した期間(14)が標準とされ、多くのトレーダーが設定しています。

2-1. RSIの初期設定が14である理由

ここで、ワイルダー氏はどうして「14」という数字に行きついたのだろうか?という疑問がわいてきます。あなたも知りたくありませんか?そこで、私なりに考えた事を述べたいと思います。

RSIというのは、押し目や戻りがどこで終わるのか?を判断する為に考えられたテクニカル指標です。となると、ワイルダー氏は相場の上げ下げの日柄を数えたはずだと思うんですね。(私の推測です)日柄を数えるとは上げ下げの日数を数える事です。下図を見てください。

日柄を数える

一番左の18日間かけて上げた場所(陽線の続く箇所)を見てください。

これは後知恵になりますが、RSIの設定を「18」にして、過去18日間の売りと買いの強さを見ていたら、転換する場所の目安がつきやすいですよね?

その次は23日下げた場所は、過去23日間での売りと買いの強さを見ていたら、再び上がる場所の目安がつきやすいですよね?

このような考えを元にワイルダー氏は、「上げ下げの日数における最適な数値は、いくつなのか?」と検証し、その最適解の数値が「14」になったのでは、と考察しました。ただ、先述したように、ワイルダー氏に直接聞いた訳ではありませんので、あくまで私の推測になります。

ちなみに、この推測を後押しするような話があります。押し目や戻りの日数を数えて統計を取った日本人がいます。その方は一目均衡表で有名な一目山人という人です。

一目均衡表には「変化日」と言われるものがあり、簡単に説明すると「押しや戻りが完了して、新しい潮目が出る場所だから気をつけてね」というものです。

その変化日が 「9」「17」「26」 なのです。
一方の、RSIの設定は「9」「14」「28」となっており、非常に似ていることに気付きますよね?

このことからも、押しや戻りが完了する日数から最適な数が「14」となったのではないか?と推測できるのです。「14」の設定にすると、反転サインのタイミングで買われ過ぎの「70%」に近づき、売られ過ぎでは「30%」にちょうど近づく事が多かったのではないから「14」にしたのではないか?と私は考えます(何度も言いますが推測です)

では、私の推測した考察も含め、RSIの期間を変えた場合のチャートを見てみましょう。

3. (比較)RSIの期間を変えてチャートに反映してみる

では、実際に標準とされている「14」と、その他の期間「9」「28」「50」を例に同一期間で表示がどのように変わるか確認してみましょう。

3-1. RSIの概要のおさらい

RSIは「指定した期間の値動きで、価格の上昇の値幅と下落値幅をくらべてどっちの力がどれくらい強いのか?」を数値(%)で表します

つまり、RSIの値は相場の勢いを表しますので、、

上昇トレンドが発生している間は、100%に値が近づき、
下降トレンドが発生している間は、0%に値が近づきます。

そして、RSIの値が、上昇から下降に転じた所や、下降から上昇に転じた所は、これまでのトレンドが終焉を迎え、逆方向へ行く可能性を示唆します。一般的には、上限70%、下限30%のラインが「買われすぎ」、「売られすぎ」の転換点としての判断基準に使用されます。

RSIについては、別記事で詳しく述べています。

RSIが9の場合のチャート
(上図RSIが9のチャート)

RSIが14の場合
(上図RSIが14のチャート)

RSIが28のチャート
(上図RSIが28のチャート)

RSIが50のチャート
(上図RSIが50のチャート)

上記は、それぞれのパラメーターを変更した場合のチャートです。各期間ごとのチャート比較をすると、相場の転換点として意識される70%、30%のラインに届く回数が大きく変わってきます。各期間での、上限と下限のラインにタッチする回数を比較すると大きく異なっている事がわかります。

RSIのタッチした回数表

期間を短くしすぎるとエントリーサインが多発し、ダマシが多く意味のあるトレードが出来なくなってしまいます。また、逆に期間を長くしすぎるとエントリーサインがほとんど出ないため、トレード回数がほとんど無くなってしまいます。

このことからも「14」が最適な数値である可能性が高いと考えられますね。

体験
私がまだ初心者だったころ、RSIの値が上限か下限にタッチしたら逆張りサインとして使用する事だけを考えていました。標準の「14」では、なかなかサインが出なかったため、「もっと逆張りのサインが欲しい。」と考え、期間を短くして逆張りサインを常に待っている時がありました。確かに、タッチする回数は増えましたが損切りの回数がが増え、大きく資金を減らしてしまいました。サインにのみ頼ってトレードをする完全な失敗トレードをしていました。

4. RSIの期間設定によってチャートが変わるカラクリとは?

次に、なぜ表示期間の変更によって、RSIの値の位置が変わるのかについて、計算式から確認してみましょう。

4-1. RSIの計算式とは?

RSI計算式

この式の中で大事なのは、「動いた値幅」です。動いた値幅を計算するために「RS」を求めていますが、「前日」と比較して「当日」が上回っているか、下回っているか、そしてその大きさにより「RS」の値が大きく左右されます。

脳みそバーン

こんな数式だけ見せられてもわかりませんよね? 分かりやすく理解するためにも、下図を参照してください。

RSIの値幅の計測

RSIの値にどのように影響を与えるかというと、この上図を見てもらえれば分かります。

上昇トレンドでは、上げる日の方が多いですから、下落幅の平均は小さくなります(当たり前の話ですが)。

上げた日の値幅平均を下げた日の値幅平均で割るので、当然、RSIの値は「100%」に近づきます。反対に下降トレンドの場合は、下落幅が大きくなるため、RSIの値は「0%」に近づきます。(大きい数値を小さい数値で割れば100%に近づくし、小さい数値を大きい数値で割れば0%に近づく)

数式にすると難しく神秘的に見えますが、簡単に言うと指定した期間で上げた値幅の平均と、下げた値幅を平均を比べて買いと売りとドッチが強いのか?を比べているだけの話なんです。

となれば、設定する期間を変えると、計算式に含まれる値の数が変化します。したがって、期間が短い場合は、直近の値動き(短期トレンド)の影響を受けやすく、期間が長い場合は、長期的なトレンドの影響を受けやすい計算式なのです。

以降で、それぞれの場合のチャートにおける見え方を確認してみましょう。分かりやすくするために、期間が短いパターン(期間:9)と、期間が長いパターン(期間:50)でのチャートを比較します。

RSIが9の場合のチャート
(上図RSIが9のチャート)

RSIが50のチャート
(上図RSIが50のチャート)

比較してみると、期間が短いパターン(期間:9)のチャートでは、ジグザクにRSIの値が揺れているように見えるのに対し、期間が長いパターン(期間:50)のチャートでは、緩やかにRSIの値が推移している事が分かります。期間設定の値によっては全く見え方が異なりますので、その点を認識して期間設定を行う必要があるのです。

5. ずっと使われている?14の期間設定がおすすめできる理由とは?

前述の通り、RSIの期間を変える事で、チャートのRSIの値が示す相場状況は大きく変化します。短期的なトレンドに振り回されずに、より長期間のトレンドを考慮した取引をしたい場合は、期間を長くする事で可能となります。

ただし、あまりに期間を長くしてしまうと、取引をするための転換点(「買われすぎ」、「売られすぎ」)までに値が到達する可能性が低くなってしまいます。上手にトレードをする上でのポイントは、より多くのトレーダーが見ている価格帯を意識して初動に上手く対応することです。

期間を短くしすぎたり、長くしすぎたりすると、タイミングを逃してしまいやすくなります。以上から、RSIの考案者であるJ.W.ワイルダー氏の提唱した期間(14)を様々なトレーダーが使用しているため、「14」で使用するのが最も理にかなっていると判断できます。

長々と説明してまいりましたが結局のところ、RSIを作ったワイルター氏が「14」と言っているんだから、そうすれば良いという結論になってしまいました。こうなると、どのようにワイルダー氏が「14」という数字にいきついたのか?という、私の推測はどうでも良くなってきてしまい少し恥ずかしくてテレております。

6. まとめ

「RSIの期間をどれくらいにするか」は正解を求めると、とても難しいです。期間を変更すると、過去の相場における転換点を説明できるかもしれません。しかしそれは、たまたま相場のトレンド状況とRSIの数値が示す「買われすぎ」「売られすぎ」が合致しただけに過ぎません。

正解がない以上、RSIを使用する際には、多くのトレーダーが使用している数値であり、発案者が提唱している標準的な期間「14」を使用するのが良いです。そして、RSIの期間を頻繁に変える事なく、いつも同じ期間で相場を判断するようにしてみてください。