一目均衡表が使えない理由って?効果を発揮する条件を詳しく解説(強みを知ろう)

一目均衡表が使えない理由って?効果を発揮する条件を詳しく解説(強みを知ろう)

一目均衡表はトレンド分析方法の中でもメジャーな指標であり、多くの方に利用されています。

ところが、一目均衡表が機能するための条件を知らなければ、トレードで使いこなすのは困難になるのです。

読者の中には、

「一目均衡表なんて役に立たない!」
「全然使えないし、別の分析方法を使おうかな……」

と感じている方もいるのではないでしょうか。

確かに、一目均衡表はクセのある分析方法ですが、特徴を押さえれば強い味方になるでしょう。

この記事では、あなたが一目均衡表を使いこなせない本当の理由と、トレードで活用するためのポイントを解説します。
最後まで読めば、実際のトレードで一目均衡表を利用するコツを理解できますよ!

目次

1. 一目均衡表は使えない?「役に立たない」と感じる7つの理由

一目均衡表は使えない?「役に立たない」と感じる7つの理由

なぜ一目均衡表は「使えない」「役に立たない」と批判されてしまうのでしょうか。
主な理由は下記の7つ。

理由① 線が多すぎて見にくい
理由② 使い方が複雑
理由③ エントリーチャンスが少ない
理由④ 「株価は予測できない」とするランダムウォーク理論
理由⑤ 日足でしか活用できない
理由⑥ 短い時間足で使えないので、相場の動きに素早く対応できない
理由⑦ 機能するのは株式投資のみ?

それぞれの理由を見ていきましょう。

1-1. 理由① 線が多すぎて見にくい

一目均衡表とは

参照:Yahoo知恵袋

一目均衡表とは、チャート上に5種類の線を表示させてトレンドを分する手法。
多くのテクニカル分析で表示される線は1本から3本であり、サブチャートを用いる指標もあります。

それに対して一目均衡表では5本の線が同時に表示されるので、チャートを見にくく感じる方もいるでしょう。

1-2. 理由② 使い方が複雑

一目均衡表の使い方が複雑であるため、「使えない」と感じるケースもあります。

特に複雑さを感じやすいポイントは、下記の通りです。

  • 5本の線の役割
  • トレンドの分析方法
  • 三役好転・三役逆転といったエントリーポイントの見つけ方
  • 1-3. 理由③ エントリーチャンスが少ない

    「一目均衡表ではエントリーチャンスを見つけにくい」と感じる方もいるようです。

    主なエントリーポイントの見つけ方は「三役好転・三役逆転」ですが、売買ポイントが3つ揃う機会は多くありません。

    したがって一目均衡表は、実際のトレードにおいて活用しにくいと批判されているのです。

    三役好転・三役逆転の詳細については後述します。

    1-4. 理由④ 「株価は予測できない」とするランダムウォーク理論

    ランダムウォーク理論とは、「株価の動きは予測できない」とする理論です。
    場当たり的に動く株価には規則性が無いため、「テクニカル分析は後付けである」と批判します。

    このランダムウォーク理論を正しいと考える方は、一目均衡表を含めてテクニカル分析を役に立たないものと認識しているのです。

    1-5. 理由⑤ 日足チャートでしか活用できない

    一目均衡表は日足チャートで使うことを想定された分析方法です。
    もちろん5分足・45分足・1時間足チャートなどに一目均衡表を表示させるのは可能ですが、分析の精度が落ちると考えられます。

    それゆえにスキャルピング・デイトレーダーにとって、一目均衡表は使いにくいでしょう。

    1-6. 理由⑥ 相場の動きに素早く対応できない

    一目均衡表の設定値はデフォルトの数値が推奨されています。
    しかし、推奨された数値では相場の動きに素早く対応できないケースもアリ。

    例えば一目均衡表で使用される「転換線」は、「過去9日間の最高値と最安値の中間値」を示す線。
    過去9日間を参考にした情報をチャート上に示すため、急な相場変動に対して即座に反応できません。

    仮に1日の間で暴騰・暴落したとしても、一目均衡表が急激な値動きに反応するまでに時間を要するのです。

    1-7. 理由⑦ 機能するのは株式投資のみ?

    一目均衡表は株価の動きを分析するために作られた指標です。
    もともとは日本人の「一目山人氏」が考案したテクニカル分析方法。

    一目山人氏は株式評論家であるため、株式の日足チャートを分析する目的で一目均衡表を作りました。

    一目均衡表が考案された背景から、「株式以外のチャート分析では使えない」と考える投資家がいるのです。

    2. 「一目均衡表なんて使えない!」と感じる方が知っておきたい注意点

    「一目均衡表なんて使えない!」と感じる方が知っておきたい注意点
    一目均衡表を「使えない」と感じる理由について解説しました。
    とはいえ、一目均衡表は本当に役立たずの指標なのでしょうか。

    もしかしたら、一目均衡表に関する注意点を押さえていないことが、指標を使いこなせない原因かもしれません。

    一目均衡表を使用するうえで知っておきたい注意点は、下記の3つ。

    注意点① 一目均衡表の基本を押さえよう
    注意点② レンジ相場では機能しにくい
    注意点③ メインは日足チャートで、デフォルトの数値が推奨されている

    既に一目均衡表を活用している方も、基本的な知識を再度確認してみましょう。

    2-1. 注意点① 一目均衡表の基本を押さえよう

    一目均衡表を使う前に、基礎知識を身に付けているかチェックしてみて下さい。

    特に「一目均衡表の線が見にくい」「使い方が複雑」と感じる方は、ぜひ理解しておきましょう。

    一目均衡表の5本線について解説

    一目均衡表
    一目均衡表でチャート上に表示される各線の特徴は、下記の通りです。

    1. 遅行スパン(水色の線):当日の終値を26日前に表示
    2. 転換線(黄色い破線):過去9日間の最高値と最安値の中間値
    3. 基準線(黄色い線):過去26日間における最高値・最安値の中間値
    4. 先行スパン1(ピンクの線):基準線と転換線の中間を26日後に表示
    5. 先行スパン2(ピンクの破線):過去52日間の最高値と最安値の中間値を26日後に表示

    一目均衡表を使ってトレンド分析する方法

    一目均衡表で上昇トレンド・下降トレンドを判断する方法
    一目均衡表で上昇トレンド・下降トレンドを判断する方法を確認しましょう。

    1. 遅行スパン(水色の線)がローソク足の上で推移していれば上昇トレンド、下で推移していれば下降トレンド
    2. 基準線(黄色い破線)が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド
    3. ローソク足が雲の上で推移していれば上昇トレンド、下で推移していれば下降トレンド

    なお、「雲」とは先行スパン1と2の範囲のこと。

    チャート画像の場合、それぞれの線とローソク足の位置を見ると、上昇トレンドと判断できます。

    一目均衡表でエントリーポイントを見つけるには?

    一目均衡表で買いエントリー・売りエントリーするためのポイント
    一目均衡表で買いエントリー・売りエントリーするためのポイントについてです。

    1. 遅行スパン(水色の線)がローソク足を上抜ければ買い、下抜ければ売り
    2. 転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を上抜ければ買い、下抜ければ売り
    3. ローソク足が雲を上抜ければ買い、下抜ければ売り

    この3つの買いポイントが揃うことを「三役好転」と呼び、売りポイントが揃うことを「三役逆転」と呼ぶのです。

    画像のチャートでは3つの買いポイントがあるため、三役好転を確認できます。

    一目均衡表の見方は「一目均衡表の見方は複雑?細かな専門用語から活用法までを詳しく解説」も参考にしてくださいね。

    2-2. 注意点② レンジ相場では機能しにくい

    一目均衡表はトレンド系のテクニカル分析方法。
    トレンドの有無や方向、そして強さを分析するのに適していますが、レンジ相場で機能しにくいのです。

    レンジ相場では一定の値幅で価格が上下し続けるので、明確なトレンドを発見できません。
    そのためトレンド系の指標では、エントリーポイントを見つけるのは困難になるのです。

    2-3. 注意点③ メインは日足チャートで、デフォルトの数値が推奨されている

    一目均衡表が主に使用されるのは日足チャートです。
    そして設定はデフォルトの数値が推奨されています。

    多くの投資家は転換線を9日・基準線を26日・先行スパン2を52日にしたままでトレードするため、それ以外の数値に設定しても効果は期待できないでしょう。

    このように一目均衡表には、自由に数値を設定しにくい点があるので、注意してください。

    3. あなたが一目均衡表を使えない本当の理由とは?チャート画像を用いて解説

    あなたが一目均衡表を使えない本当の理由とは?チャート画像を用いて解説
    あなたが一目均衡表を「使えない」と感じる本当の理由は、「どういう時に一目均衡表が威力を発揮するか知らないため」であると考えられます。

    ここまで見てきたように、一目均衡表を機能させるためには条件があります。

    その条件とは、

    • レンジ相場ではなくトレンド相場で使用すること
    • 日足チャート上で表示させ、中・長期トレードで活用すること

    の2点。

    そこで実際のチャートを見ながら、一目均衡表が威力を発揮している様子を確認してみましょう。

    3-1. トレンド相場で活用する

    トレンド相場において、一目均衡表を使ってトレンドを分析してみます。
    一目均衡表の線を見る
    一目均衡表の線を見ると、下記のような情報を読み取れますね。

    • 遅行スパン(水色の線)はローソク足より上で推移している
    • ローソク足は雲の上で推移している
    • 基準線(黄色い線)は上に傾いている

    上記3つの情報から、現在のトレンドは上昇トレンドと判断できるのです。

    以上のようにトレンド相場なら、一目均衡表を使ってトレンドの分析が可能であると分かります。

    ただしトレンド分析する際は、「雲のねじれ」に警戒するようにしてください。
    雲のねじれとは、先行スパン1と2が交差すること。
    雲のねじれはトレンドが不安定であるサインですので、トレンド転換を予測できるのです。

    他にも、上昇トレンド中に売りシグナルを発見した時もトレンド転換すると想定されます。

    チャートを見ると、右肩上がりであった遅行スパンがローソク足を下抜いているため、売りポイントを確認できますね。

    トレンドはどこかのタイミングで必ず転換しますので、トレンド発見後は雲のねじれや売買ポイントに意識を向けましょう。

    3-2. 長期トレードで活用する

    日足チャートを用いて、時間をかけてエントリー・利確するまでの流れをご説明しましょう。
    日足チャート上に一目均衡表を表示
    日足チャート上に一目均衡表を表示させました。
    一目均衡表を観察すると、下記のような売りポイントがありますね。

    売りポイント① 遅行スパン(水色の線)がローソク足を下抜ける
    売りポイント② 転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を下抜ける
    売りポイント③ ローソク足が雲を下抜ける

    3つの売りポイントが揃っているので、「三役逆転」です。
    相場は下降トレンドになると予測できるので、3つ目のポイントでショートエントリーしましょう。

    利確は「値下がり後に買いポイントを見つけた時」。
    損切りは「価格が再び雲の中に入った時」とします。
    エントリー後、価格は時間をかけて下落
    エントリー後、価格は時間をかけて下落していきました。
    やがて遅行スパンはローソク足を上抜け、買いポイントが発生したので利確します。

    実際にトレードしていると、一目均衡表で三役好転・三役逆転の条件が揃わないケースは多く見られます。

    例えば、「遅行スパンの上抜け」「転換線の上抜け」を確認できているものの、「ローソク足の上抜け」だけが確認できないようなパターンです。

    特に日足チャートの場合、ローソク足1本の形成まで1日かかるため、3つの売買ポイントが揃うまでの待ち時間は長くなるでしょう。

    三役好転・三役逆転までの待ち時間が長ければ、3つの売買ポイントのうち2つ揃った段階でエントリーするのもおすすめです。

    売買ポイントを3つから2つに減らせば、エントリーのタイミングは増えるでしょう。
    しかしエントリーの条件を緩和させれば、相場の分析精度が落ちます。

    「実際に私も転換線・遅行スパンのブレイクだけでエントリーした際に、雲の直前で大きな反発を受けたことがあります。」

    エントリーの条件を緩めると、こうしたダマシに遭うリスクが上がりますので、注意してください。

    3-3. 一目均衡表は短期トレードでも活用できる

    ここまで、「一目均衡表は日足チャートが基本」「長期トレードで威力を発揮する」とお伝えしてきましたが、短期トレードに使用するのも可能です。

    短期トレードで活用するなら、

    • 日足チャートで一目均衡表を表示させ、トレンドを分析する
    • 日足より短い時間足に別の指標を表示させ、エントリーのタイミングを見計らう

    といった流れになります。

    実際のトレード事例をご覧ください。
    日足チャートに一目均衡表を表示
    まずは日足チャートに一目均衡表を表示させましょう。
    一目均衡表では、3つの買いポイントを発見しました。

    買いポイント① 遅行スパン(水色の線)がローソク足を上抜ける
    買いポイント② 転換線(黄色い線)が基準線(黄色い破線)を上抜ける
    買いポイント③ ローソク足が雲を上抜ける

    3つ目の買いポイント以降の動きを見ると、下記のような様子が見られますね。

      <li.遅行スパンはローソク足より上
  • ローソク足は雲の上
  • 基準線は上に傾いている

よって、上昇トレンドであると分析できます。
45分足チャート
次に45分足チャートを使って、エントリーのタイミングを計りましょう。
今回使用するのは短期・中期移動平均線。
移動平均線では、短期線(黄色い線)が中期線(ピンクの線)を上抜くことを「ゴールデンクロス」と呼び、買いポイントになります。

45分足チャートでゴールデンクロスを見つけたタイミングでロングエントリーし、売りサインであるデッドクロスを見つけたところで利確しました。

このように一目均衡表は大きな相場の流れを把握するのに利用できるため、短期トレードでも役に立つのです。

なお、短い時間足でエントリーする際は、日足チャートのトレンド方向と同じであるかどうか意識しましょう。
日足チャートにおけるトレンドは、相場の大きな流れを示す主要トレンド。
もし主要トレンドと逆方向のトレンドを短い時間足で確認した場合、そのトレンドは長続きしない可能性が高いのです。

短期トレード時は、トレンドの向きに気を付けましょう。

4. まとめ

今回は「一目均衡表なんて使えない!」と感じる方を対象に、一目均衡表を活用する方法を解説しました。

一目均衡表に限らず、テクニカル分析をするためには基礎知識が不可欠です。
そして一目均衡表を使えないと感じる理由は、効果を発揮する条件を知らないためであると考えられます。

一目均衡表には、「レンジ相場では機能しにくい」「設定数値はデフォルトで、日足チャートがメイン」といった特徴があるのです。
そのため、一目均衡表はトレンド相場や長期トレードで効果を発揮します。

「一目均衡表なんて役に立たない!」と感じている方は、今回ご紹介したトレード事例を参考にしつつ、ぜひ相場で使いこなせるようにしてみてはいかがでしょうか?