逆張りに強い?RSIの概要から使いどころ、注意点まで詳しく解説!

逆張りに強い?RSIの概要から使いどころ、注意点まで詳しく解説!

RSIとは、「買われすぎ」や「売られすぎ」を表すとても有名なオシレーター系のテクニカル指標です。
そして、現在価格の位置が、RSIのチャート上ではどのように表示されているかを抑えることで、具体的なトレード戦略が立てられます。

「RSIが何を表し、どのような考え方で見るべきか」

また、どのようにRSIの値をトレード戦略に役立てていけば良いのかをまとめました。あなたがトレードする上で、実際にRSIを参考に取引ができるように熟読してみてくださいね。

目次

1. RSIって何?(オシレーター系テクニカル指標)

RSIって何?(オシレーター系テクニカル指標)

RSIとはオシレーター系における有名な指標で、一定期間における直近の終値をベースに上昇・下落の勢いを推測できる指標です。この章では、RSIについて詳しく3項目にしてご紹介します。

・RSIの概要について
・そもそもRSIは誰が作った?その目的は?
・RSIの計算式

上記、3つについて詳しく解説していきましょう。

注釈
オシレーター系とは、相場の力強さや、過熱感を表すテクニカル指標を指します。オシレーター系と対するテクニカル指標として、移動平均線など、相場の流れを読むトレンド系と言われるものがあります。

1-1. RSIの概要について

RSIは正式名称を「Relative Strength Index」と言い、日本語では「相対力指数」と翻訳されています。どのような値かというと、指定した期間の値動きに対して、価格の上昇の値幅と下落値幅をくらべてどっちの力がどれくらい強いのか?」を数値(%)で表します。

日本語名称の先頭2文字の「相対」という言葉からもイメージができると思います。

指定した期間が14となっている場合は、チャートに表示されている14本分の足の値からRSIを求めて、数値(%)で表します。例えば、期間が14で、日足のチャートを表示した場合、上昇した日の値幅の合計と、下落した日の値幅の合計の割合を数値(%)で表したものとなります。

メインチャートと、サブチャートRSI
(上図:メインチャートと、サブチャート)

また、RSIは0~100までの数値(%)を使用する指標で、メインのチャートには表示されません(サブチャートとして表示される場合が多い)。そして、『期間:14、上限のライン:70%、下限のライン:30%』という設定が多くの場合標準設定となっています。

基本となる日数の値動きを上昇と下降に分類して、「買いたい勢力」の勢いが強い場合には、RSIの数値が上昇します。一方、「買いたい勢力」の勢いが無くなってきた時には、RSIの数値が下降するので、相場の方向性における変化を捉えやすいです。

1-2. そもそもRSIは誰が作った?その目的は?

RSIは、J.W.ワイルダー氏が1978年発表したオシレータ系の指標です。J.W.ワイルダー氏はアメリカの投資インストラクターで、RSIの他にも、「パラボリック」、「ADX」、「DMI」など、いくつものテクニカル指標を考案、発表しました。

前述の通り、「RSI」はオシレーター系の指標で特に有名なものです。トレード経験のある人で知らない人はいないと言えるぐらい、知名度の高さがあります。

1-3. RSIの計算式とは?

次に、RSIはどのように算出されているかについて確認してみましょう。

RSI計算式

下落幅が小さい場合は分母が小さくなりますので、RSIの値は大きくなります。

この場合は買い勢力が優勢という判断ができます。

一方下落幅が大きい場合は、分母の値が大きくなるため、RSIの数値は小さくなります。

この場合は、買い勢力が弱い、もしくは弱まってきているという判断ができます。

脳みそバーン

難しく感じるかもしれませんが、要するに、設定した期間の間にあるローソク足を、1本1本分解して前の終値より上げた値幅の平均と下げた値幅の平均を比較ししたものです(下図参照)。

RSIの値幅の計測

赤い矢印が上昇した足の終値と、1本前の足の終値までの値幅です。
青い矢印が下降した足の終値と、1本前の足の終値までの値幅です。

図は説明するための簡略した図のため、ローソク足は8本ですが、RSIの設定が14であれば、14本のローソク足でそれぞれの値幅を測定します。それから、赤い矢印の(上昇値幅)の平均を出し、青い矢印(下降した値幅)の平均を出して比較するのです。

価格が上に行くなら数字が大きくなる。下に行くなら数字が小さくなることを数値化しただけなのです。

これを「RSI」とか、「相対力指数」と言われるから多くの人が難しく感じてしまうのも無理はない話です。でもこのようにすると、そんなに複雑な話ではないことがわかります。

注釈
テクニカルは何でもそうですが、何を見たいのか?をパッと見える化しただけであり、エントリーサインを出してくれて、その通りにトレードをすれば勝てるというものではありません。ですから、必ず計算式を分解してみて何を意図して作られたのか?ということを確認することが大切です。

2. RSIの基本的な使い方についてチェック

RSIの基本的な使い方についてチェック

では、次に基本的な使い方を見てみましょう。

RSIはある一定の価格の間(レンジ)を行き来する相場(レンジ相場)に強いことで有名です。それは相対的に価格が「上がりすぎた」「下がりすぎた」という事をRSIが表すからです。

「上がりすぎ」、「下がりすぎ」という点から『逆張り指標』とも言われています。

RSI上がりすぎた場合のチャート
(上図:上がりすぎた場合のチャート)

RSI下がりすぎた場合のチャート
(上図:下がりすぎた場合のチャート)

2-1. RSIを使って「買われすぎ」「売られすぎ」を判断する

RSIの値は相場の勢いを表しますので、

上昇トレンドが発生している間は、100%に値が近づき、
下降トレンドが発生している間は、0%に値が近づきます。

RSIの値が、上昇から下降に転じた所や、下降から上昇に転じた所は、これまでのトレンドが終焉を迎え、逆方向へ行く可能性を示唆するものとなります。例えば、上昇トレンドの場合、「表示している期間の中で、上昇の値幅が小さくなり、下降の値幅が大きくなる」とRSIの値はピークアウトを迎えます。

多くの場合、RSIの動きに連動するように相場も遅れて下降トレンド入りしやすくなります。

RSI下降トレンドからの転換例

下降トレンドの場合も同様で、上昇トレンドの逆となります。

2-2. ダイバージェンスを見つける

ダイバージェンスとは、「逆行現象」と呼ばれる現象です。具体的には、

RSI強気のダイバージェンス
(上図:強気のダイバージェンス)

・価格が下降しているのに、RSIは上昇している状態を指します。

RSI弱気のダイバージェンス
(上図:弱気のダイバージェンス)
・価格が上昇しているのに、RSIは下降している状態を指します。

ダイバージェンスでは、今あるトレンドの勢いが弱ってきているため、トレンドの転換が近づいている状態を示唆しています。

上記の図の状態はそれぞれ、「強気のダイバージェンス」、「弱気のダイバージェンス」と言います。

これらのダイバージェンスが出ている場合は、新規の「買い」や「売り」エントリーは控えます。そして、既存のポジションについては、手じまいを視野にいれてチャートを見守るのが良いでしょう。

2-3. RSIの注意点って?

相場の勢いを見て、転換する可能性を教えてくれるRSIですが、1つ大きな弱点があります。

それは「強いトレンド」に弱いという点です。

RSi強いトレンド中は転換しない ①上昇トレンド
(上図:強いトレンド中は転換しない 上昇トレンド)

強いトレンドが発生している時は、RSIの値は「100」もしくは「0」に限りなく近づきます。この場合、トレンドの転換はいつか分かりませんので、RSIが70以上になった事だけを見て「売り」注文をするのは危険です。

強いトレンド中はRSI転換しない 下降トレンド
(上図:強いトレンド中は転換しない 下降トレンド)

また、RSIが30未満になった事だけを見て「買い」注文をするのも、とても危険です。

3. RSIを使ったトレード戦略を解説

RSIを使ったトレード戦略を解説

「買われすぎ」や「売られすぎ」のサインとして、RSIが70%以上、30%未満という数値が良く使われますが、トレード戦略としては、「エントリーに使う場合」と「エクジット」の2つがあります。下記の項目にて、RSIを実践的なトレードで使用する方法について解説します。

3-1. RSIをエントリーに使う場合

RSIをエントリーに使う場合は、以下の3つを目安にトレードしたいです。

・トレンドの流れと同じ方向への押し目買い、戻り売り
・ダイバージェンスを利用したエントリー方法について
・逆張りを仕掛ける場合

注意
新規エントリーの際は、見込みが外れると即損失につながる可能性があるので、きちんと見定めたうえでのエントリーが大切です。

トレンドの流れと同じ方向への押し目買い、戻り売り

RSIを使った順張りトレード (上図:RSIを使った順張りトレード)

まず、現在のトレンド方向が上昇方向か下降トレンドか、どちらに向いているかを確認します。
その際のRSIの数値はあまり気にしません。その後、一時的にトレンド方向と逆方向にRSIの数値が遷移した後、再度トレンド方向に転換した場合にエントリーします。

ダイバージェンスを利用したエントリー方法について

RSIのダイバージェンスを利用したトレード (上図:RSIのダイバージェンスを利用したトレード)

価格の動きとRSIの動きが逆方向になっている場合にエントリーします。RSIが下降している場合は売りエントリーを仕掛け、RSIが上昇している場合は買いエントリーをします。

逆張りを仕掛ける場合

RSIを使った逆張りトレード (上図:RSIを使った逆張りトレード)

相場のトレンドがもう終わりを示す根拠がある場合(トレンド転換とされるチャートパターンの出現など)に、トレンド方向と逆方向のトレードを行います。

上昇トレンドでは、RSIが70%以上の場合に「売りエントリー」を仕掛けます。
反対に、下降トレンドでRSIが30%以下の場合に「買いエントリー」を仕掛けます。

ただし、上記の場合であっても、トレンドが継続する可能性も十分にあるので、エントリー時は充分にチャートを見る必要があります。この見極めはかなり難しいので、初心者のうちはレンジ相場の時だけにした方が無難です

3-2. エグジットに使う場合

   
エントリーだけではなく、エグジットにもRSIを使う事ができます。
基本的には、
RSIを使ったエグジット
(上図:RSIを使ったエグジット)

・上昇トレンド時に保有している買いポジションのエグジット

(例:RSIを使ったエグジット)
(上図:RSIを使ったエグジット)

・下降トレンド時に保有している売りポジションを決済する判断に使用します。

相場の過熱感がピークに達すると、RSIの値も逆方向に向かい始めます。そのタイミングでポジションをエグジットした方が相場が転換した際に慌てなくて済みますよ。

4. RSIで犯すこんな過ち!私が犯したRSI過信による失敗談とは?

RSIで犯すこんな過ち!私が犯したRSI過信による失敗談とは?

RSIでよく言われるのが、「相場の過熱感を表す指標である」という事です。
「上限70、下限30を越えたら、そろそろ反転するから、『逆張り』のチャンス」そんな考えをしていました。

でも、その考えはレンジ相場では有効だったものの、トレンドの強く出ている相場では、通用しない考え方でした。この時は、「今度こそは」と何度も逆張りと損切りを繰り返して、気力も体力も、そして資金も失ってしまったのです…。

それ以降、相場全体の動きを判断し、その一瞬の見た目で判断するのではなく、大局的な観点で取引をする事を心掛けています。

5. まとめ

まとめ

RSIは相場の過熱感を表すもので、「売られすぎ」、「買われすぎ」を判断して、取引の手助けとなります。ただし、RSIを絶対的な数値としてトレードするのも危険です。

あくまで補助的な役割で使用するのがベストで、「逆張り指標」とも呼ばれますが、トレンドに合わせた取引(押し目買い、戻り売り)でも活用できます。

一つのテクニカル指標だけに依存するのではなく、複数の情報を組み合わせて精度の高い取引を実践してみてくださいね。