移動平均線を活用する?グランビルの法則を使いこなす方法を詳しく解説

グランビルの法則解説

「移動平均線の特徴は抑えているけど、グランビルの法則に当てはめる方法も知りたい」
「移動平均線とグランビルの法則を用いた売買サインの見分け方について知りたい」

もしかしたら、こんな疑問はないでしょうか?

移動平均線は多くのトレーダーが意識している代表的なテクニカル指標ですが、実はグランビルの法則も注目されやすい投資手法の一つです。
そこで、移動平均線をグランビルの法則に当てはめた分析方法について詳しく解説します。

目次

1. グランビルの法則と移動平均線の関係性とは?

そもそも、グランビルの法則とは株価(他の金融商品も該当する)と移動平均線の動きから8つの売買チャンスを見極める法則を指します。

一般的な移動平均線だけに注目した分析と違い、8つのパターンに分類分けしていることで、シンプルでありながらも相場において頻出する「チャートパターン」として認識しやすい強みがあります。

移動平均線による8つのパターンだけを見るとシンプル過ぎるゆえに、信用できないという評判もあります。
しかしながら、実際には強力なツールとして活用できる特徴があるため今日でも多くのトレーダーが参考にしている指標なのです。

2. (移動平均線に注目)グランビルの法則を用いた8つの売買パターン

グランビルの法則に合わせた移動平均線の設定について グランビルの法則を用いた8つの売買パターン

この章では、上述したグランビルの法則における8つの売買パターンを詳しくご紹介します。

グランビルの法則における8つのパターン

表の通り、グランビルの法則には買いと売りで各4パターンずつの項目があります。

*「買い」も「売り」も各数字におけるパターンの特徴は同じです。

2-1. グランビルの法則における買いの4パターンとは?

各項目ごとで、グランビルの法則における買いの4パターンを解説していきます。

グランビルの法則:買いパターン1(新規買い)

グランビルの法則買いの1

買いパターン1の「新規買い」サインは、下降トレンドから上昇トレンドへ転じるタイミングで確認できます。そのため、長期的に移動平均線の傾きが下向き、あるいは横ばいになった後に移動平均線を上抜けた場合、買いサインとして認識できます。

下降トレンドが長く続いていた銘柄で、買いパターン1が出た場合は底値圏で買える絶好のチャンスとなる可能性があります。

グランビルの法則:買いパターン2(押し目買い)

グランビルの法則買の2

買いパターン2の「押し目買い」サインは、上昇した価格が調整したことによって一時的に移動平均線を下回る時に確認できます。移動平均線の傾きが上向きである状態で、価格が少しだけ割り込んだタイミングが買いのサインとなります。

押し目買いとなるチャートは、上昇トレンドが継続していることから、移動平均線にタッチしながら右肩上がりのチャートを形成します。よって、投資初心者の方でもエントリーの判別がしやすい買いパターンと解釈できます。

グランビルの法則:買いパターン3(買い増し)

グランビルの法則:買いパターン3(買い増し)

買いパターン3の「買い増し」サインは、上昇した価格が調整がしても、上向きの移動平均線を下回らずに推移する時に確認できます。調整した価格が移動平均線を下回らずに、地固めをしながら再び上昇したタイミングが買いのサインとなります。

買いパターン2と同様で、移動平均線上の価格帯を見て上昇トレンドの継続を確認できるので、買いの判断もしやすいです。

グランビルの法則:買いパターン4(短期の逆張り)

グランビルの法則:買いパターン4(

買いパターン4の「短期の買い」サインは、移動平均線が下落している状態で価格も急速に下落をしている時に確認できます。

移動平均線と価格との乖離が大きいので、下降トレンドではあっても移動平均線に戻るように価格が反発します。したがって、移動平均線と価格の乖離幅におけるリバウンド狙いの買い(短期の逆張り)判断が見込めます。

*25日移動平均線で設定している場合、乖離幅は-25%以上を参考にします。

2-2. グランビルの法則における売りの4パターンとは?

続いて、グランビルの法則における売りの4パターンについて解説していきます。

グランビルの法則:売りパターン1(新規売り)

グランビルの法則:売りパターン1(新規売り)

売りパターン1の「新規売り」サインは、上昇トレンドから下降トレンドへ転換する際によく確認できます。ゆえに、移動平均線の傾きは長期的に上向き、あるいは横ばいの状態から下向きに転じており、価格が移動平均線を割り込んだ際に、売りサインとして認識できます。

売りパターン1から分かることは、長期の上昇トレンドを継続していた移動平均線が横ばい・下向きになることで下降トレンドへの確信が高まる点です。適切な利食いや売りポジションを持てるタイミングでもあるので、重要なターニングポイントになります。

グランビルの法則:売りパターン2(戻り売り)

グランビルの法則:売りパターン2

売りパターン2の「戻り売り」サインは、下降した価格が調整したことによって一時的に移動平均線を上回る時に確認できます。詳しくは、下落していた価格が上昇することで下向きの移動平均線を一時的に上抜けしたタイミングが、売りのサインとなります。

戻り売りとなるチャートは、下降トレンドが継続していると仮定できるので、移動平均線のタッチ(少し上抜け)を意識してエントリーするチャンスが期待できます。また、移動平均線の向きが下向き状態で出現する形なので、初心者の方でも見抜きやすいパターンとなります。

グランビルの法則:売りパターン3(売り増し)

グランビルの法則:売りパターン3(売り増し)

売りパターン3の「売り増し」サインは、下降トレンド中の価格が上昇したものの、下向きの移動平均線を上回ることなく推移した際に確認できます。下降トレンドが継続していると、反発した価格であっても移動平均線を上回ることなく下落に転じてしまう売りサインとなります。

売りパターン2と同じく、移動平均線上に価格がタッチするか否かで下降を確かめられるため、売り増しの目安として分かりやすいパターンとなります。

グランビルの法則:売りパターン4(短期の逆張り)

グランビルの法則:売りパターン4

売りパターン4の「短期の売り」サインは、移動平均線が上昇している状態にありながら、価格も急激に上昇している時に確認できます。これは、価格の大幅な上昇によって移動平均線との間に大きな乖離が発生している状態でもあります。それゆえ、相場の過熱感を確認できることからも売りサインとして機能します。

短期的に買われ過ぎの状態であるため、トレンド転換や調整、押し目となる可能性を把握しておきましょう。

*25日移動平均線で設定している場合、乖離幅は+25%以上を参考にします。

3. グランビルの法則に合わせた移動平均線の設定について

グランビルの法則で分析する際に意識したい3つのこと

グランビルの法則における8つ売買パターンでは、移動平均線と価格に着目して売買パターンを見抜く必要があります。そして、グランビルの法則を実践的にトレードで使い込むためには、取引スタイルに応じた移動平均線の設定を行う必要があります。

つまり、「短期」「中期」「長期」の3つの取引スタイルに合わせた移動平均線の期間設定を行っておくことで、より効果のある投資手法となります。下記の表では、それぞれの移動平均線を組み合わせた代表的な設定をご紹介します。

グランビルの法則に合わせた移動平均線の設定について

短期・中期・長期と、時間軸が違うと移動平均線で設定する期間も異なります。もし、シンプルに一つだけ移動平均線を選ぶとしたら、多くのトレーダーが参考にしていて反応しやすい「25日移動平均線」がおすすめです。

あなたがどの時間軸でトレードするかによって、設定する期間も異なることを把握しましょう。

4. グランビルの法則で分析する際に意識したい3つのこと

グランビルの法則で分析する際に意識したい3つのこと

グランビルの法則は移動平均線をベースに分析を進めることが分かりました。ところが、移動平均線とグランビルの法則で分析する際には意識したい点があります。

具体的には、下記における3つのポイントがあります。

・8つの売買パターンはトレンド継続・転換が分かる
・移動平均線の乖離をチェックする
・他のテクニカル分析も併用する

と、上記の各ポイントとなります。

4-1. 8つの売買パターンはトレンド継続・転換が分かる

8つの売買パターンはトレンド継続・転換が分かる

まず、グランビルの法則における8つの売買パターンは、「トレンドの継続」と「トレンドの転換/調整」に応じて分類できます。記事内では8つのパターンとして紹介していますが、「買い」と「売り」における各パターンの特徴は同じとなります。

そのため、上記表のように「買い/売りパターンの2・3」「買い/売りパターンの1・4」はトレンドの継続/転換/調整に応じてグループ化できます。トレードにおいてエントリーから利益確定・損切りが意識されるポイントとなるので、必ず頭に入れておきましょう。

4-2. 移動平均線の乖離をチェックする

移動平均線の乖離をチェックする

グランビルの法則に基づいて分析する際、価格と移動平均線の乖離もチェックすることが大切です。これは、「買い/売りパターンの2・3」と「買い/売りパターンの4」にて目安となる移動平均線と価格の乖離幅です。

特に、パターン2・3は移動平均線近くで価格が推移することから乖離幅は「2-3%前後」を意識しておきたいです。一方、パターン4においては価格の急騰や急落によって出現しやすく、移動平均線との乖離幅が「25%以上」となる付近で反発が起きやすいと認識しておきましょう。また、価格と移動平均線の乖離率をチャート上に表示するためには「移動平均乖離率」をチャートに追加しておきましょう。

因みにですが、5日・10日移動平均線を用いたグランビルの法則でも乖離幅を意識したトレードは可能です。ですが、短期の移動平均線は「騙し」も多いので、なるべく長めの期間に設定した移動平均線で分析するのが一般的です。

4-3. 他のテクニカル分析も併用する

グランビルの法則は、他のテクニカル分析と組み合わせることでトレードの精度をより高めることができます。確かに、移動平均線のようなメジャーなテクニカル指標は多くのトレーダーが参考にしており、グランビルの法則もその一つです。

しかし、シンプルにグランビルの法則だけに頼ってしまうと、想定したシナリオが崩れた場合に対応が遅れてしまいます。あくまで相場の動く方向性を推測できるだけなので、他のテクニカル分析も併用するのが良いです。

一例として、移動平均線・グランビルの法則と併用カル分析は以下のような種類があります。

・RSI
・MACD
・ストキャスティクス
・ボリンジャーバンド

などがあります。当サイトでは様々なテクニカル分析についてもご紹介しているので、参考にしてみてください。

5. まとめ

今回は、移動平均線とグランビルの法則における関係性から売買パターンの見方、実践的に使用する際に意識したい点などについて詳しく解説しました。グランビルの法則は移動平均線と価格に着目しているため、売買チャンスとなるパターンが8つほどあります。

古典的な手法であるとも言われてますが、シンプルでありながらトレンド継続・転換を意識してトレードできる手法です。今まで、移動平均線のみを見ていた方やなんとなくグランビルの法則について知っていただけの方は、この機会を通じてぜひトレードに役立てみてください。